現在日本では様々な農業機器が販売されています。この記事では、農業機器の購入に使える補助金について紹介していきます。
目次
1.農業機器とは
2.日本の補助金制度
3.農業機器の購入に使える補助金
4.まとめ
1.農業機器とは
農業機器とは農業生産の効率化や省力化を目的に開発された機器の総称を表した言葉です。
一般的には、ビニールハウスの中など建物内に設置する小型の機械を指す場合が多く、エンジンやモーターなどの動力源を搭載した大型の機械は農業機器には含まれません。
現在、日本で販売されている主な農業機器は以下の通りです。
・潅水制御機器
農作物の成長に必要な水やり作業を制御する機器。潅水の時間や回数、パターンなどを自由に設定できる。なお、当社が開発した「SenSprout Pro潅水制御システム」を使用すればインターネットを利用して潅水を遠隔から制御することも可能になる。
製品例:SenSprout Pro潅水制御システム(株式会社SenSprout)
https://sensprout.com/ja/irrigationcontrolsystem-2/
・環境制御機器
ビニールハウスなど園芸施設内の環境を制御する機器。温度や湿度、日射量、CO2濃度などを自由に調節できる。最近では、ハウス内の環境を遠隔からモニタリングして農作物の成長に必要な環境を制御する製品も発売されている。
製品例:プロファインダー(株式会社誠和)
ハウス内の温度、湿度、日射量、CO2濃度の4つの環境因子を1分間隔で測定する機器。平均気温、積算気温、積算日射量、培地温度、絶対湿度、飽差、露点などを算出しパソコン等に記録できる。
プロファインダー
https://www.seiwa-ltd.jp/product/1278/
・栽培管理システム
農作物の生育状況を見える化する機器。カメラを搭載した農業用のドローンや地球観測衛星を活用して上空から農作物の成長を確認するシステムやビニールハウスの中に設置したカメラを使用して遠隔から農作物の成長を確認するシステムなどがある。
製品例:Sagri(サグリ株式会社)
地球観測衛星データを活用して農作物の生育状況や土壌の化学性を可視化するアプリ。パソコン版とスマートフォン版の2つがある。
Sagri
・土壌水分センサー
土壌に含まれる水分量を計測する機器。土壌温度や電気伝導度(EC値)、水素イオン指数(pH)などを測定できる製品もある。なお、当社が開発した「SenSprout Proセンサーシステム」を使用すればインターネットを利用して遠隔から土壌に含まれる水分量や地表面の温度を遠隔から測定・記録することも可能になる。
製品例:SenSprout Proセンサーシステム(株式会社SenSprout)
・通信ネットワーク機器
近距離無線通信規格のひとつである「Bluetooth(ブルートゥース)」などを活用した農業IoTの利用に必要な機器。水田の水位を遠隔から管理するセンサーなど様々な製品と連携できる。
製品例:UD-LT1/EX(株式会社アイ・オー・データ機器)
インターネット環境が無い場所でも使えるLTEルーター。故障の原因となるファンを排除した設計を施しているため、ビニールハウスの中など温度変化が大きい場所でも使用できる。
UD-LT1/EX
https://www.iodata.jp/product/lan/appliance/ud-lt1ex/index.htm
・盗難防止機器
農作物の盗難を防止する機器。最大800万画素の高画質映像を記録するカメラや夜間でも鮮明なカラー映像を映し出すカメラなどがある。不審者を検知して警報アラートを鳴らし画像付きのメールを送信してくれるAI搭載型の製品も発売されている。
製品例:MF1(株式会社AZx)
200万画素の高画質映像を録画する固定式の単焦点カメラ。赤外線照射を利用した夜間撮影が可能で、不審な人物・車を検知するAIも搭載している。
MF1
https://www.azx-inc.co.jp/ncs/product-introduction?productCode=cmf_001
2.日本の補助金制度
補助金は、国や全国の地方自治体が進める政策に沿った取り組みを推進する企業・団体・個人らを対象に、新規事業の創出や雇用の安定、生産性の向上など、それぞれの政策目標の達成に必要な資金の一部を給付して、日本における産業の持続的発展を促していく制度です。
給付金の金額は、各省庁・地方自治体が実施する事業によって様々で、融資などとは違い返済の義務が発生することもありません。
しかしその分、外部の有識者らで構成された審査委員会による厳しい審査をクリアする必要があり、不透明な経営計画や見込みの甘い事業計画を立てる企業・団体・個人は給付が受けられない仕組みになっています。
ちなみに、補助金と同じような役割を持つ制度の中に、助成金という制度がありますが、こちらは厚生労働省や経済産業省が管轄する雇用関係・研究開発の事業を指すことが多いようです。
農業分野で記憶に新しいのが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた農業者等を対象に実施された「経営継続補助金」で、「接触機会を減らす生産・販売への転換」などを要件に最大100万円(補助率3/4)の補助金が支給されました。
採択例
・GPS田植機の導入による作業人員削減・効率化と感染予防。
・農業ドローン導入による作業時の接触機会の削減。
・野菜用自動販売機導入による接触機会の抑制と販路開拓。
3.農業機器の購入に使える補助金
1)強い農業・担い手づくり総合支援交付金
・先進的農業経営確立支援タイプ
農業機器の購入に必要な費用と金融機関への債務保証(経営体の信用保証)を支援する。(補助率3/10以内・上限:個人1000万円・法人1500万円)
・地域担い手育成支援タイプ(条件不利地域型)
共同利用のための農業機器の購入に必要な費用を支援する。※沖縄県で実施する場合等を除く。(補助率1/2以内・上限:1経営体当たり4000万円※農業機械は補助率1/3以内)
2)農地耕作条件改善事業
・スマート農業導入推進型
「総事業費200万円」・「農業者数2名以上]・「スマート農業に適した基盤が整備されている」の3つを要件に、農業機器の購入に必要な費用を支援する。(補助率1/2以内)
3)産地生産基盤パワーアップ事業
・収益性向上対策型
産地パワーアップ計画の実現に必要な農業機器の購入に必要な費用を支援する。(補助率1/2以内)
4)肥料価格高騰対策事業
・化学肥料低減経営強化緊急対策事業
化学肥料の使用量を低減する機器の購入に必要な費用を支援する。(補助率1/2以内)
5)サービス等生産性向上IT導入支援事業
・IT導入補助金
IoT、ICTなど先端技術を活用した農業機器の導入に必要な費用を支援する。(補助率1/2以内・上限:450万円)
※当社が開発した「SenSprout Pro潅水制御システム」の導入も対象になりました。
6)畜産クラスター事業
・機械導入事業
搾乳機や自動給餌機などの機器の購入に必要な費用を支援する。(補助率1/2以内)
4.まとめ
補助金は、農業機器の購入に掛かる費用を大幅に減らしてくれる重要な制度です。今回紹介した補助金以外にも、農業分野を対象にした様々な種類の補助金がありますので、興味のある方はぜひリサーチしてみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。