トマト・いちごの潅水方法を生育ステージ別に解説

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農作物の水管理は、収穫量や品質の成否を決定する大切な要素のひとつです。特に潅水制御装置を使用した高度な水管理は、「果菜類の着果率や糖度にも大きな影響を及ぼす」とされています。

この記事では、トマト・いちご栽培向けの潅水制御方法について解説していきます。

目次

1.トマト・いちごの栽培について

2.少量多潅水による潅水作業

3.各生育ステージにおける潅水方法

4.まとめ

1.トマト・いちごの栽培について

トマト

トマトは、ビタミンCやカロテン、リコピンなど豊富な栄養素が多く含まれた農作物です。

品種は、生食用・調理用・加工用などに分かれていますが、大部分は生食を目的に生産されています。

大きさは大玉・中玉・小玉・ミニトマトの4種で赤色を主としています。

発芽地温は20~30℃で、土壌の適正酸度は中酸性~中性。生育適温は20~30℃です。

栽培管理については、株間50㎝程度を適正に苦土石灰や堆肥、リン酸分を含む肥料を使用した土壌づくりが一般的なようです。

露地栽培では、苗が根付いて育ち始めた頃から様々な病害虫が発生するといわれているため、殺菌剤や殺虫剤を用いた防除が必要です。

いちご

いちごは、栃木県や福岡県、熊本県等を主要な生産地とする農作物です。

商品的価値の高さから消費者の人気も高く、生食用ほか調理用や加工用が栽培されています。

いちごの収穫時期は、品種別に「一季」と「四季」に分かれますが、一般的にはクリスマスシーズンである冬をイメージする消費者が多いようです。

しかし、本当の旬は3月から4月くらいの春後半で、このシーズンに収穫したいちごが最も甘く香も良いとされています。

栽培については、従来からの方法である高畝による土耕栽培ほか、専用の設備を使用した水耕栽培が行われています。

最近では、LEDなど人工の光を利用した植物工場用の栽培システムを使用する農業事業者もいるようです。

2.少量多潅水による潅水作業

少量多潅水とは

少量多潅水とは、少量の水を時間をかけながら回数を重ねて与える潅水方法で、農作物のストレスを最小限に抑えるという特徴があります。

従来、農作物の水やり作業は一度に多くの水を与えた後、時間を空けて次の潅水を行う方法を主流としてきました。

しかし、この方法は農地の環境を急激に変化させてしまう恐れから、環境の変化を緩やかにする新しい方法の開発が望まれてきたようです。

少量多潅水は、農作物のストレス軽減ほか、病害虫の予防、収量の向上にも効果があるとされています。

少量多潅水による収量の向上については、農作物に必要な水分量をAIが算出して潅水や施肥作業を自動で行う「ゼロアグリ(ZeRo.agri)」を使用したきゅうりの実証実験(佐賀県)で、前年の20%を上回る収穫量を実現しています。

ストレスと糖度の関係

1980年代に亜熱帯地域に位置する東京都小笠原村で実施されたトマトの栽培実験では、水の葉面噴霧時刻と着果の関係および水分の土壌容量を検証する研究が行われました。

研究では、ストレスの軽減から「少量の水を時間をかけながら少しずつ与えた圃場の方が着果率が高く糖度も高い」という成果が得られたそうです。

3.各生育ステージにおける潅水方法

トマトやいちご等の果菜類は、株元やマルチ下に潅水を行うケースが多いため、作物の畝1本ごとに潅水する方法やマルチ下で水平に潅水する方法がとられます。

しかし、マルチ無しで栽培する場合や高畝での栽培の場合は、点滴潅水を用いた少量多潅水が効果的といわれています。

点滴潅水は、点滴のようにゆっくりとした水やり作業を行う潅水方法で、地表に設置して使用するタイプと地中に埋没して使用するタイプの2種類があります。

熊本県農業センターが実施した実証実験では、「少量多潅水には点滴潅水が望ましく、底面給水マットを培地と点滴チューブの間に設置することで培地を均一に湿らすことができる」と報告されました。

トマト

育苗期

定植前の育苗期は、低温かつ風通しの良い施設で水切りをしながら潅水作業を行うのが望ましいようです。水切りは苗を丈夫に育てるという効果があるため、順調な活着や生育につながるとされています。

定植前

過繁茂を嫌うトマト栽培では、定植一か月前ごろから「底土が湿るくらいの潅水を行い、少しずつ乾かしていく」という方法がとられます。マルチ栽培においては、表土が乾いたころを見計らいマルチを張るのが一般的なようです。

定植後

定植後は、潅水制御装置等を用いて少量多潅水による潅水作業を行います。

当社の遠隔潅水制御システム「SenSprout(センスプラウト)」を使用すれば、インターネットを使って、ビニールハウスへ行かなくても少量多潅水を実現することが可能になります。

花房開花期

花房開花期は、潅水を少しだけ増やした方が良いといわれています。少量多潅水による栽培が望ましいとされるトマトも、品質の面からも収量確保の観点からもこの時期だけは潅水量を増やす必要があるようです。

いちご

育苗期

いちごの育苗期は、潅水制御装置を用いて親株に潅水を施します。いちごは定植後よりも育苗期や定植前の時期に多くの水分を必要としますので、十分な水やり作業が必要になります。

定植前

育苗期と同様、土中の水分量を十分に確保する必要があります。

マルチ栽培においては、「水分量が十分に確保できているか?」を確認してからマルチ張り作業をした方が良いそうです。

活着後

定植後はトマト同様、少量多潅水による潅水作業を行います。頻度については「土が乾いたら潅水する」程度で良いそうですが、乾燥した状態で気温が氷点下まで下がると回復が困難になる程、凍ってしまいます。土の状態を触って確認しながら管理を行ってください。

トマトと同様、いちごでも当社の遠隔潅水制御システム「SenSprout Pro 灌水制御システム」を使用すれば、ビニールハウスへ行かなくても少量多潅水を実現することができます。

4.まとめ

トマトやいちごは、庭先やプランターでの栽培など家庭菜園でも人気の高い農作物です。

当社の「SenSprout Pro 灌水制御システム」は、大規模農業やビニールハウス等の施設園芸はもとより、家庭菜園でも使用できる装置になっています。

ぜひこの記事を参考にトマトやいちごの栽培にチャレンジしてみてください。 最後まで読んでくださりありがとうございました。

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