モロヘイヤはビタミンなど私たち人間の体に必要な栄養を多く含む健康に優しい野菜です。この記事では、モロヘイヤ栽培における潅水作業のコツと注意点について解説していきます。
目次
1.日本のモロヘイヤ栽培
2.モロヘイヤ栽培のポイント
3.潅水作業のコツと注意点
4.まとめ
1.日本のモロヘイヤ栽培
モロヘイヤは、アオイ科ツナソ属に属する葉菜類の野菜です。
原産は、インド西部からアフリカコルドファン地方にかけての地域で、古代エジプトが栄えた時代にはすでに食べられていたと言われています。
特徴は粘り気のある食感で、スープやお浸し、和え物など私たちが普段食べている料理にも多く使われています。
注目すべきポイントは、野菜の中でもトップクラスのレベルを誇る栄養価の高さで、皮膚や粘膜の健康、美容、老化防止、便秘の改善、高血圧の抑制などの効果が確認されています。
しかし、種や莢(さや)、収穫時期を過ぎた葉や茎には、めまいや嘔吐などを引き起こすストロファンチジンという人間の体に有害な物質が含まれていますので、誤って食べてしまうことがないよう十分に注意してください。
※参考1
可食部100グラム当たりの栄養素の量
・エネルギー(38キロカロリー)
・水分(86.1グラム)
・たんぱく質(4.8グラム)
・脂質(0.5グラム)
・炭水化物(6.3グラム)
・灰分(2.1グラム)
・ナトリウム(1ミリグラム)
・カリウム(530ミリグラム)
・カルシウム(260ミリグラム)
・マグネシウム(46ミリグラム)
・リン(110ミリグラム)
・鉄(1ミリグラム)
・亜鉛(0.6ミリグラム)
・銅(0.33ミリグラム)
・マンガン(1.32ミリグラム)
・βカロテン(10000マイクログラム)
・ビタミンA(840マイクログラム)
・ビタミンE(6.5ミリグラム)
・ビタミンK(640マイクログラム)
・ビタミンB1(0.18ミリグラム)
・ビタミンB2(0.42ミリグラム)
・ナイアシン(1.1ミリグラム)
・ビタミンB6(0.35ミリグラム)
・葉酸(250マイクログラム)
・パントテン酸(1.83ミリグラム)
・ビタミンC(65ミリグラム)
・水溶性食物繊維(1.3グラム)
・不溶性食物繊維(4.6グラム)
・食物繊維総量(5.9グラム)
・食塩相当量(0~7グラム)
主な生産地は、群馬県、沖縄県、神奈川県、岐阜県、宮城県で、国内生産量のおよそ半分をこの5県で生産している状況です。
※参考2
都道府県別生産量ランキング(2018年度)
1位:群馬県(357トン)
2位:沖縄県(168トン)
3位:神奈川県(68トン)
4位:岐阜県(58トン)
5位:宮城県(54トン)
2.モロヘイヤ栽培のポイント
露地栽培
種まき・育苗管理
(1)発芽温度が25~35℃のため、十分に暖かくなってから栽培を開始する。
(2)農業用ポットやセルトレイに育苗用の土を入れ、窪みを3か所つくり、種を1粒ずつまく。
(3)5ミリ程度の高さで覆土して、上から軽く押さえる。
(4)水やりをする。
(5)本葉が1~2枚生えたら、生育の良い株を1~2本残し、間引きする。
(6)本葉が5~6枚生えたら定植する。
土づくり・栽培管理
(1)酸性の土壌を嫌うため、石灰等を施して予め酸度を調整しておく。
(2)定植2週間以上前までに苦土石灰を1平方メートル当たり約100グラム施して深く耕す。
(3)定植1週間前に化成肥料を1平方メートル当たり約100グラム、堆肥を1平方メートル当たり約1キログラム施して再びよく耕す。
(4)幅90センチ・高さ10センチ位の畝を整形する。
(5)黒色の有孔マルチシート(2列穴・株間30~40センチ)で畝全体を覆う。
(6)苗を植えた農業用ポットやセルトレイに水をたっぷり含ませる。
