光樹とまと部会 江島 政樹様

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光樹とまと部会について

九州佐賀県の佐賀国際空港の近く、有明海を望む広大な干拓地に個人で42a、部会で3haのトマトを栽培されています。

部会の歴史は古く30年以上前に設立されました。

今回は、光樹とまと部会の役員でもある江島 政樹様にお話をお伺いいたしました。

光樹とまと部会

江島 政樹 役員

http://www.koujutomato.jp/

https://poke-m.com/producers/124

Q、部会の創立は何年ですか?

A、部会を立ち上げたのは30年以上前です。うちは父親がトマト栽培を始めて、それを私が引き継ぐ形でやっています。私が就農してからは20年が経ちました。

Q、江島様の従業員数(社員とアルバイト数、研修生の数)を教えて下さい。

A、私と妻の2人と、パートさんが3人、合計5人でやっています。

Q、江島様が農業を始められたきっかけを教えて下さい。

A、家が農業をしていたので、子どもの頃から親の大変そうな姿を見て育ってきました。だから「農業は大変そうだな。農業はしたくないな。」と思っていました。でも、長男なのに「跡を継げ」とは1回も言われませんでした。だから高校を卒業して、長崎県の食品会社に就職しました。農業以外だったらなんでもいいと、安易に決めた仕事でした。でもアイスクリームを配達したりする仕事で、夏場は特に大変でした。そこで親元を離れて働いて、「大変なのは農業だけじゃない。仕事は何でも大変だ。」と感じました。それから退職して実家に戻って、農業を始めました。

Q、江島様の経歴を教えて下さい。

A、もともと農業する気持ちがなかったので、農業高校や農業大学校には行っていません。食品会社を退職して農業をすることになりましたが、農業の知識はなく、サラリーマンの生活リズムから農業のリズムに変われるか不安でした。だから自分に自信をつけるという意味も込めて、海外に農業研修に行きました。私が行ったのはスイスの農業法人で、たくさんの種類の野菜を栽培して、スーパーに直接納めているところでした。カット野菜工場もあって、収穫やパッキング作業などをしながら1年間過ごしました。そこにはブラジルやポルトガル、ポーランドなど、さまざまな国から研修性が来ていました。いろんな国の人と触れ合うのはとても貴重な経験でしたね。スイスは観光業がとても盛んな国です。スイスの方は、そのきれいな景色は農家さんが管理してくれているからという気持ちをすごく持たれています。だから農家はとても感謝されます。その時、私は「農業はかっこいい。日本でもこんな農業がしたい」と思いました。これが私の農業への思いの根本の部分ですね。

実は父も就農するときにアメリカに研修に行きたかったようですが、親に反対されて行かせてもらえなかったようです。だから自分の息子には行かせてあげたかったんでしょうね。

Q、江島様の栽培作物を教えて下さい。

A、施設栽培の大玉トマトです。直売用にミニトマトも少しだけ作っています。

Q、江島様の栽培面積を教えて下さい。

A、ビニールハウスが42aあります。部会全体では3haを総勢10名で管理しています。

Q、江島様が農業生産以外で行っている他事業について教えて下さい。

A、OEMでトマトジュースやトマトソースなどの加工品を作って販売しています。また、直売もしています。

Q、江島様が会社を経営する中で最も気になることは何ですか?

A、販売です。

Q、その理由をおしえてください。

A、品質にこだわって作っていますが、それに見合う価格で売ることが難しいからです。現在、トマトの市場がかなり苦しいので、それなりの価格で買ってもらわないと採算が合いません。だから、うちの良さを分かってもらうお客さんにトマトを届けられるかが課題だと思っています。そうしないと、適正価格で買ってもらうことは難しいですね。

江島様の販売戦略について

Q、江島様の販売先はどちらですか?

