ベビーリーフは、サラダやパスタ、ピザ、肉料理など、様々な料理に使われる人気の野菜です。この記事では、ベビーリーフ栽培における潅水作業のコツと注意点について解説していきます。
目次
1.ベビーリーフとは
2.ベビーリーフの種類
3.ベビーリーフ栽培のポイント
4.潅水作業のコツと注意点
5.まとめ
1.ベビーリーフとは
ベビーリーフは、発芽後10~30日前後に収穫された葉菜類の幼葉の総称です。
一般的には、様々な品種をミックスして販売していることがほとんどで、単一の品種を使用した商品を販売しているケースはそれほど多くありません。
そのため、彩りや香り、味など、ひとつの料理のアクセントとして使われることが多いですが、様々な野菜の良さを一度に楽しめるというメリットがあります。
ちなみに、日本での1人当たりの年間消費量は約18グラムで、「今後、欧州並みの消費量(1人あたり年間約50g)に拡大すると仮定した場合、約300億円の市場規模に成長する見込みがある」との調査結果が発表されています。
(※カゴメ株式会社調べ・予測/2016年3月発表)
・参考
東京都中央卸売市場 都道府県別年間取り扱い量ランキング(平成31年 ~ 令和元年)
1位:茨城県産(約245トン)
2位:千葉県産(約59.6トン)
3位:静岡県産(約46.1トン)
2.ベビーリーフの種類
・ビート(ビーツ)
ヒユ科の植物の幼葉。葉菜類のフダンソウ、砂糖の生産に使われるテンサイ、飼料作物であるマンゲルワーゼルが含まれる。葉が緑色で茎が赤色なのが特徴。料理を華やかに演出してくれる。
・スピナッチ
ほうれん草の幼葉。東洋種と西洋種の2系統に分かれる。濃い緑色で厚みのある葉、やわらかな口当たりが特徴。鉄分が豊富。
・レッドケール
ケールの1種であるレッドロシアンケールの幼葉。青汁の原料として知られる。紫色の葉軸とまろやかな食感が特徴。独特の苦みと青臭さがあるため苦手な人も多い。
・ミズナ
京都を中心に栽培されているアブラナ科越年草の一種。堆肥等を使用せず、流水(清流)を畦間に引き入れて栽培することからこの名が付いた。シャキシャキとした食感とみずみずしい口当たりが特徴。
・レッドロメイン
キク科の作物であるレタスの幼葉。ワインレッドの小斑点が特徴。かすかな苦味を感じる。僕のリーフレタスと混ぜ、ドレッシングをかけて食べるとおいしい。
・グリーンハリヤー
リーフレタスの幼葉。葉の形がフリル状になっていて先が尖っている。シャキシャキとした食感が特徴で、サラダや料理の付け合わせに向いている。
・オーク
レタスの仲間の幼葉。楢の葉のような形が特徴。ナッツのような風味とソフトな口当たりからサラダなどに向いている。
・グリーンロメイン
ロメインレタスの幼葉。鮮やかな緑色をしている柔らかく、サクッとした食感が特徴。シーザーサラダに欠かせない食材のひとつとして有名。
・ピノグリーン
小松菜の幼葉。濃い緑色をしている。シャキシャキした茎と爽やかな食感が特徴。ビタミンCを多く含むため、美容や風邪の予防に効果がある。
・ルッコラ
アブラナ科のハーブの幼葉。 ごまのような香りとほのかな苦みが特徴で、パスタやピザなどのイタリア料理に使われる。食材としての旬は5~7月と11~12月。
・スイスチャード
ヒユ科の植物であるフダンソウの改良品種の幼葉。発色の良い赤色の茎が特徴。栽培が比較的簡単なため家庭菜園でも作れる。
・ターサイ
中国で古くから食べられている野菜の幼葉。和名では如月菜と呼ぶ。その名の通り如月(2月)が旬だが通年で販売されている。葉の端が丸まっているのが特徴。
3.ベビーリーフ栽培のポイント
1)露地栽培の場合
畑の準備・種まき
(1)他の野菜と違い、幼葉を収穫して食べるため、元肥は基本的に施さない。
(2)畑全体をよく耕す。
(3)幅1~1.2メートル、高さ10~15センチの平畝をつくる。
(4)条間10センチ、株間0.5~1センチ程度を目安に種をスジまきする。
(5)種が隠れる高さで覆土して上から指で軽く押さえる。
(5)水やりをする。
