トマト栽培で自動潅水するメリットを解説

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潅水作業の自動化は、生産者の労力を軽減するのみならず、農業生産に係わるすべての要素に大きな効果をもたらすとされています。この記事では、潅水を自動化するメリットについて、トマト栽培を例に解説していきます。

目次

1.潅水制御装置とは?

2.潅水を自動化するメリット

3.トマト栽培における具体的メリット

4.まとめ

1.潅水制御装置とは?

潅水制御装置は、農作物の水やり作業を省力化するための装置で、ポンプ・塩ビ管・パイプ・ろ過フィルター・タイマー・バルブ・コック類・液肥混入機・潅水チューブ・スプリンクラー等の設備で構成されています。

1)潅水方法の種類

・地表潅水

地表潅水は、農作物の畝間の表面に潅水チューブを設置して潅水する方法です。ビニールハウス等の施設園芸ほか、野菜の露地栽培等でも用いられています。

・点滴潅水

点滴潅水は、雨のようなゆっくりとした水やり作業が特徴の潅水方法です。

潅水に使用するチューブは、地表に設置して使用するタイプと地中に埋没して使用するタイプの2種類があります。少量多潅水と呼ばれる水やり作業に多く用いられています。

・頭上潅水

頭上潅水は、大規模農業による露地栽培やビニールハウス等の施設園芸で用いられる潅水方法です。スプリンクラーを使用する露地栽培向けの方法やハウスの天井部にノズル付きのパイプを設置して施設全体を潅水する方法があります。

2)潅水制御装置の種類

潅水制御装置には、手動・遠隔・自動の3つの種類があります。

・手動潅水制御

手動潅水制御とは、潅水に関するすべての操作を手動で制御する装置のことを指します。潅水制御装置の中では、最もポピュラーな方法として知られています。

・遠隔潅水制御

遠隔潅水制御とは、インターネットを利用して潅水を遠隔から操作する装置のことを指します。当社の「SenSprout Pro 潅水制御システム」がこれに該当します。

遠隔潅水制御システム SenSprout Pro 潅水制御システム

・自動潅水制御

自動潅水制御とは、IoT(Internet of Things)とAI(人工知能)を組み合わせた完全自動型の潅水システムです。株式会社ルートレック・ネットワークスが提供するゼロアグリがこれに該当します。

AI潅水施肥ロボット ゼロアグリ

https://www.zero-agri.jp/

2.潅水を自動化するメリット

1)潅水作業の省力化

潅水の自動化は、水やり作業の時間短縮につながります。

自動化によって空いた時間を他の作業に充てることで、人員や時間の配分を含む農業生産全体の効率化が図れます。

2)水資源の効率的活用

潅水の自動化は、水分量や潅水のタイミングや潅水時間を調節できる特徴から、余分な水量を使用することなく作物を生育させることができます。

3)農作物の病害虫予防

農作物の中には、葉に水がかかると病気になりやすい品種があります。

潅水制御装置に使用されている潅水チューブは、孔径や配列形、ピッチ数など様々な種類があるため、栽培作物に適した水量を葉にかけることなく施すことができます。

3.トマト栽培における具体的メリット

効果例 その1:水管理に費やす時間と人員への効果

農林水産省が公表する『農業の「働き方改革」主要品目ごとの課題と経営者の取組(例)』によれば、施設大玉トマトの栽培を例に「27.73a当たり約2.5人の人員が必要」とされています。

農業の「働き方改革」主要品目ごとの課題と経営者の取組(例)

https://www.maff.go.jp/j/study/work/attach/pdf/index-15.pdf

また、ミニトマトの栽培については、「30a当たりの総労働時間を4737時間、収穫に費やす時間を2310時間、1日1人当たりの必要人数を4.7人」と算出しています。

この統計を参考に、「総労働時間-収穫時間=栽培管理に関する時間」と仮定した場合、水やり作業を含む栽培管理におよそ2427時間を費やしている計算になります。

トマト栽培における潅水の自動化は、栽培管理に費やす時間と栽培に係わる人員を大幅に減少するもので、先述した完全自動型の潅水システムであるゼロアグリを導入した熊本県のとまと農家の例では、1日/3~4時間を費やしていた潅水作業の時間を数分単位まで短縮することに成功しています。

効果例 その2:収穫量への効果

トマト栽培では、少量多潅水と呼ばれる潅水方法が用いられるケースがあります。

少量多潅水とは、少量の水を時間をかけて、回数を重ねて与える潅水方法で、農作物のストレスを最小限に抑える効果があります。

ストレスと着果率の関係を調査した栽培実験では、潅水制御装置を使用した水の葉面噴霧時刻と着果の関係および水分の土壌容量を検証する研究が行われました。

研究では、ストレスの軽減から「少量の水を時間をかけて、回数を重ねて与えた圃場の方が着果率が高く糖度も高い」という成果が得られたそうです。

さらに、愛知県が実施した『夏秋トマトの養液土耕、長段栽培における生育ステージ別施肥・かん水管理指針の作成』では、総収量について、慣行栽培区の8.3㎏よりも1㎏多い9.3㎏という収量ほか、良品果率90%以上、平均果重200g強という成果が示されています。

効果例 その3:糖度への効果

潅水の自動化は、高糖度トマトの栽培にも役立ちます。

高糖度トマトは、近年の消費者ニーズに応えた人気の商品で、そのブランディング効果から栽培をスタートする農家も少なくありません。

高糖度トマトの栽培では、少量多潅水が有効といわれ、先述した研究成果でも「少量多潅水による水管理が糖度に良い影響を与える」との結論が導きだされています。

しかし、糖度を高めるためには潅水量を制限することが必要になるため、水分の不足による収穫量への悪影響が懸念されるケースもあります。

潅水の自動化による少量多潅水は、少量の水を時間をかけながら回数を重ねて与える潅水方法ですので、「収量と糖度の両方に良い影響を与える」とされています。

トマトの糖度は4~6度が通常といわれていますが、高糖度トマトでは、8~10度の糖度を誇る品種もあります。

4.まとめ

農業経営における潅水の自動化は、収益性を向上するための重要な要素のひとつです。

当社が提供する遠隔潅水制御システム「SenSprout Pro 潅水制御システム」を使用すれば、効率的な水管理を遠隔から制御することが可能です。

潅水制御装置を用いた農作物の栽培を開始する際には、ぜひ当社の遠隔潅水制御システムである「SenSprout Pro 潅水制御システム」の導入を検討してみてください。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

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