A、6割がJAで、残り4割は個人で直売しています。個人販売のトマトは規格外品ですけど、販売できない品質ではないので直売に回しています。以前は地元の市場に出していましたが、適正価格で扱ってもらえなかったので、自分で売ることにしました。

Q、江島様は直販はされていますか?

A、しています。直売所や農園でも売っていますし、ポケットマルシェでネット販売もしています。

Q、江島様が販売戦略において苦労されていることはありますか?

A、生産量のピークに合わせて売ることです。毎月同じ量を出荷できればいいですけど、トマトは気温が高いときに年間の半分ほどの量が採れます。それを売ることにとても苦労しています。ピーク時でも捌けるだけの売り先をもっておく必要を感じますね。

Q、江島様が販売戦略において工夫されていることはありますか?

A、ここ2,3年は、郵便局で地元の農産物が販売できる仕組みを活用しています。郵便局の方から提案されたので始めてみました。そこでうちを気に入ってくれる人がいると、すごく売れるんです。常連さんもインフルエンサーのように広めてくれます。だから先ほども言ったように、お客さんにどれだけうちの良さを理解してもらえるかが大事だと思います。ただのトマトだと売れません。取り扱う側も「人気だから扱ってみた」という程度では、なかなか売れないと思います。本当にうちのトマトが好きで、この美味しさを広めたいという思いの人の方が広まりやすいと思います。私とじっくり話をして、作っている思いとかを理解してもらった人は違うと思いますね。

また、農園イベントも開催しています。自分としては、お客さんに現場に来て、農業の良さを知ってもらいたいという思いがあります。イベントは収穫体験や、ビニールハウスの中でシェフに料理を作ってもらって、そこで食べるといったことをしています。トマトの畑でご飯を食べるってなかなかないですよね。でも、これこそが農業の価値の1つだと思うので、どんどん伝えていきたいと思っています。他にも麦を刈り取って、そこで2日間限定でカフェをしました。このようなアイデアは妻と話したり、「佐賀南部をよくしよう」というグループで話したりしています。このグループは農業以外にもいろんな業種の方がいます。

江島様の生産管理について

Q、江島様が農業生産している中で、一番苦労した点は何ですか?

A、作物の状態の見極めですね。作物は喋らないので、よく観察しないといけません。

Q、それはどのように解決されましたか?

A、センサー等を取り入れて、数値化するためにデータを溜めているところです。

Q、江島様が農業生産において独自で工夫されているところはどのような点ですか?

A、品質の良いものを作るための土作りですね。

Q、江島様が農業生産において困っていることはありますか?

A、ビニールハウスの資材価格が高いことです。

江島様が目指す農業の未来

Q、江島様が今後の展開について考えていることを教えて下さい。

A、個人としては、法人化に向けて規模拡大していくことが自分の代のミッションだと思います。また、たくさんの人に農業の良さを知ってもらえるように、いろんな人を現場につなげていきたいですね。

部会としては、光樹トマトの良さをもっと多くの人に知ってもらいたいですね。だからJA任せではなくて、自分たちでも販売できるようになりたいと思います。

Q、江島様が考える今後の農業のあるべき姿について教えて下さい。

A、あるべき姿は特にないと思いますが、農業をやりたい若い人が増えてこないといけないと思います。今はさまざまな価値観がありますよね。どんどん稼ぎたい人もいれば、給料は少なくても楽しければいいという人もいます。その中で自分は、農業は楽しくて、家族も養えて、規模拡大を目指さなくてもできる、そんな1つの指針になれればと思っています。

Q、江島様から若手農家へひとことお願いします。

A、いろんな業種で大変なことがあるので、自分の中で楽しめることを見つけてください。

インタビューを終えて

トマト栽培において、あえて難しい水を切った栽培方法を行い、味にこだわり続ける江島様。

これからの課題は、美味しさと収量を両立させたいと仰っていました。

データを取得していくために、当社の水分センサーも導入して頂きました。 今後法人化も視野にあるとのこと、江島様と光樹トマト部会の今後の飛躍が楽しみです。

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