みかん栽培における潅水作業のコツと注意

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みかんはお年寄りから子どもまで幅広い年代の人に親しまれる人気の果物です。この記事では、みかん栽培における潅水作業のコツと注意点について解説していきます。

目次

1.日本のみかん栽培

2.みかん栽培のポイント

3.潅水作業のコツと注意点

4.まとめ

1.日本のみかん栽培

1)みかん栽培の歴史

みかんはミカン科ミカン属に属する柑橘類の果物です。

原産はインドのアッサム地域および中国の中南部に位置する地域で、今から約4200年前には栽培がはじまっていたといわれています。

日本の歴史に初めて登場するのは今から約1200年前で、天皇の命を受けた使者が不老長寿の果物として中国から持ち帰ったのが最初だそうです。

ちなみに、私たちが普段食べているのは、今から400年前に突然変異で生まれた日本独自の品種である温州みかんと呼ばれるもので、ビタミンCなど私たち人間が健康を維持していく上で必要な栄養を多く含むことがわかっています。

※参考1

可食部75グラム(Mサイズ1個)に含まれる栄養素の量

・エネルギー(34キロカロリー)

・タンパク質(0.53グラム)

・脂質(0.08グラム)

・炭水化物(8.63グラム)

・ビタミンA(69マイクログラム)

・ビタミンE(0.3ミリグラム)

・ビタミンB1(0.07ミリグラム)

・ビタミンB2(0.02ミリグラム)

・ナイアシン(0.23ミリグラム)

・ビタミンB6(0.04ミリグラム)

・葉酸(16.5マイクログラム)

・パントテン酸(0.17ミリグラム)

・ビオチン(0.3マイクログラム)

・ビタミンC(24.75ミリグラム)

・ナトリウム(0.75ミリグラム)

・カリウム(112.5ミリグラム)

・カルシウム(11.25ミリグラム)

・マグネシウム(7.5ミリグラム)

・リン(11.25ミリグラム)

・鉄(0.08ミリグラム)

・亜鉛(0.08ミリグラム)

・銅(0.02ミリグラム)

・マンガン(0.04ミリグラム)

・食物繊維(0.3グラム)

主な生産地は、和歌山県、愛媛県、静岡県、熊本県、長崎県、佐賀県の6県で、日本で生産される温州みかんの7割以上を生産しています。

※参考2

2021年度都道府県別生産量ランキング

1位:和歌山県(14万7800トン)

2位:愛媛県(12万7800トン)

3位:静岡県(9万9700トン)

4位:熊本県(9万トン)

5位:長崎県(5万2000トン)

6位:佐賀県(4万6900トン)

2)日本で栽培されている品種の一例

・普通温州

中熟系の品種。一般的に樹勢が強く、大玉で扁平なものが多く、近年は貯蔵性の高い高糖度系統も増加している。10年生くらいまでは無剪定で栽培し、有葉花等を摘蕾していくと結果しやすくなる。熟期は11月下旬~12月下旬まで。

参考品種

・石地温州

糖度が高く小袋が柔らかい。

・南柑20号

普通温州の中から選抜された優良品種。

・愛媛中生温州みかん

甘い果汁を多く含む。

・南津海みかん

樹勢が強く実付きが良い。

・早生温州

普通温州の芽状変異として発見された品種。普通温州と比較して樹勢はやや劣るが生育が良好で結実しやすい。糖度が高く食味が極めて良好で希少価値がある。熟期は10月下旬~11月上中旬まで。

参考品種

・早生温州

結実性が良く甘味が濃い。

・宮川早生

早生温州の代表的品種。

・興津早生

宮川早生よりもやや糖度が高い。

・田口早生

和歌山県吉備町で発見された品種。

・極早生温州

着色と減酸が早い極早生品種。枝梢や節間が短いものが多く、結実開始までの期間はやや弱い樹勢を示すが、結実しはじめると着花量が多くなる。薄くて滑らかな果皮が特徴。

参考品種

・エヌワン

実付きが良く酸味が少ない。

・日南1号

9月中旬~10月にかけて出回る極早生みかんの代表品種。

・ゆら早生

和歌山県由良町で発見された品種。

・YN26

9月中~下旬に旬を迎える極早生みかんの新品種。

2.みかん栽培のポイント

苗木の育成(1年目)

