カリフラワー栽培における潅水作業のポイントについて

カリフラワーはビタミンCを多く含む健康に良い野菜です。この記事では、カリフラワー栽培における潅水作業のポイントについて解説していきます。

目次

1.日本のカリフラワー栽培

2.カリフラワー栽培の手順

3.潅水作業のポイント

4.まとめ

1.日本のカリフラワー栽培

1)カリフラワー栽培の歴史

カリフラワーはアブラナ科アブラナ属に属する葉菜類の仲間です。

原産は地中海沿岸の地域で、「ブロッコリーが突然変異して生まれた説」と「近東に原生していたものをアラブ人がヨーロッパに伝えた説」の2つの説があります。

日本に伝わったのは、明治時代に入ってからで、花蕾が1箇所に集中する美しいその見た目から「花梛菜(はなやさい)」という名称が付けられましたが、当時はまだ高級な西洋野菜のイメージが強く、広く一般に普及するまでには至りませんでした。

しかし、第二次世界大戦が終わり、昭和30年を迎える頃になると「洋食文化の広まり」、「改良種の輸入」、「栽培技術の進歩」などを背景に全国で消費されるようになっていきます。

現在の主な生産地は、熊本県、茨城県、愛知県、徳島県、埼玉県の5県で、熊本県、茨城県、愛知県の3県で国内生産量の約35%を生産しています。

・参考

2019年都道府県別生産量ランキング

1位:熊本県(2700トン)

2位:茨城県(2500トン)

3位:愛知県(2270トン)

4位:徳島県(1960トン)

5位:埼玉県(1820トン)

