自動制御で省力化へ!話題のスマート農業機器を紹介

SenSproutは遠隔制御できる潅水装置や、土壌水分センサーを中心に開発・販売しています。

しかし、農業には潅水以外にも様々な要素を、自動制御できる機器があります。

ビニールハウス内の環境を作物の生育にあわせてくれる機器や、自動で空調を調整する換気用の大型機械など、その種類はさまざまです。

それに、自動制御は作業の大幅な効率化にもなりますし、人手への負担も減ります。

ビニールハウス施設に自動制御機器を取り入れて作業が一気に楽になったという方もいるでしょう。

そこで今回は、潅水以外でどんな自動制御の農業機器があるのか紹介します。

ビニールハウスでの野菜栽培だけでなく、稲作の機械も紹介するので、スマート農業に興味をもっている方はぜひ参考にしてみてください。

目次

1.複合要素からビニールハウス内の環境を自動制御

2.GPS搭載の自動運転トラクター

3.まるで意思を持っているかのような自動運転田植え機

4.まとめ

1.複合要素からビニールハウス内の環境を自動制御

ビニールハウス栽培では、潅水のほかにハウス内の環境制御も重要な要素です。

作物の収量や品質は光合成によって左右されるため、ビニールハウス栽培では「いかに作物の光合成能力を高めるか」がポイントになってきます。

作物は光エネルギーにより水と空気中のCO2を取り入れ、酸素を放出して栄養分となる糖を合成します。

光合成によって作られた糖は、作物が成長し開花・結実するために必要です。

この光合成のはたらきを高めるためには、ビニールハウス内を作物にとって最適な環境にする必要があります。

しかし、一口に「ビニールハウス内の環境」といっても、CO2濃度や温度、湿度、光量など、その要素はさまざまです。

また、ビニールハウス内の環境だけでなく、屋外の気温や湿度、天候なども考慮する必要があります。

これらをいちいち人の手で管理しているとかなりの知識と経験を要するだけでなく、失敗すると作物にストレスを与えて収量や品質を下げてしまいます。

そこで、ビニールハウス栽培の分野ではこの「複合的な」環境を自動で制御してくれる機器が開発されています。

例えば、Hoogendoornの開発した「isii(イージー)」という商品は、ビニールハウス内の複合的な環境を制御するシステムです。

https://www.ishiguro.co.jp/business/cat159/

「光合成の最大化」を目的に、設定されたビニールハウス内外の9つの要素から、ビニールハウス内の環境を効率的に、正確に制御します。

設定できる9つの要素は以下のようになっています。

〇光合成に影響する要素

  • 温度
  • 湿度
  • 光量
  • CO2濃度

〇ビニールハウス内環境に影響する要素

  • 屋外温度
  • 屋外風速・風向
  • 光量
  • 降雨
  • 屋外CO2濃度

これらを1度設定しておくだけで、時間帯や状況に関わらず、ビニールハウス内を作物にとって理想的な生育環境に整えてくれます。

10ha以上の大型ビニールハウスにも対応しているため、大規模施設でも安心して導入できます。

収量の増加や品質の安定化、作業の効率化に大きく貢献する機器でしょう。

2.GPS搭載の自動運転トラクター

稲作分野では、GPSを搭載した自動運転のトラクターや田植え機などの大型機械が、スマート農業の最先端として話題です。

特に「クボタ」は自動運転技術の開発に早くから取り組んでいます。

https://www.kubota.co.jp/rd/smartagri/index.html

現在の日本の農業メーカーの中で、大型機械の自動運転において最も進んでいるメーカーと言っていいでしょう。

クボタでは、農業機械の自動運転を以下の3つのステップに分けて開発に取り組んでいます。

  • 搭乗状態での自動操舵
  • 有人監視下での自動化・無人化
  • 完全無人化

現在は「有人監視下での自動化・無人化」まで開発が進んでいます。

では、自動運転のトラクターは、実際どのように動くのでしょうか?

まずは、農作業に最適な自動運転ルートを決めるために、人が機械に乗り込んで、手動運転で圃場の外周を走って「圃場マップ」を作成します。

圃場マップが完成したら、自動運転のスタートです。

リモコンを操作するだけで、機械が勝手に農作業をしてくれます。

作業の誤差は、わずか数センチ。

この秘密は、RTK-GNSSユニットと呼ばれるシステムに隠されています。

GNSSとは、複数の測位衛星を用いた位置計測システムのことです。

宇宙にある測位衛星のみの計測だと、衛星軌道の誤差などにより、数メートルもの誤差が生じることがあります。これでは農作業どころの話ではありません。

そこで、RTK(リアルタイムキネマチック)と呼ばれる方式で、その誤差を減らします。

RTKは、地上に設置された基地局からの補正情報をキャッチします。この補正情報と測位衛星からの情報を比較・計算することで、誤差数センチという高い作業制度を実現しているのです。

また、RTK-GNSSユニットには、圃場の起伏に応じて機体のズレを補正し、機体が傾いた状態でも正確な位置を計測できる機能も備わっています。

このような機能を搭載することで、トラクターの自動運転が可能になっています。

ほかにも、障害物を検知すると自動的に停止する「人・障害物検知システム」や、無人機+有人機の2台同時作業を可能にする「サラウンドビュー」といった機能も搭載しています。

そして現在では、③の完全無人化に向けた研究開発が進められています。

最新の展示会で公開された無人運転トラクターは、「これがトラクターなのか」という驚きの形状をしています。

まだまだ進化する自動運転トラクターから、目が離せません。

3.まるで意思を持っているかのような自動運転田植え機

クボタでは、トラクターだけでなく田植え機の自動運転技術も進んでいます。

最新の「アグリロボ田植機NW8SA」という田植え機は、旋回を含めたすべての作業を自動で行ってくれます。

https://www.kubota.co.jp/new/2020/20-04j.html

トラクター同様、まずは圃場の外周を有人運転で走行し、圃場マップを作成します。

その後は、田植え機が走行経路を自動計算し、効率の良いルートで植え付け作業を行います。

そして驚くべきポイントが、苗が少なくなると、田植え機自ら苗の補給ポイントまで近寄ってくることです。

残りの苗の量を機械自身が計算しているため、最適なタイミングで苗を補給します。こうすることで、苗の補給にかかる時間と手間が削減されています。

さらに、作業終盤になって残りの植え付け面積が少なくなってくると、自動的に植える条数を減らしてくれます。8条で植えていたのに、急に4条に変わるという感じです。

まるで自らの意思を持って動いているかのようです。

もちろん、GPS搭載で、まっすぐきれいに苗を植え付けてくれます。

田植えは運転手と補助役の2人1組で行う作業でしたが、自動運転田植え機によって、1人でも可能な作業になりつつあります。

4.まとめ

今回紹介したように、自動制御技術の進歩により、スマート農業が普及しつつあります。

農業者の高齢化や農業人口の減少により、作業効率のさらなる効率化が求められています。スマート農業はこれらの課題を解決するために欠かせません。

自動制御技術はまだまだ発展し、さらなる農業の進展に貢献するでしょう。

将来は「オフィスで農業する」、なんて時代が来るかもしれません。

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