キャベツ栽培における潅水作業のコツと注意点

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キャベツは、サラダや炒め物など料理の付け合わせに多く使われる人気の農作物です。この記事では、キャベツ栽培における潅水作業のコツと注意点について解説していきます。

目次

1.日本のキャベツ栽培

2.キャベツ栽培のポイント

3.潅水作業のコツと注意点

4.まとめ

1.日本のキャベツ栽培

1)キャベツ栽培の歴史

キャベツは、アブラナ科アブラナ属に属する葉菜類の野菜です。

原産は西ヨーロッパの海岸付近で、古代ギリシアが栄えた紀元前4世紀の時代には、すでに食用としての栽培がはじまっていたと言われています。

日本に伝わったのは、江戸時代中期にあたる18世紀初頭の頃で、伝わってしばらくは、観賞用を目的に栽培されていましたが、明治4年に北海道開拓使が食用としての栽培をはじめたことをきっかけに全国各地で生産されるようになっていきます。

現在の主な生産地は、愛知県、群馬県、千葉県、茨城県、鹿児島県の5県で、日本で生産されるキャベツの45%以上を愛知県、群馬県、千葉県の3県で生産している状況です。

・参考

2020年都道府県別生産量ランキング

1位:愛知県(26万2300トン)

2位:群馬県(25万6500トン)

3位:千葉県(11万9500トン)

4位:茨城県(10万5800トン)

5位:鹿児島県(7万2200トン)

2)日本で栽培されている品種の一例

・寒玉(冬)キャベツ

夏に種をまき、冬に収穫する品種。冬キャベツとも呼ばれ日本の市場に最も多く流通している。加熱しても煮崩れが起きないため、ロールキャベツなど煮物にも使用できる。

・春キャベツ

秋に種をまき、春に収穫する品種。新キャベツとも呼ばれる。巻きがゆるやかで葉が柔らかく中の方まで薄い色が付いている。サラダのほか炒め物や浅漬けにも向いている。

・高原キャベツ

長野県や群馬県などの高原地帯で栽培されている夏採れの品種。寒玉キャベツを改良した品種で、寒玉と春玉の中間的な特徴を持っている。

・レッドキャベツ

紫色の葉が特徴の品種。赤キャベツとも呼ばれる。一般的なキャベツと比較してやや小さい。良く似た野菜にトレビスという野菜があるが、トレビスはレタスと同じキク科の野菜である。

・グリーンボール(丸玉)

きれいな緑色をした球形の品種。しっかりとした見た目の葉が特徴だが、甘味があり柔らかい。 一般的なキャベツよりも多くの栄養素を含む。

・サボイキャベツ(ちりめんキャベツ)

フランスのサボイ地方で栽培されている品種。フランスをはじめヨーロッパでは比較的一般的な品種でフランス料理やイタリア料理に多く使われる。

・芽キャベツ

一般的なキャベツと違い、葉の付け根に出てくる脇芽が結球する品種。子持ち甘藍(コモチカンラン)や姫甘藍(ヒメカンラン)とも呼ばれる。原産地はベルギーで日本には明治元年に伝わったと言われている。

・プチヴェール

静岡県の増田採種場が芽キャベツとケールを交配して開発した新しい野菜。芽の出方は芽キャベツと同じだが結球はしない。糖度がとても高い(11~13度)のが特徴だが、甘みはほんのりとしている。

・みさき甘藍/とんがりきゃべつ

背が高く、頭が尖ったタケノコ型の品種。サカタのタネが販売する「みさき」や日本農林社が販売する「とんがりぼうし」など、いくつかの種類がある。いずれの種類も春まきから夏まきで、収穫は初夏から晩秋・冬にかけてとなっている。

