土壌水分センサーの必要性と種類や選び方について

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日本の農業現場では、農業従事者の高齢化や担い手不足等の課題を背景に、農業生産を省力化する最新の機械や機器の導入が進められています。その中でも、土壌水分センサーは、農作物の生育に必要な水分量を簡単に測定できるとして、ビニールハウス等の施設栽培を中心に多くの農業者が利用しています。しかし、土壌水分センサーには様々な種類があるため、「どれを選べば良いのかわからない」という人も多いと思います。この記事では、土壌水分センサーの種類と選び方について解説していきます。

目次

1.土壌水分センサーが検知する情報

2.土壌水分センサーの種類

3.土壌水分センサーの選び方

4.まとめ

1. 土壌水分センサーが検知する情報

土壌水分センサーは、土壌に含まれる水分量を計測するための装置で、土壌水分量のほか、土壌温度や電気伝導度(EC値)、土壌pH等の数値を計測できる製品も発売されています。多くの土壌水分センサーが検知する情報は以下の通りです。

1)土壌水分量

通常、土壌に含まれる水分量は、土壌表面に現れる湿り気と乾き具合を目視や手の感触で確認して判断する方法が一般的とされています

しかし、土壌水分センサーを使用すれば、農作物の生育に必要な水分量を数値で確認できるようになるため、適切なタイミングでの潅水が可能になります。

測定方法と作物別の消費水量については、以下の記事を参考にしてください。

「土壌水分の測定と作物別の消費水量を解説」

2)土壌温度

土壌温度の計測は、土壌に含まれる水分の蒸発量の計算に使用します。

土壌水分の蒸発は、農作物の健全な生育に必要な水分量を不足させてしまうことから、収量や品質にも大きな影響を及ぼすといわれています。

しかし、土壌水分センサーの中には、土壌に含まれる水分量に加え、土壌温度を計測する製品もありますので、これを使用すれば、土壌水分の蒸発を未然に防ぐことができるようになります。

3)電気伝導度(EC値)

電気伝導度(EC値)は、土壌に含まれる肥料分や塩分濃度を示した数値です。EC値が0.3㎳/㎝以下を示す場合は施肥量を増やし、1.0㎳/㎝以上を示す場合は施肥量を減らすのが良いそうです。

4)土壌pH

土壌pHは、土壌に含まれる酸性・アルカリ性の度合いを示した数値です。

農作物は、pH6.0~6.5の弱酸性の土壌でよく育つといわれています。しかし、土壌pHが低い状態のまま、土壌全体が酸性に傾き過ぎると、石灰分や苦土分の欠乏、アルミニウムの溶け出し等を招き、根の生育を妨げてしまいます。

電気伝導度(EC値)と土壌pHの適正な値については、農林水産省が農作物別の基準値を公表していますので、以下を参考に計測してみるのも良いでしょう。

参考|農林水産省「作物別土づくりの基準値と改善対策(野菜)」

https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/pdf/ktebiki1.pdf

2. 土壌水分センサーの種類

土壌水分センサーには、テンシオメーター、平板型、電極棒式(TDR・ADR)、ロガータイプの4つの方式があります。いずれの方式もセンサーを地中に埋没して使用するのは同じですが、原理や形状に違いがあります。

1)テンシオメーター

テンシオメーターは、ポーラスカップと呼ばれる素焼きのカップを使用した土壌水分センサーです。センサー周辺の土壌が乾燥するとテンシオメーターに充填した水が外部に吸引される仕組みを利用して土壌の水分量を測定します。

参考: 圧力式テンシオメーター(クリマテック株式会社)

http://www.weather.co.jp/catalog_html/CHS-TM.htm

2)平板型

平板型は、電圧をかけた平板型のセンサーを利用して土壌に含まれる水量の変動を測定する土壌水分センサーです。メンテナンスが簡単で電力の消費量も少ないことから、無人での測定にも向いています。

参考:平板型土壌水分センサーEC-5 METER社製(大越理化工業株式会社)

3)電極棒式(TDR・ADR)

電極棒式(TDR・ADR)は、土中に埋没した金属ロッドに流したマイクロ波を利用して、土壌の比誘電率を測定する土壌水分センサーです。センサー基部にある回路機器から発振された電磁波がロッドの先端に流れ、次の発振を誘発する仕組みを利用しています。

参考:土壌用EC/水分計 PFC-42シリーズ(アズワン)

https://axel.as-1.co.jp/asone/g/NC2007031986/?q=%E5%9C%9F%E5%A3%8C%E7%94%A8EC%2F%E6%B0%B4%E5%88%86%E8%A8%88

4)ロガータイプ

ロガータイプは、土壌に含まれる水分量を定期的に測定して記録するロガー付きの土壌水分センサーです。土壌水分を測定するセンサーと測定した数値を記録するロガーで構成されています。セット製品のほか、既存の土壌水分センサーと接続して使用するロガー単体の製品もあります。

参考:TDR土壌水分計TDR-341F データロガー(佐藤商事株式会社)

https://satosokuteiki.com/upload/items/2380/tdr-341f.pdf?_ga=2.152219132.490312489.1621320263-519048951.1621320263

3. 土壌水分センサーの選び方

当サイトがおすすめする土壌水分センサーの選び方のポイントは以下の3つです。

1)価格で選ぶ

土壌水分センサーの価格は幅広く、家庭菜園などで土壌水分のみを測定するのであれば、1000円前後の製品も数多く発売されています。

土壌水分センサーを初めて導入するのであれば、まずは低価格な製品を使用してみるのがおすすめです。アナログ表示の製品とデジタル表示の製品がありますのでお好みで選んでみてください。

2)性能と使いやすさで選ぶ

先述しましたが、土壌水分センサーの中には、土壌温度や電気伝導度(EC値)、土壌pH等の数値を計測できる製品もあります。

土壌水分+土壌温度を測定する製品や土壌水分+土壌温度+電気伝導度(EC値)を測定する製品など、様々な種類がありますので、土壌環境や栽培する作物に適した製品を選んでみるのも良いでしょう。

3)先端技術を活用した製品を選ぶ

土壌水分センサーの中には、ITなど先端技術を活用した製品もあります。

当社が開発した「SenSprout Proセンサーシステム」は、インターネットを利用した土壌水分センサーです。土壌水分の測定や地表面温度の計測を遠隔から確認できる機能のほか、土壌水分の変化を通知するアラーム機能やデータをグラフ化したりCSVダウンロードする機能を備えていますので、先進的な農業経営を目指す際には、ぜひ導入をご検討ください。

SenSprout Proセンサーシステム

https://sensprout.com/ja/sensorsystem-2/

4. まとめ

高収量・高収益な農業生産を実現するためには、農業者の負担を軽減する省力化に向けた製品の活用が必要になってきます。その中でも土壌水分センサーは、農業生産の中で特に大切な作業である、農作物への水やり作業の効率化を担う重要なアイテムです。土壌水分センサーを導入する際には、ぜひこの記事を参考に検討を進めてみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。