アスパラガスの潅水制御方法を生育ステージ毎にご紹介

目次

1.アスパラガスの生育ステージとは

2.定植後1年目の潅水制御方法

3.2年目以降の生育ステージ毎の潅水制御方法

4.アスパラガスの潅水制御方法まとめ

アスパラガスの生育ステージとは

植物には生育状況を示す、発芽から成熟期(収穫期)までの生育ステージというのがあります。

そのため、野菜や穀物、果物などを栽培するときは、この生育ステージに合せた栽培方法をとる必要があります。生育ステージが進行すると植物体は変化しますので、必要な養分が変わったり、水の量が変わったりします。

また、この生育ステージは植物によっても異なりますので、育てたい野菜や穀物、果物の生育ステージは事前に確かめておきましょう。

ここでは、ビニールハウスでアスパラガスを栽培する際の生育ステージとそれに合わせた潅水制御方法をご紹介します。

アスパラガスの生育ステージ

まず、アスパラガスの栽培暦を簡単にご紹介します。

アスパラガスは多年草の植物で、一度定植すると、約10年間は同じ株からアスパラガスを収穫することができます。

そのため、アスパラガスの栽培では、最初に定植する1年目は親株を育てる年となり、収穫ができません。2年目以降から春芽・夏芽を収穫することができます。

育苗期間は他の植物と栽培方法に大きな違いはありませんし、苗から購入することもできますので、ここでは定植後の1年目と2年目の生育ステージと潅水制御方法をご紹介します。

定植を終えたアスパラガスの2年目以降の生育ステージは、「春芽」「立茎」「成長期~収穫期(夏芽)」「養分転流期」「休眠期」があります。

まず「春芽」とは、その名の通り、春に収穫できる芽(=アスパラガス)のことです。芽吹くことを萌芽といって、この萌芽は温かくなる時期の4月ごろから始まります。春芽は4月~5月中旬までの時期です。

次に「立茎」とは、養分をつくるために収穫せずに伸長させることを言います。こうして伸ばした茎は養成茎(ようせいけい)と呼ばれ、夏芽の発達や休眠期に備えて養分を作ります。立茎は、5月中旬~9月中旬ごろまでの期間で、9月中旬以降になると徐々に黄化し始めます。

「成長期~収穫期(夏芽)」は6月~9月までの期間で、収穫をすることができます。

その後10月~11月にかけて「養分転流期」といって、養成茎に蓄えた養分を貯蔵根に転流する時期が始まります。

そして11月~4月まで「休眠期」に入ります。 それでは、ここから本題の生育ステージ毎の潅水制御方法について解説していきます。

定植後1年目の潅水制御方法

ず、定植後1年目の潅水制御方法についてです。

アスパラガスは水を多く必要とする野菜なので、出来るだけ人手をかけずとも頻繁に潅水できるよう、潅水制御装置を設置しましょう。

潅水チューブはビニールハウスの長さなどによって異なるため、適切なものを選んでください。初めはアスパラガスの根元に水が届くように潅水するため、畝の中央に潅水ホースを張ります。

定植後1年目の潅水は、品質向上・安定のために液肥を混ぜた液肥潅水を行います。水温は高すぎても低すぎてもアスパラガスに悪影響を与えてしまうので、夏は暑くなる前の午前中、冬は比較的暖かくなる昼頃が良いでしょう。

定植後すぐの1週間は根の活着を促すために毎日潅水します。その後4月~10月の通常期間は2日~3日の頻度で潅水します。11月~3月までの休眠期間と言われる時期は、1週間に1回の頻度で潅水しましょう。

2年目以降の生育ステージ毎の潅水制御方法

ここからは2年目以降の生育ステージ毎の潅水制御方法をご紹介します。

定植を終えたアスパラガスの2年目以降の生育ステージは、先ほど説明したように、「春芽」「立茎」「成長期~収穫期(夏芽)」「養分転流期」「休眠期」があります。

まず、「春芽」の時の潅水方法です。アスパラガスは大量の水を必要とする野菜なので、少量の潅水を回数多く行います。いわゆる少量多潅水という手法です。

2月~5月中旬の春芽期間は、芽が出るまでは12時以降に20~30分の潅水を3~4日頻度で行います。気温がまだ高くないので、日が昇り、適温になる12時過ぎに潅水しましょう。

また、この時の潅水は養分供給のために液肥を混ぜて行います。ただし、芽が出始めたら頻度を1~2日に短くして潅水を行います。

次に「立茎」および「成長期~収穫期(夏芽)」の5月中旬~9月中旬の潅水についてご紹介します。

4月~6月中旬ごろまで(主に立茎期間)は2~3日頻度で、気温が上昇する前の朝9時までに潅水を行います。梅雨時期はビニールハウス栽培でも土壌の過湿には注意しましょう。過湿になると病気の発生を促進させる危険があるため、土壌の水分状態も確認しながら潅水を行います。

6月中旬~9月中旬ごろまで(主に収穫期間)の潅水は基本毎日、気温が上昇する前の朝9時までに行います。水が茎葉にかかると病気の発生を助長するため注意しましょう。

次の10月~11月の「養分転流期」は気温が下がる時期なので、潅水の間隔・回数と時間帯に注意しましょう。10月は3日~4日に1度潅水を行い、時間帯は気温が上がる前の午前中に済ませます。11月に入ると気温が下がるため、12時以降の気温が上がった時間帯に週に1回程度潅水を行います。

最後にご紹介するのは12月以降の「休眠期」における潅水です。この時期は、アスパラガスは「休眠」と言われる成長が止まる時期に当たります。成長が止まっていても植物体に流れる水がなくなってしまっては枯れてしまうので、適度に潅水が必要になります。潅水の時間帯は12時以降の気温が上がった時間で、1~2週間に1回行います。土壌の水分状態を観察し、潅水のタイミングを見計らいましょう。

アスパラガスの潅水制御方法まとめ

これまでご紹介したように、アスパラガスは生育ステージとその時期の気温によって潅水量と時間帯が異なります。休眠期が終わり、春芽や夏芽が出てくるころには1~2日に1回の頻度でほぼ毎日潅水を行います。

夏芽の収穫が終わる時期から徐々にその潅水間隔を3~4日に1回、週に1回、と広げていき、休眠期に入ります。潅水の時間帯は、水温を適温にするために、春・夏は気温が上がる前に、秋・冬は気温が上がった時間帯に行います。

なお、このようにアスパラガスの生育ステージ毎で潅水タイミングが決まっていますので、潅水制御装置のタイマーやSenSproutの遠隔潅水装置を導入し、効率的な栽培に挑戦してみてください。

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