2.キャベツ栽培のポイント

種まき・育苗管理

(1)農業用ポットを使用する場合は、直径約3センチ・深さ約1センチの穴を掘り、種を3~4粒、間隔をあけてまく。

(2)育苗箱を使用する場合は、深さ約1センチの溝を8センチ間隔で堀り、1センチ間隔で種1粒ずつ条まきする。

(3)5ミリ程度の高さで覆土する。

(4)水やりをする。

(5)夏まきの場合は、日差しを和らげるため、を寒冷紗やよしずを使用して、農業用ポット箱や育苗箱の上を覆う。

(6)春まきの場合は、霜の被害を避けるため、トンネル型のビニールを使用して、農業用ポット箱や育苗箱の上を覆う。

(7)育苗箱を使用した場合は、葉が込み合わないようこまめに間引きし、本葉が2枚生えたら農業用ポットに移植する。

(8)農業用ポットを使用した場合は、種まき1週間後に2本立ちに間引きし、本葉が2枚生えたら1本立ちする。

(9)育苗期間は夏まき35日(本葉5~6枚)、秋・春まき40~45日(本葉7~8枚)頃を目安に。

(10)夏まきの場合、定植適期が近づいてきた頃に、寒冷紗やよしずを外して、苗を露地条件に慣れさせる。

土づくり・栽培管理

(1)定植2週間以上前に苦土石灰を1平方メートル当たり約100グラム施して深く耕す。

(2)定植1週間前に化成肥料を1平方メートル当たり約100グラム、堆肥を1平方メートル当たり約2キログラム施して、再びよく耕す。

(3)1条植えの場合は、幅50センチ、高さ10センチ程度の平畝をつくる。

(4)2条植えの場合は、幅80センチ、高さ10センチ程度の平畝をつくる。

(5)定植用の穴を掘る。(早生系の品種は株間・条間ともに40センチ。中生・晩生系の品種は株間・条間ともに50センチ。)

(6)苗を植えた農業用ポットに水をたっぷり含ませる。

(7)ポットから苗を抜き、掘った穴に植える。

(8)水やりをする。

(9)追肥は化成肥料を1平方メートル当たり約50グラムを目安に、中耕と土寄せを同時に行いながら施す。

(10)シンクイムシ、ヨトウムシ、コナガ、アオムシ、黒腐病、萎黄病、菌核病、根こぶ病等の病害虫に注意する。

(11)シンクイムシは、夏まきのキャベツの初期生育中に1株に1匹付き、芯を食べてしまうため特に注意する。

収穫作業

(1)収穫期が重なるため結球したものから順に若採りする。

(2)夏まきのは品種は比較的長い間畑におけるが、秋まきの品種は収穫が遅れると球が割れてしまうので十分に注意する。

(3)球を手で横方向に押し倒し、球と株元にある外葉との間の芯を包丁で切る。

(4)収穫後のキャベツの根は畑に置かずに片付ける。

3.潅水作業のコツと注意点

キャベツは、湿度に弱い農作物です。そのため、根が活着する1週間までの間は十分な水分を必要としますが、その後は朝1回の潅水の量を多めにして、表面が乾いてきたタイミングで潅水作業を行っていけば基本的に問題はありません。

なお、日本のキャベツ生産者の中には、潅水作業を省力化するための手段として、潅水制御装置という設備を利用している生産者がいます。

潅水制御装置とは、水源の水を汲み上げる「ポンプ」、ポンプで汲み上げた水を運ぶ「パイプ」、潅水作業を実行する「潅水チューブ」等で構成された農業用の設備のことで、露地栽培向けとハウス栽培向けの2つがあります。

潅水制御装置の中には、株元への潅水を実行する潅水チューブなどキャベツ栽培に適した資材も数多くありますので、ぜひ導入を検討してみてください。

また、当社が開発したSenSprout Pro潅水制御システムを使用すれば、インターネットを利用して、潅水作業を遠隔から制御できるようになります。

家庭菜園から大規模農業まで幅広く使える製品になっていますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

SenSprout Pro潅水制御システム

https://sensprout.com/ja/irrigationcontrolsystem-2/

4.まとめ

キャベツは、胃や腸の粘膜を丈夫にする働きのあるビタミンUを多く含む健康に良い農作物です。キャベツ栽培にチャレンジする際は、ぜひこの記事を参考に潅水作業を行ってみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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