株式会社green style 代表取締役 吉岡 慎吾様

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株式会社green styleについて

2019年に規模拡大と人材確保の為、法人化された株式会社green styleの代表取締役社長、吉岡慎吾様にお話を伺いました。

インタビューの中で「特別なことは何もしていないよ。」と語っていた吉岡社長ですが、お話を伺う中で基本を忠実に守り、当たり前のことを当たり前に実行する会社であることが分かりました。

株式会社green style

代表取締役 吉岡 慎吾様

Q、株式会社green styleの創立は何年ですか?

A、2019年です。

Q、従業員数(社員とアルバイト数、研修生の数)を教えて下さい。

A、社員が3人、アルバイトが7人、研修生が4人です。

Q、吉岡社長が農業を始められたきっかけを教えて下さい。

A、元々実家が農家でした。結婚と同時に家を継ぐかサラリーマンを続けるかとなったときに、家を継いで農業をすると決めました。

Q、吉岡社長の経歴を教えて下さい。

A、18歳から福岡県の水産会社でサラリーマンをしていましたが、21歳で農家になりました。農業法人にする前からずっと小ネギ農家をしていました。規模拡大をするにあたって、人材確保や社会的信用を考えて法人化しました。従業員さんの福利厚生を充実させたいと思っていましたからね。

Q、株式会社green styleの栽培作物を教えて下さい。

A、小ネギ・青ネギです。これから葉物類も始めようと考えています。

Q、株式会社green styleの栽培面積を教えて下さい。

A、ビニールハウスの面積が157.9aです。露地栽培はありません。

Q、株式会社green styleが農業生産以外で行っている他事業について教えて下さい。

A、ありません。

Q吉岡社長が会社を経営する中で最も気になることは何ですか?

A、生産管理です。

Q、その理由をおしえてください。

A、人材管理にもつながることですが、生産管理を省力化しないと従業員がたくさん必要です。自動潅水や自動開閉などを導入して生産管理を省力化することで、人材も育つ環境が整うと考えています。

株式会社green styleの生産管理について

Q、農業生産している中で、過去、一番苦労した点は何ですか?

A、毎年同じ作物を作っているので、連作障害に苦労しています。あとは私の地域は砂壌土で肥料持ちが悪いので、作物を作るたびにトラクターで耕耘する必要があります。

Q、それはどのようにして解決されましたか?

A、特効薬になるかわかりませんが、基本とされている米ぬかやフスマの還元消毒はとてもよく効きます。とにかく、昔ながらの消毒ですね。それと土壌にガスを打ち込むガス消毒です。ただ、消毒は連作障害対策の基本ですが、最近は考えが少し変わってきました。結局、消毒はいいものも悪いものも効いてしまいます。だから有機物を入れる土づくりの方に少しずつ転換しています。でも、正解は何か全然わからないので、消毒と土づくりの使い分けが大切だと思っています。

土づくりに力を入れようと思ったのは、子どもの頃の思い出がきっかけですね。消毒を続けると、土壌が砂漠のように養分のない土になってしまします。でも、小さい頃、山にカブトムシを取りに行ったときに木の下を掘ってみたら、土がすごくフカフカしていたのですね。そして、腐葉土独特のにおいがしました。畑もこのような状態に少しずつ戻していかないといけないと思いましたね。

Q、農業生産において独自で何か工夫されているところはどのような点ですか?

A、ありません。基本通りやっています。いろいろ試してみますけど、最終的に基本に戻ってきます。葉物類は、1年に何回も作るとなると限界があります。小ネギの場合は5作6作回すと、必ず次の年に連作障害の影響が出ます。だから安定して収穫できる回し方をするために、基本通りやっています。地力の高い場所は何作もできますけど、私たちのところは砂壌土ですので。

Q、現在、農業生産において問題や困っていることはありますか?

A、小ネギは倒伏します。ひどく倒伏すると元に戻らず、その時点で洗浄機械にかけられなくなります。さらに、野菜が気孔を閉じて脱水症状のようになって萎れます。例えば、雨が3日くらい続いて翌日快晴になると、気孔を閉じて脱水症状のようになって倒伏します。萎れても夕方、夜には立ち直る野菜もあります。しかし、小ネギは植物としては治りますが、規格に当てはまらなくなって商品として流通できなくなります。だからすごく曲がったネギは機械にかけられないためサイズを分けられず廃棄になります。

倒伏対策は、寒冷紗をかけるなどの暑さ対策です。急激な日照りのときに寒冷紗をかけたり、遮光材をビニールハウスの上にかけたりしています。遮光材は、短期型をかけると2ヵ月くらいで落ちます。でも長期型をかけると4か月くらい落ちません。7月にかけたら10月まで落ちません。すると冬に日照不足になってしまいます。だから私は短期型をかけています。全面積に人の手で寒冷紗をかけるとすごい労力が必要なので、梅雨が明けると同時に遮光材を塗布します。もちろん、葉物野菜によっては6月からかける方もいますが、小ネギの場合は梅雨明けです。最近はドローンで遮光材をかけている人もいるので、ドローンを研究開発している会社に見学にも行きました。