(6)防虫ネットで畝全体をトンネル型に覆う。
栽培管理
(1)芽が出て葉が混み合ってきたら、発育の悪い株を間引きする。
(2)生育途中に葉の色が薄く、または茶色くなってきた場合には粒状の肥料を施す。
(3)コナガ、モンシロチョウ、アブラムシ、ナメクジ等の害虫に注意する。
収穫作業
(1)収穫適期は食べられそうな大きさに成長したと思った時。
(2)他の葉を傷つけないよう、葉の先端を持って、付け根を丁寧にカットする。
(3)新芽をカットしてしまうと、二度と収穫できなくなるため注意する。
2)プランター栽培の場合
土の準備・種まき
(1)ホームセンターなどで販売されている野菜用の培養土か種まき用の培土を準備する。
(2)底に穴が開いているタイプのプランターを用意する。
(3)プランターに土を入れる。
(4)土に水をかけ、手でよくかき混ぜ、土全体をしっかりと湿らせる。
(5)少し高いところから、種を土全体にまんべんなくバラまく。
(6)種が隠れる高さで覆土して上から指で軽く押さえる。
(7)ジョーロか霧吹きを使用して水やりをする。
(8)濡らした新聞紙をプランターに被せる。
栽培管理
(1)芽が出て葉が混み合ってきたら、発育の悪い株を間引きする。
(2)生育途中に葉の色が薄く、または茶色くなってきた場合には液体の肥料を施す。
(3)コナガ、モンシロチョウ、アブラムシ、ナメクジ等の害虫に注意する。
収穫作業
(1)収穫適期は食べられそうな大きさに成長したと思った時。
(2)他の葉を傷つけないよう、葉の先端を持って、付け根を丁寧にカットする。
(3)新芽をカットしてしまうと、二度と収穫できなくなるため注意する。
4.潅水作業のコツと注意点
ベビーリーフは、様々な野菜の味を楽しめる一方で、乾燥に弱いという特性を持っています。そのため、発芽する2~6日までの間に、土が乾燥しないようにしっかり水分を与えることはもちろん、発芽した後も葉が萎れないよう、こまめに水分を与えてください。
なお、日本のベビーリーフ生産者の中には、潅水作業を省力化するための手段として、潅水制御装置という設備を利用している生産者がいます。
潅水制御装置とは、水源の水を汲み上げる「ポンプ」、ポンプで汲み上げた水を運ぶ「パイプ」、潅水作業を実行する「潅水チューブ」等で構成された農業用の設備のことで、露地栽培向けとハウス栽培向けの2つがあります。
潅水制御装置の中には、株元への潅水を実行する潅水チューブや養液土耕栽培向けの点滴チューブなど、ベビーリーフ栽培に適した資材も数多くありますので、ぜひ導入を検討してみてください。
また、当社が開発したSenSprout Pro潅水制御システムを使用すれば、インターネットを利用して、潅水作業を遠隔から制御できるようになります。
ちなみに、熊本県益城町で実施した令和2年度スマート農業実証プロジェクト(品目:ベビーリーフ|実証課題名:「パイプハウス土耕栽培葉菜類のIoT化・機械化によるスマート化実証」)では、潅水の自動化よる生産コストの削減に成功しました。
実証課題名:パイプハウス土耕栽培葉菜類のIoT 化・機械化によるスマート化実証
https://www.naro.go.jp/smart-nogyo/r2/subject/shisetsu_engei/152648.html
SenSprout Pro潅水制御システムは家庭菜園から大規模なハウス栽培まで幅広く使える製品になっていますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
SenSprout Pro潅水制御システム
https://sensprout.com/ja/irrigationcontrolsystem-2/
5.まとめ
葉菜類の幼葉であるベビーリーフは、植物の生育に必要な栄養がたっぷりと含まれた体に良い農作物です。ベビーリーフ栽培にチャレンジする際は、ぜひこの記事を参考に潅水作業を行ってみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。