(1)通気性の良い培養土を鉢に入れ、接ぎ木部分から60センチ程度の高さのところを切除し、植え付け、1~2メートルの支柱に誘引する。

(2)日中の気温が高く、風が遮断できる場所で育成する。

(3)主幹をまっすぐ誘引し、芽かきを行い、150~190センチの高さに成長したら先端を摘芯する。

(4)窒素分が含まれた肥料を1カ月に1回施す。

(5)ナメクジ、アゲハ、ミカンハモグリガなどの害虫に注意する。

苗木の育成(2年目)

(1)側枝を育成する。

(2)優良な側枝群を形成するため、萌芽直前に新梢発生促進剤を散布する。

(3)同じわき芽から側枝が2本以上発生した場合は、最も長いものを1本だけ残し、その他は芽かきする。

定植・栽培管理

(1)側枝の成長が止まり、本葉の展葉が完了したら定植する。

(2)土が崩れないように苗木を鉢から抜く。

(3)苗木を配置し、水鉢ができる程度まで培養土を足す

(4)定植後は側枝に夏枝が発生してしまうが翌年に着花するので剪定しない。

(5)窒素分の含まれた肥料を収量1キログラムに対し2~3グラム、3月・4月・5月・6月・10月の5回に分けて施す。

(6)銅の欠乏を防ぐため5~6月の時期になったら硫酸銅を施す。(1本当たり約2グラム)

(7)主幹の基部から発生する最も強い側枝と下垂した枝を剪定する。

(8)摘果は葉果比20~25で行う。

(9)堆肥などの有機物を1年に1回施すようにする。

(10)土壌pHに応じて苦土石灰を施すようにする。(毎年2月)

主幹形整枝

(1)収穫作業がラクになるよう、直径100~120センチの円柱形の樹冠を目指す。

(2)1本当たりの長さが20~40センチの側枝を主幹の基部から先端まで発生させ、主幹を150~190センチまで成長させることがポイント。

収穫作業

(1)収穫適期は、普通温州が11月中旬頃、早生温州が10月中旬頃。

(2)全体の約7割が着色した頃から早めに収穫すると長く採れる。

(3)専用のハサミを使用して丁寧に収穫する。

3.潅水作業のコツと注意点

みかんは排水性と保水性を兼ねた場所を好む農作物です。そのため、苗木を植え付けた直後は、多くの水分を必要としますが、それ以外の時期は土の表面が乾いてきたタイミングで潅水作業を行っていけば基本的に問題ありません。

特に、10月から12月までの時期は、潅水量を減らし乾燥気味に管理すると果実の甘みが増すといわれていますので、水のやり過ぎには十分に注意するようにしてください。

なお、日本のみかんを栽培する生産者の中には、潅水作業を省力化するための手段として、潅水制御装置という設備を利用している生産者がいます。

潅水制御装置とは、水源の水を汲み上げる「ポンプ」、ポンプで汲み上げた水を運ぶ「パイプ」、潅水作業を実行する「潅水チューブ」等で構成された農業用の設備のことで、露地栽培向けとハウス栽培向けの2つがあります。

潅水制御装置の中にはみかん栽培に適した資材も数多くありますので、ぜひ導入を検討してみてください。

また、当社が開発したSenSprout Pro潅水制御システムを使用すれば、インターネットを利用して、潅水作業を遠隔から制御できるようになります。

家庭菜園から大規模農業まで幅広く使える製品になっていますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

SenSprout Pro潅水制御システム

https://sensprout.com/ja/irrigationcontrolsystem-2/

4.まとめ

みかんは、庭先など家庭菜園でも栽培できる人気の果物です。みかん栽培にチャレンジする際は、ぜひこの記事を参考に潅水作業を行ってみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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