葉物類の潅水制御方法を生育ステージごとに紹介

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目次

1.ビニールハウス栽培がおすすめの葉物類とは

2.葉物類の生育ステージを解説

3.生育ステージごとの潅水制御方法を紹介

1.ビニールハウス栽培がおすすめの葉物類とは

野菜の栽培方法には、露地栽培やビニールハウス栽培、施設園芸など様々あります。さらに、ビニールハウスでは、悪天候に強いハウスの設計方法やハウス資材の開発が進んでいます。

今回、ご紹介するのは、そんな進化を続けるビニールハウスで栽培できる葉物類の野菜と、生育ステージごとの潅水制御方法についてです。

これから、ビニールハウスで葉物類を栽培しようと考えている方は、是非参考にしてみてください。

おすすめの葉物類

ビニールハウス栽培がおすすめの葉物類は、ほうれん草や小松菜、春菊、ベビーリーフなどです。

冬野菜であるほうれん草や小松菜は、もともと寒さに強い性質をもっていて、育てやすい葉物類です。また、ほうれん草はあえて寒さを与えることで固まりにくい糖分が蓄積され、甘味が増すとも言われています。ほうれん草の付加価値を増すための方法の一つです。

春菊も比較的寒さに強い性質をもちますが、雨・風・雪には弱く、柔らかな日差しが当たるビニールハウス栽培が適切です。春菊は、日本では人気の冬野菜で、独特な香りが特徴的です。適度に寒さにさらされることで、アクが和らぐとも言われているので、ビニールハウスでは無加温状態で栽培すると良いでしょう。

ベビーリーフは、ビニールハウス栽培だと1年中栽培できる葉物類です。冬の間は発芽にやや時間がかかりますが、プランターや露地栽培もしやすいので初心者におすすめです。

ただし、潅水するときに泥はねを起こして葉を汚してしまうとそこから病気になりかねないので気を付けましょう。新芽を切らずに脇芽を収穫することで、同じ株から2回収穫できるので家庭菜園で楽しむ方も多いようです。

2.葉物類の生育ステージを解説

次に、潅水のタイミングにも関係する、葉物類の生育ステージについて解説します。

葉物類の生育ステージは、主に4段階に分かれています。

①播種期

②子葉期

③成長期(本葉が増える時期)

④収穫期

播種期はその名前の通り、種をまいた育苗期間のことです。苗から購入して栽培する場合はこの時期は関係ありません。

子葉期は、発芽して双葉が出た時期で、まだ苗は脆く、根も十分に活着していません。

③はその名の通り、成長するにつれて本葉が増えていき、

④の収穫期を迎えます。

期間は、①播種期〜②子葉期にかけて夏場は5〜7日、冬場は2週間ほどかかります。次の②子葉期〜③成長期(本葉が増える時期)は2週間ほどかかり、③成長期〜④収穫期まで10日間ほどかかるのが葉物類のおおよその成長スピードです。

3.生育ステージごとの潅水制御方法を紹介

ここからは、葉物類の生育ステージごとの潅水制御方法を詳しくご紹介していきます。また、適切な水温で潅水をするための時間帯は、冬場では昼、夏場では早朝であり、これはどの野菜を栽培する時でも守るように心がけましょう。

ほうれん草の潅水制御方法

最初にほうれん草の潅水制御方法です。

ほうれん草は、ビニールハウス栽培だと、最大で年間5回播種して収穫することができます。一般的な作型は、春まき、 初夏まき、夏まき、秋まき作型があり、冬場は30〜45日、夏場は25〜30日の栽培期間です。

潅水装置は、ハウスサイドに備え付けられるようなチューブか、ビニールハウス中央部に設置できるスプリンクラーを使用します。

播種してから発芽するまでは3〜5日かかり、この間、過湿・過乾では生育不良になってしまいます。そこでこの期間は少量多潅水を心がけましょう。この時期だけ手動潅水にきりかえることもおすすめです。

発芽してから本葉が出るまでの期間は、立ち枯れ病を防ぐために潅水をしないようにしましょう。

本葉が出始めて収穫を始めるまでの期間は、乾燥し伸びが悪い時だけ潅水し、収穫を始めたら潅水はストップしましょう。

小松菜の潅水制御方法

次に小松菜の潅水制御方法についてご紹介します。

小松菜の生育適温は20~25℃なので、ビニールハウス栽培では年に数回収穫でき、播種から収穫までの日数は、夏場で25日、冬場で90 日程度です。

播種後は、潅水チューブで約30分、生育を均一にするためにムラがない潅水をしましょう。夏場は土壌の乾燥状態や気温を見つつ、随時潅水を行います。また、収穫7日前からと、地温低下を防ぐために11月中旬以降の潅水はやめましょう。

春菊の潅水制御方法

次にご紹介するのは春菊の潅水制御方法です。

春菊のビニールハウス栽培は播種時期により、3月中旬~5月中旬の春まき栽培、6月上旬~8月上旬の夏まき栽培、8月下旬~ 10月下旬の秋まき栽培に分けられます。夏は日射量によって生育不良になりやすく、秋はべと病にかかりやすい心配があります。また、春菊は発芽してから成長期に入るまでの霜に弱く、冬場の栽培が適していません。

播種後は生育が均一になるように、乾燥する前にムラのない潅水を行います。小松菜と同様に潅水チューブで約30分潅水しましょう。その後の成長期は、土壌の乾燥状態や気温を見つつ、随時潅水を行います。収穫予定日の10日前からは潅水を控えるようにします。

ベビーリーフの潅水制御方法

最後にご紹介するのはベビーリーフの潅水制御方法です。ベビーリーフは、短い期間で収穫でき、農薬を使わなくても栽培することができるため、近年家庭菜園でも人気を集めています。潅水装置は、水の勢いが強いと葉を傷つけてしまうので、柔らかく潅水できるようなミストタイプかドロップ潅水がおすすめです。

播種後3〜6日で発芽しますが、その間、乾燥させないように発芽が揃うまでは毎日こまめに潅水しましょう。その後の成長期〜収穫期にかけても過度の乾燥には弱いので、ドロップ潅水で7分間ほどを2〜3日間隔で行います。ただし、ベビーリーフでは農薬を多用できないため、過湿状態で病気が発生しないように小まめにチェックすることが重要です。

以上が葉物類における潅水制御方法となります。高品質、高収量を実現するためにも、ぜひ参考になさってください。

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