現在、日本では農業人口の減少や高齢化、担い手不足などの人的課題を背景に、農業生産を効率化する装置の開発が進められています。この記事では、農業用装置の導入に使える補助金の種類について紹介していきます。
目次
1.農業用装置とは
2.日本の補助金制度
3.農業用装置の導入に使える補助金の種類
4.まとめ
1.農業用装置とは
農業用装置とは農業生産を効率化するために開発された装置の総称を表した言葉です。
一般的には、農業施設や農業設備に設置する制御機能付きの複合型の機械類を指す場合が多く、その機械ひとつで役割を果たす単一型の機械類を指す場合にはあまり用いられません。
日本で使用されている主な農業用装置は以下の通りです。
・潅水制御装置
農作物の成長に必要な水やり作業を制御する装置。
水源の水を汲み上げる「ポンプ」、ポンプで汲み上げた水を運ぶ「パイプ」、潅水作業を実行する「潅水チューブ」など、様々な設備で構成されているのが特長で、潅水の時間や回数、パターンなどを自由に設定できる製品もある。
なお、当社が開発した「SenSprout Pro潅水制御システム」を使用すれば、インターネットを利用して潅水を遠隔から制御できるようになる。
製品例:SenSprout Pro潅水制御システム(株式会社SenSprout)
https://sensprout.com/ja/irrigationcontrolsystem-2/
・換気窓自動開閉装置
農業用ハウスのビニールを自動で開閉する装置。
天井や側面に張ったビニールを巻き上げる「巻き上げ棒」や巻き上げ棒を回転させる「モーター」、ビニールの開閉を実行する「制御盤」など様々な機器で構成されているのが特長で、開閉の幅や開閉の時間などを自由に設定できる装置もある。
なお、当社が開発した低コスト・耐候型の「高機能ビニールハウス」を導入すれば、ビニールの開閉や潅水作業を自動で実行できるようになる。
製品例:高機能ビニールハウスソリューション
・農業用水ろ過装置
水田や畑の灌漑に使用される水をろ過する装置。
池や井戸の水を汲み上げる「ポンプ」、汲み上げた水に含まれた不純物(鉄やマンガンなど)を取り除く「ろ過フィルター」、不純物を取り除いた水を送る「パイプ」など様々な設備で構成されているのが特長で、最近では太陽光発電システムや養液栽培システムを導入した次世代型の製品も販売されている。潅水制御装置の一部に組み込まれることも多い。
製品例:農業用水処理システム(株式会社十字屋)
・堆肥化装置
生ゴミや汚泥、家畜の排泄物などを堆肥化する装置。
「堆肥化する際に排出される悪臭を除去する機械」や「冬季の発酵・乾燥を促す機械」、「堆肥の混合作業を自動化する機械」など様々な機械で構成されているのが特長で、これらの機械を使用しない家庭用の簡便な装置も数多く販売されている。
なお、日本で開発が進められている堆肥化装置の中には、2050年までに有機農業の割合面積を25%拡大する目標を掲げる「みどりの食料システム戦略」の認定を受けている装置もある。
製品例:ペレタイザー(ハイガー産業株式会社)
https://www.haigeshop.net/shopbrand/ct1061/
・自動給餌装置
家畜の餌やりを自動で行う装置。
「畜舎の天井部に取り付けたレールを利用して家畜の餌を上部から補給する装置」や「畜舎に設置した搬送コンベヤーを利用して家畜の餌を個別に与える装置」など様々なタイプの製品があるのが特長で、最近では軽トラックの荷台などに載せて移動しながら家畜の餌を補給する車載型の装置も販売されている。飼料調製・給餌作業の省力化などに役立つ。
製品例:1本レール式・自動給餌機モノフィーダー(株式会社オカドハザック)
2.日本の補助金制度
補助金は国や全国の地方自治体が進める政策に沿った取り組みを推進する企業・団体・個人らを対象に、新規事業の創出や雇用の安定、生産性の向上など、それぞれの政策目標の達成に必要な資金の一部を給付して、日本における産業の持続的発展を促していく制度です。
給付金の金額は、各省庁・地方自治体が実施する事業によって様々で、融資などとは違い返済の義務が発生することもありません。
しかしその分、外部の有識者らで構成された審査委員会による厳しい審査をクリアする必要があり、不透明な経営計画や見込みの甘い事業計画を立てる企業・団体・個人は給付が受けられない仕組みになっています。
ちなみに、補助金と同じような役割を持つ制度の中に、助成金という制度がありますが、こちらは厚生労働省や経済産業省が管轄する雇用関係・研究開発の事業を指すことが多いようです。
農業分野で記憶に新しいのが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた農業者等を対象に実施された「経営継続補助金」で、「接触機会を減らす生産・販売への転換」などを特定の要件を満たすことを条件に、最大100万円(補助率3/4)の補助金が給付されました。
3.農業用装置の導入に使える補助金の種類
1)強い農業・担い手づくり総合支援交付金
・先進的農業経営確立支援タイプ
農業用装置の導入に必要な費用と金融機関への債務保証(経営体の信用保証)を支援する。(補助率3/10以内・上限:個人1000万円・法人1500万円)
・地域担い手育成支援タイプ(条件不利地域型)
共同利用のための農業用装置の導入に必要な費用を支援する。※沖縄県で実施する場合等を除く。(補助率1/2以内・上限:1経営体当たり4000万円※農業機械は補助率1/3以内)
2)農地耕作条件改善事業
・スマート農業導入推進型
「総事業費200万円」・「農業者数2名以上]・「スマート農業に適した基盤が整備されている」の3つを要件に、農業用装置の導入に必要な費用を支援する。(補助率1/2以内)
3)産地生産基盤パワーアップ事業
・収益性向上対策型
産地パワーアップ計画の実現に必要な農業用装置の導入に必要な費用を支援する。(補助率1/2以内)
4)肥料価格高騰対策事業
・化学肥料低減経営強化緊急対策事業
化学肥料の使用量を低減する農業用装置の導入に必要な費用を支援する。(補助率1/2以内)
5)サービス等生産性向上IT導入支援事業
・IT導入補助金
IoT、ICTなど先端技術を活用した農業用装置の導入に必要な費用を支援する。(補助率1/2以内・上限:450万円)
※当社が開発した「SenSprout Pro潅水制御システム」の導入も対象になりました。
6)畜産クラスター事業
・機械導入事業
自動給餌装置などの農業用装置の導入に必要な費用を支援する。(補助率1/2以内)
4.まとめ
農業用装置の導入は農業生産の効率化に必要不可欠な重要な要素です。今回紹介した補助金以外にも、農業分野を対象にした様々な種類の補助金がありますので、興味のある方はぜひリサーチしてみてください。 最後まで読んでいただきありがとうございました。