リーフレタスは、サラダや添え物など私たちの食卓に彩りを与える人気の農作物です。この記事では、リーフレタス栽培における潅水作業のポイントを解説していきます。
目次
1.日本のリーフレタス栽培
2.リーフレタス栽培の手順
3.潅水作業のポイント
4.まとめ
1.日本のリーフレタス栽培
1)リーフレタス栽培の歴史
リーフレタスは、キク科アキノノゲシ属に属する非結球レタスの一種です。
原産は地中海沿岸地域で、古代エジプトが栄えた紀元前6世紀頃の時代には食用としての栽培がはじまっていたと言われています。
特徴は、通常の玉レタスの約10倍のβ-カロテンを含む豊富な栄養量で、免疫力の向上や高血圧の防止、腸内環境の改善などの効果が確認されています。
日本でリーフレタスが普及したのは、外食産業の発展が急速に進んだ第2次世界大戦以降のことで、普及した当初は葉先が赤色になる品種のみ注目されていましたが、食生活の洋風化を背景に、野菜を生で食べる習慣が広まると、現在のリーフレタスのような葉全体が緑色になる品種も注目されるようになっていきました。
現在の主な生産地(非結球レタス全体)は、長野県、福岡県、茨城県、静岡県、香川県の5県で、日本で生産される非結球レタスの約67%が長野県、福岡県、茨城県の3県で生産されています。
・参考
2018年度都道府県別生産ランキング(非結球レタス全体)
1位:長野県(2万6812トン)
2位:福岡県(1万30トン)
3位:茨城県(8314トン)
4位:静岡県(2206トン)
5位:香川県(2121トン)
2)リーフレタスの種類
・グリーンリーフ
葉全体が緑色になる非結球レタスの総称。葉先が細く丸まっていることからカールレタスとも呼ばれる。通常リーフレタスと呼ぶ場合この品種を指すことが多い。
・サニーレタス
葉先が赤色になる非結球レタスの総称。葉が薄く苦みが少ない。通常の玉レタスと比較してカリウム、カルシウム、鉄分、ビタミンB類、ビタミンC・β-カロテン、食物繊維等の含有量が多い。
・シルクレタス
リーフレタスとエンダイブという野菜の交配種。ギザギザの葉先とフリル状の形状が特徴。少ない量でもふんわりとしたボリューム感を出せるため、サラダなどに向いている。
・ピンクロウスター
葉先がピンク色に染まる非結球品種。サニーレタスと比較して多少苦味を感じるが、通常の玉レタスの5倍以上のビタミンCを含む。サラダなど生食はもちろん炒めて食べてもおいしい。
・フリルレタス
シャキシャキとした食感が特徴の非結球。ギザギザとした葉先が洋服についているフリルに似ていることからこの名前が付いた。サラダやサンドイッチに向いている。
・チマサンチュ
焼肉に巻いて食べるおなじみの非結球品種。日本では掻きチシャと呼ばれる。成長した下の方の葉だけを掻き取って収穫する。
・ブーケレタス
千葉県で農産物の生産・販売を手がける有限会社葉っぱやが開発した水耕栽培専用の品種。葉の形状が結婚式に使用されるブーケに似ていることから、この名前が付けられた。最近では千葉県以外の地域でも生産されている。
・サラダ菜
柔らかい食感が特徴の半結球品種。美しい緑色をしている。玉レタスと同じ結球品種のひとつに数えられるが、結球するのは芯の部分のみ。バターヘッドレタスとも呼ばれる。
・サラノバレタス
オランダの種苗会社ライク・ズワーン社が開発した非結球レタスのブランド名。水耕栽培専用の品種で栽培には生産にはライク・ズワーン社社との契約が必要。根元部分を1回切るだけで全ての葉がリーフ状に外れる。
・バタビアレタス
インドネシア原産の非結球レタス。原産地がかつて存在したオランダの植民地バタヴィア(現在のジャカルタ)に由来することからこの名前が付けられた。サニーレタスに近い見た目をしている。
・油麦菜(ユバクサイ)
中国や台湾で栽培されている非結球レタスの一種。葉が細長くなるものや葉に縮れができるものなど様々な類がある。芯の部分もあまり固くないため、細切りにして食べることもできる。
2.リーフレタス栽培の手順
種まき・育苗管理
(1)セルトレイ等の連結ポットに土を入れ、表面を平らにする。
(2)指で土に浅いくぼみを掘る。
(3)種を一粒ずつまく。
(4)種が隠れる高さで覆土して上から指で軽く押さえる。
(5)水やりをする。
(6)寒冷紗等を使用した涼しい場所で発芽させる。
(7)発育の悪い株を間引きする。
(8)本葉が2~3枚生えたら農業用ポットに移植する。
(9)本葉が4~5枚生えたら定植する。
土づくり・栽培管理
(1)定植2週間以上前に苦土石灰を1平方メートル当たり約100グラム施して深く耕す。
(2)定植1週間前に有機配合肥料を1平方メートル当たり80~100グラム、堆肥を1平方メートル当たり2~3キログラム施して、再びよく耕す。
(3)幅80~90センチ、高さ10~15センチの平畝をつくる。
(4)黒色のマルチシートで畝を覆う。
(5)アブラムシ等の害虫が心配な場合は、虫除けの効果があるシルバーマルチを使用するのも可。
(6)株間20~25センチ・条間20~25センチを目安に定植用の穴を掘る。
(7)苗を植えた農業用ポットに水をたっぷり含ませる。
(8)ポットから苗を抜き、掘った穴に植える。
(9)水やりをする。
(10)菌核病、灰色かび病、軟腐病、べと病モザイク病、アブラムシ等の病害虫の発生に注意する。
収穫作業
(1)収穫適期は中心部の葉が伸びてきて、株が盛り上がった頃。
(2)外葉を倒し、株元にハサミを入れ、株ごと一気に収穫する。
3.潅水作業のポイント
リーフレタスは、多湿を嫌う農作物です。
そのため、 潅水作業は土の表面が乾いてきたタイミングで行えば基本的に問題はありません。しかし、極端に乾燥してしまうと葉が傷んでしまう可能性があるため、日照りが続く場合なとは十分な水分を与えるようにしましょう。
なお、日本のリーフレタス生産者の中には、潅水作業を省力化するための手段として、潅水制御装置という設備を利用している生産者がいます。
潅水制御装置とは、水源の水を汲み上げる「ポンプ」、ポンプで汲み上げた水を運ぶ「パイプ」、潅水作業を実行する「潅水チューブ」等で構成された農業用の設備のことで、露地栽培向けとハウス栽培向けの2つがあります。
潅水制御装置の中には、株元への潅水を実行する潅水チューブなどリーフレタス栽培に適した資材も数多くありますので、ぜひ導入を検討してみてください。
また、当社が開発したSenSprout Pro潅水制御システムを使用すれば、インターネットを利用して、潅水作業を遠隔から制御できるようになります。
家庭菜園から大規模農業まで幅広く使える製品になっていますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
SenSprout Pro潅水制御システム
https://sensprout.com/ja/irrigationcontrolsystem-2/
4.まとめ
リーフレタスは、通常の玉レタスと違い、管理がしやすく収穫までの期間が短いため、初心者でも比較的簡単に栽培することができます。最近では、ホームセンターなど芽出しした苗を販売する小売店も増えました。リーフレタス栽培にチャレンジする際は、ぜひこの記事を参考に潅水作業を行ってみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。