2)日本で栽培されている品種の一例

サカタのタネ

・ブライダル

 春まき初夏採り・夏まき秋冬採りの中早生品種。大型で黒緑色の葉が特徴。肥大が良く安定した品質で重さ900グラム前後に揃う。

・美星

定植後70日前後で収穫できる耐暑性に優れたた早生品種。コンパクトな草姿のため密植栽培に向いている。みずみずしい食感が楽しめるため生食用としても使用できる。

・バロック

秋採りに最も適した早生品種。葉は厚く丈夫だが草丈が低い。ポリフェノールの一種であるアントシアン(紫色)の発生がほとんどない。

 タキイ種苗

・スノークラウン

生育旺盛な早生品種。定植後70日前後で収穫ができる。純白で大玉の花蕾が特徴。温度に対して鈍感ため、春作での早期出蕾の発生が少ない。

・オレンジブーケ

花蕾がオレンジ色の中早生品種。断面は淡黄色で加熱調理後も変色しない。ドーム型の花蕾が特徴。茎外葉は一般のカリフラワーと同じだが結束すると着色が悪くなる。

トーホク

・白穂

生育旺盛な早生品種。安定した収穫が期待できるため、初心者でも比較的簡単に栽培できる。純白で大きな花蕾が特徴。

中原採種場

・ホワイトパレス

夏まき・春まき兼用の早生品種。純白でボリュームのある花蕾が特徴。収穫時期が長いため比較的簡単に栽培できる。秀品率が高い。

・カリブロ花椰菜

欧州で生まれたカリフラワーの仲間。やや黄色味を帯びた緑色の花蕾が特徴。耐暑性や耐寒性に優れている。味にクセが無いため様々な料理に使用できる。

2.カリフラワー栽培の手順

種まき・育苗管理

(1)農業用ポットを使用する場合は、直径約3センチ・深さ約1センチの穴を掘り、種を3~4粒、間隔をあけてまく。

(2)育苗箱を使用する場合は、深さ約1センチの溝を8センチ間隔で堀り、1センチ間隔で種1粒ずつ条まきする。

(3)5ミリ程度の高さで覆土する。

(4)水やりをする

(5)夏まきの場合は、日差しを和らげるため、寒冷紗やよしずを使用して、農業用ポットや育苗箱の上を覆う。

(6)秋・冬・春まきの場合は、農業用ポット箱や育苗箱の上をトンネル型のビニールで覆い、加温・保温する。

(7)育苗箱を使用した場合は、本葉が出始めたタイミングで2センチ間隔に間引きし、本葉が2枚程度になったら農業用ポットに移植する。

(8)農業用ポットを使用した場合は、本葉が出始めたタイミングで2本立ちに間引きし、本葉が2枚になったら1本立ちにする。

(9)育苗期間は夏まき30日(本葉5~6枚)、冬・春まき35日(本葉4枚)頃を目安に。

(10)夏まきの場合は、定植適期が近づいてきたタイミングで寒冷紗やよしずを外し、苗を露地条件に慣れさせる。

土づくり・栽培管理

(1)定植2週間以上前に苦土石灰を1平方メートル当たり約100グラム施して深く耕す。

(2)定植1週間前に幅・深さの15センチの溝を掘り、化成肥料を1平方メートル当たり約150グラム、堆肥を1平方メートル当たり約2キログラム入れ、土を埋め戻す。

(3)幅40センチ程度の平畝をつくる。(1列植えの場合)

(4)定植用の穴を株間40センチ間隔で掘る。

(5)苗を植えた農業用ポットに水をたっぷり含ませる。

(6)ポットから苗を抜き、掘った穴に植える。

(8)1回目の追肥は根が活着して生育をはじめた頃。

(9)2回目の追肥は花蕾が見えはじめた頃。

(10)追肥と同時に中耕と土寄せも行う。

(11)ヨトウムシ、コナガ、アオムシ、苗立ち枯れ病、軟腐病、黒腐病などの病害虫に注意する。

(12)防虫ネットをトンネル状にかけ、害虫の被害を抑えるのも有効。

(13)防虫ネットをかける際は、土との間にすき間ができないように。

(14)育苗期に株元に水を与え過ぎると、苗立ち枯れ病の発生原因になるので、十分に注意する。

収穫作業

(1)花蕾が鶏卵くらいの大きさに成長したら、着色や寒害から保護するため、花蕾を包むように外葉を束ね、紐で結ぶ。

(2)外葉を切って花蕾の上を覆うのもよし。

(3)花蕾の直径が15センチ程度に成長し、全体が硬くしまった塊になったタイミングで主枝をナイフで切り取り収穫する。

(4)多少早めに収穫しても品質的に問題がないため、収穫適期を見逃さない。

(5)収穫してから時間が経過すると栄養価と食味が急速に落ちるため、早めに利用・出荷する。

3.潅水作業のコツと注意点

カリフラワーは過湿に弱い農作物です。そのため、育苗期は十分な水分を必要としますが、その後は基本的に自然の雨のみで構いません。

しかし、10日以上雨が降らないなど、畑が極端に乾燥した状態が長く続く場合には、朝たっぷり潅水作業を行うようにし、夕方には乾くようにしておきましょう。

ちなみに、曇りの日には、葉が萎れてしまったケースを除き、潅水作業を行う必要はありません。

なお、日本のカリフラワー生産者の中には、潅水作業を省力化するための手段として、潅水制御装置という設備を利用している生産者がいます。

潅水制御装置とは、水源の水を汲み上げる「ポンプ」、ポンプで汲み上げた水を運ぶ「パイプ」、潅水作業を実行する「潅水チューブ」等で構成された農業用の設備のことで、露地栽培向けとハウス栽培向けの2つがあります。

潅水制御装置の中には、自然の雨のような潅水を実現する潅水チューブなど、カリフラワー栽培に適した資材も数多くありますので、ぜひ導入を検討してみてください。

また、当社が開発したSenSprout Pro潅水制御システムを使用すれば、インターネットを利用して、潅水作業を遠隔から制御できるようになります。

家庭菜園から大規模農業まで幅広く使える製品になっていますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

SenSprout Pro潅水制御システム

https://sensprout.com/ja/irrigationcontrolsystem-2/

4.まとめ

カリフラワーは、サラダなど私たちの食卓に彩りと健康を与えてくれる人気の農作物です。カリフラワー栽培にチャレンジする際は、ぜひこの記事を参考に潅水作業を行ってみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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