水田の水位を測定する農業水分センサー

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日本では、米や野菜、果樹など多くの農作物が生産されています。その中でも米は、日本の農業算出額の約2割を占める重要な農作物です。しかし、高品質・高収量な米生産を持続するためには、日々の水管理が重要になってきます。この記事では、水田の水位を測定する農業水分センサーについて解説していきます。

目次

1.日本の米生産について

2.水田の水管理

3.水田の水位を測定する農業水分センサー

4.まとめ

1.日本の米生産について

1)減反政策の廃止

日本では、欧米化によって増加した日本人の米離れに対応するため、1970年から2017年までのおよそ50年間、減反政策という農業政策が行われてきました。

減反政策とは、米の需給バランスや価格の安定化を目的に、作付面積の削減を要求したもので、政府の方針に従い、米以外の農作物を生産すれば、補助金等を受け取れるなどのメリットがありました。

しかし、近年は農業人口の減少や高齢化、担い手不足を背景に作付け面積が当初の想定よりも大幅に減少。度々指摘されてきた国際競争力低下の課題もあり、2018年に減反政策は正式に廃止されました。

2)日本の米生産量

農林水産省が2020年に推定したデータによれば、2021年度産の主食用米の適正生産量は679万トンで、「2020年度よりも50万トン(作付け面積10万ヘクタール分)削減しなければ需給と価格の安定が図れない」という予測が出ています。

また、全国農業協同組合中央会(JA全中)が2021年3月末に示した今後の米の需給見通し試算では、2021年6月末の民間在庫量が220万トン~253万トンと、国の見通しである195万トン~200万トンを大幅に上回る結果を予測。「飼料用米等への転換促進に加え、6次産業化や輸出拡大に向けた生産コストの軽減等の対策が必要」としています。

※参考

都道府県別の米生産ランキング(令和2年度)

1位  :新潟県(66万6800トン)

2位  :北海道(59万4400トン)

3位  :秋田県(52万7400トン)

4位  :山形県(40万2400トン)

5位  :宮城県(37万7000トン)

6位  :福島県(36万7000トン)

7位  :茨城県(36万トン)

8位  :栃木県(31万8500トン)

9位  :千葉県(29万7500トン)

10位:青森県(28万3900トン)

3)日本の米生産の課題

日本の米生産は、少ない面積に多くの資本を投入する集約農業を基礎としています。そのため、農業者1人当たりの金銭的負担や身体的負担が大きく、新たなマーケット創出に向けた取り組みが難しい状況にあります。

特に、水田の水位を確認する水回り作業については、栽培している面積によって、毎朝1時間以上の時間が費やされているケースも報告されています。

2.水田の水管理

水田の水管理は、「田植え〜最高分げつ期」・「最高分げつ期〜中干し」・「出穂期」・「落水」の4つのステージに分けられます。

1)田植え〜最高分げつ期

田植え後、苗が活着するまでは、水没しない程度の水深(約5〜7cm)をキープして苗を保護するように管理します。(深水管理)

その後、幼穂が作られる最高分げつ期に入り、苗が活発に生育し始めたら、やや水量を減らし(約2〜4cm)、地温を上げ、分げつの発生を促すように管理していきます。(浅水管理)

2)最高分げつ期〜中干し

この時期は、あえて水田から水を抜き、土の表面に亀裂が現れる中干しを行わなくてはなりません。(7〜10日程度)

中干しは、土壌から発生する有毒ガスを抜く効果や土壌に酸素を供給して根の健全な生長を促す効果、窒素の吸収を抑える効果があるといわれています。

特に、窒素の吸収を抑えることは、穂のつかない茎の発生を防ぐことにつながりますので、収量を上げる重要な工程として捉えておく必要があるでしょう。

3)出穂期

出穂期は、根をしっかり育てるため、水を入れる工程(湛水)と水を抜く工程(落水)を数日ごとに繰り返す「間断灌漑」を行います。

その後は、開花・受粉・受精が正常に起こるよう浅水管理を徹底し、開花が終えたら、再び「間断灌漑」を実施して、米粒がしっかり育つように管理してください。

4)落水

水田の水を抜く落水は、収穫1〜2週間前に行います。

一般的に「落水は遅ければ遅いほど良い」といわれていますが、収穫までに土が乾燥していないとコンバイン等の大型機械が使用し難い状態になってしまいますので、時期の見極めには十分に注意してください。

3.水田の水位を測定する農業水分センサー

農林水産省は、農業者の高齢化や担い手不足など日本農業が抱える課題を背景に、ロボット技術やAI(人工知能)、ICT(情報通信技術)等の先端技術を活用したスマート農業を推進しています。

当社が提供する「SenSprout Pro センサーシステム」は、土壌に含まれる水分量を遠隔から測定する製品ですが、水分センサーの中には、水田の水位を遠隔から測定・制御する製品もあります。

・SenSprout Pro センサーシステム

https://sensprout.com/ja/sensorsystem-2/

1)水田Farmo

株式会社Farmoが提供する水田Farmoは、水位センサーと給水ゲートの2つを使用して、水田の入水と止水を遠隔から制御するアプリです。

スマートフォン等のデバイスを通じて、水田の水位をリアルタイムに知ることができるため、水見回り回数の大幅削減につながります。

栃木県日光市の棚田で行われた実証実験では、スマート農業の利用が難しい高齢農業者に水田farmoを導入して、同社のスタッフが水田の水回りをサポート。

地域全体にアンテナを設置して、スマートフォンを利用した水管理や水位情報のFAX送信サービスを検証しました。

・水田Farmo

https://farmo.info/paddy.php

2)PaddyWatch(パディウォッチ)

ベジタリア株式会社が提供するパディウォッチは、専用のセンサーを使用して水田の水位・水温・土壌温度を自動受信する水管理支援システムです。

NTTドコモのSIMを利用しているため、山間部でも安定した測定が可能です。また、測定したデータは、クラウドに保存される仕組みになっているため、データの消失の心配もありません。

北海道のホクレン農業協同組合が実施した実証実験では、JA新すながわ、JAたいせつの組合員協力の下、田植え後の6月にパディウォッチを設置。

水位、水温、気象情報をリアルタイムに確認することで、「夜間に冷え込みそうな時は入水しておく」等の対策を講じることができたそうです。

・PaddyWatch(パディウォッチ)

https://www.vegetalia.co.jp/our-solution/iot/paddywatch/

3)水田用水位センサ PPVシリーズ

株式会社センシズが提供する水田用水位センサ PPVシリーズは、設置が簡単な投げ込み式の圧力水位センサーです。

ステンレス製のダイアフラム構造で、ゴミや藻などが付着し難い設計が特徴です。測定できる水位は1メートルで用水路等の水位観測にも使用できます。

平成30年には、同社が本社を置く、東京都八王子市が実施した「平成30年度八王子市中小企業新商品開発認定制度」の認定も受けました。

・水田用水位センサ PPVシリーズ

https://www.sensez.co.jp/product/ppv.html

4.まとめ

稲作は、私たち日本人が古来より親しんできた文化ともいうべき産業です。しかし、近年は農業人口の減少や高齢化、担い手不足等の課題を背景に、耕作放棄地の増加が問題になっています。

日本の米生産は、大型機械や化学肥料を使用した慣行栽培を主流に発展してきましたが、水田の水回り作業を省力化する技術については、普及が遅れている状況にあります。 水田の水回り作業の省力化を検討する際には、ぜひこの記事を参考に導入を進めてみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。