Q、株式会社green styleの主な販売先を教えて下さい。

A、販売はJAを中心に委託しています。私は販売より生産が好きです。販売までするとなると、販売にかなり力を注ぐと思います。でも、それだと福岡でサラリーマンしていたときの仕事と変わりません。だから私は、販売は販売に特化した人に委託するのもいいと思っています。仮に自分で販売しなければならない状況になったら営業マンを雇うと思います。

Q、株式会社green styleは採用活動をされていますか?

A、今は十二分に足りているので募集していません。もう少し規模拡大するために人を育てているところです。唐津市はどこでも土地が空いているわけではなく、いつ規模拡大の話が転がり込んでくるかわかりません。平野部ではないので、ビニールハウスを建てたい人はいても建てる場所がありません。また、斡旋するところがないという問題もあります。

もし新しい土地が手に入っても、ビニールハウスだけ増えて人がいなかったら大変です。人を育てるのには1,2年必要ですからね。だから私は、先行投資として面積以上に人を雇っています。過去に規模拡大して人が足りずに困った経験があるので常に従業員は多めです。そうすれば、常に管理は100%以上できると思っています。細かいところまで管理できます。ビニールハウスがあと20~30%増えても、今の人材で回せるという状況を常に作っています。人からは「雇用しすぎ」と言われますが、私はそれでいいと思っています。「30aあるけど借りてくれないか」と言われたらすぐ手を挙げられるようにしています。そのくらい唐津はチャンスがないのです。利益は減りますが、100%以上の手を入れられます。農業は面積2倍にしても収量は2倍になりませんよね。管理がいき届かなくなって、面積を2倍にしても収量は1.7倍程度になります。でも、私たちは人が多めにいるので収量が人数に比例しています。面積を少しずつ拡張する中で反収も増えています。それは人材のおかげです。その結果、人の限界を感じたのでスマート農業による省力化の必要性を感じています。

吉岡社長が目指す農業の未来

Q、今後の展開について考えていることを教えて下さい。

A、かっこよく、稼げる、価値がある農業へと邁進していきたいと考えております。農業へのイメージを変え憧れる職業へと転換していきたい。

それと、組織作りとして、もう1本柱を増やして会社を強くしていきたいですね。いい意味で従業員さんに自立してもらって、私がいなくても会社が続いていく形にしたいです。今のままだと、私が農業をできなくなったら全員が困ります。社長がいなくなっても、会社という組織があれば農業できるという人材を育成していきたいですね。社長が辞めて従業員さんが路頭に迷うところを何回も見てきました。オーナー社長だと、結局その社長が資本です。私は資本を分散したいのです。社長がだめになったら回らなくなる会社はどうかと思います。そうならないように人材育成をしていきたいです。もっと言えば、社長がいなくなったら「じゃあ次は私が社長します」と言ってくれると会社は続いていきます。「俺がいなくなっても辞める必要はない」と、従業員さんにはいつも言っています。社長は1つの役職としてしか考えていません。

Q、吉岡社長が考える今後の農業のあるべき姿について教えて下さい。

A、現在輸入に頼っている部分を少しでも国産にして、自給率を上げるべきだと思います。その中で高品質で安心安全といった付加価値を付けてくことが大事だと思います。発展途上国で生産するよりコストはかかりますが品質は重要です。そうすれば、日本の中でお金が循環します。輸入だと国外にお金が逃げますからね。東南アジアでは食料自給率100%超えが当たり前です。日本ももう少し自給率を上げていかないといけませんね。

Q、吉岡社長から若手農家へひとことお願いします。

A、迷っているなら迷っている時間がもったいないので農業をした方がいいです。「やっぱりやめた」と言ったときの後悔は大きいと思います。若い人たちにはどんどん挑戦してほしいですよね。私は「迷ったらする」と常に決めています。後で「やればよかった」と思うのは嫌いで、やって後悔する方がいいです。自分の決断力のなさより虚しいことはありません。可能性に賭けて行動を起こしてみないとわかりません。

インタビューを終えて

一般的に拡大した規模に比例した収量を確保するのが難しいのが農業です。

しかし、農地拡大時に合わせて収量確保するためには、人材確保とその育成が重要だと判断した吉岡社長。

「言うは易く行うは難し」ということわざがあるくらいですから、簡単なことではありません。

生産者一人当たりの面積拡大が進む中、お手本となる経営をされておりました。