(7)苗を抜き取る。
(8)有孔マルチシートの穴部分に植え付ける。
(9)土を株元に寄せる。
(10)水やりをする。
(11)アザミウマ、ハダニ、ネコブセンチュウ、オンブバッタ、マメコガネ、ヨトウムシ、うどんこ病、灰色かび病などの病害虫に注意する。
(12)寒冷紗や防虫ネットを使用して害虫の被害を未然に防ぐ。
(13)草丈が30センチ位に成長したら摘芯する。
収穫作業
(1)草丈が50~60センチ位に成長したら収穫を開始する。
(2)収穫作業は「葉先の15~20センチ位の柔らかい部分を折り取る」ように。
(3)収穫を開始した後、20~25日間隔で追肥を行う。
(4)草丈が高くなり過ぎる(70~80センチ)と、硬くなり食味が落ちてしまうため、切り戻し作業をし、繰り返し収穫作業を行えるようにする。
(5)花が咲いたら収穫作業を終わらせる。
プランター栽培
土づくり・定植
(1)幅65センチ以上・高さ30センチのプランターを用意する。
(2)ホームセンターや小売店で販売されている苗を購入する。
(3)プランターに鉢底ネットを敷いて鉢底石を敷き詰める。
(4)市販されている野菜用の培土をプランターに入れる。
(5)定植用の穴を掘る。(株間30センチ位)
(6)苗に水をたっぷり含ませる。
(7)定植用の穴に苗を植え付ける。
(8)土を株元に寄せる。
(9)寒冷紗や防虫ネットを使用して害虫の被害を未然に防ぐ。
栽培管理・収穫作業
(1)草丈が30センチ位に成長したら摘芯する。
(2)草丈が50~60センチ位に成長したら収穫を開始する。
(3)収穫作業は「葉先の15~20センチ位の柔らかい部分を折り取る」ように。
(4)収穫を開始した後、20~25日間隔で追肥を行う。
(5)草丈が高くなり過ぎる(70~80センチ)と、硬くなり食味が落ちてしまうため、切り戻し作業をし、繰り返し収穫作業を行えるようにする。
(6)花が咲いたら収穫作業を終わらせる。
3.潅水作業のコツと注意点
モロヘイヤは乾燥を嫌う農作物です。
そのため、発芽するまでは毎日水やりをする必要がありますが、その後は土が乾いてきたタイミングで潅水作業を行っていけば、基本的に問題はありません。
しかし、水分が不足すると葉が硬くなり品質が低下してしまう恐れがありますので、水切れには気を付けてください。
なお、日本のモロヘイヤを栽培する生産者の中には、潅水作業を省力化するための手段として、潅水制御装置という設備を利用している生産者がいます。
潅水制御装置とは、水源の水を汲み上げる「ポンプ」、ポンプで汲み上げた水を運ぶ「パイプ」、潅水作業を実行する「潅水チューブ」等で構成された農業用の設備のことで、露地栽培向けとハウス栽培向けの2つがあります。
潅水制御装置の中には水菜栽培に適した資材も数多くありますので、ぜひ導入を検討してみてください。
また、当社が開発したSenSprout Pro潅水制御システムを使用すれば、インターネットを利用して、潅水作業を遠隔から制御できるようになります。
家庭菜園から大規模農業まで幅広く使える製品になっていますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
SenSprout Pro潅水制御システム
https://sensprout.com/ja/irrigationcontrolsystem-2/
4.まとめ
モロヘイヤは、緑黄色野菜の中でも特に栄養価の高い野菜として知られています。しかし先述した通り、種や莢(さや)、収穫時期を過ぎた葉や茎には、ストロファンチジンという有害な物質が含まれていますので、「種や莢(さや)の誤飲や誤食」、「収穫時期の判断」には十分に注意してください。最後まで読んでいただきありがとうございました。