潅水装置を使った農業に必要な代表機材とその注意点

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潅水装置を使った農業は、今や数ある農業の手法の中でも、かなり主流な手法の1つです。潅水が活躍する場面は数多くあり、ビニールハウスでの栽培の他にも、作物に与える水量を調節しなくてはいけないような、デリケートな屋外栽培でも活躍します。大きなメリットとしては、自分での散水作業の手間が省ける点にあります。

潅水は、古くから人間の手で行われてきた技法であり、稲などの田んぼに常に水を張っていなければ育たない作物とは違うものは、主な作業は潅水でした。昔は、竹で水路を作り川の水を取ったりして、何度も川や井戸まで水を汲みに行かなくても済むようにしていた時代もあります。

現在では、潅水装置の開発が進んだことで、潅水からその頻度まで、機械で操作ができるようになっています。天然の水の流れに任せられるような地域以外では、潅水が必要な作物の栽培を行う際には、ほとんどの農家の方が、潅水装置を使用しています。

では、潅水のための設備を整えるために必要な機材とは、一体何でしょうか。今回は、潅水に必要な代表的な機材を、潅水設備がゼロの状態を想定して、ご紹介していきます。また、その際の注意点も含めて、ご説明を行います。

目次

潅水の際に必要となる代表機材一覧

1)潅水制御装置

2)操作盤

3)電気弁

4)ろ過装置

5)配水管

6)潅水ホース

まとめ

潅水の際に必要となる代表機材一覧

潅水とは、作物に水分を与えることです。それを、人の手ではなく機械を使うことによって行うのが、潅水の自動化・遠隔化です。それらを実現するためには、機械を使用する必要があるため、それなりの設備が必要になります。

1)潅水制御装置

2)操作盤

3)電気弁

4)ろ過装置

5)配水管

6)潅水ホース

上記5つが、潅水装置を大きく分けたときの、主要な機材となります。1~4に関しては、専門的な機材となってきますので、初めて潅水装置を設置するという方は、専門の業者に設置の依頼を頼むようにしましょう。

6)の潅水ホースに関しては、劣化や破損というケースが最も多い箇所であり、定期的に交換作業が必要となります。

     

1)潅水農業を行う上で最も重要となる「潅水制御装置」

SenSprout 潅水制御システム https://sensprout.com/ja/irrigationcontrolsystem-2

いつ、どこで、どのくらい水やりを行ったかということの記録を管理出来、遠隔操作も可能な制御装置です。現在は、農業に関わる方のほとんどが仕様されている装置で、履歴も残るので、潅水忘れの防止にもなり、潅水制御装置1台あたりに、複数の電磁弁を制御可能となります。

いつでもどこでも、パソコンやスマートフォンから、簡単に潅水予約を行えて、工数を削減することもできます。複数人での管理も可能ですので、大変便利な装置です。

2)潅水装置全体に重要な影響を与える「操作盤」

潅水装置の制御を可能にする箇所です。この操作盤を通して潅水装置全体の働きを決めます。操作盤で可能な操作は「潅水の頻度」、「潅水の時間」、「装置の電源操作」などです。潅水とは、作っている作物や土壌、気候、季節でも大きく変わります。

潅水装置を設置した際に決めた水量や時間では、対応が困難を極めるときに、この操作盤を使用して、新しい設定を行います。梅雨の時期には頻度を減らしたり、日照りが続く時期では頻度や水量をあげたりといった調整も必要です。操作盤の操作方法は、潅水装置の設置時に説明がなされます。

3)潅水装置の中核的役割を持つ「電気弁」

電気弁は、潅水装置の中枢に相当する箇所です。操作盤による捜査に従って、水を吸い上げる量を調整し、また配水管のバルブを開閉することで、定期的な潅水を行っています。電気弁の種類によっては、水のろ過装置が一緒になっていることもあります。

設備全体の電源も、電気弁の中に入っています。一昔前までは、発電機を使用して電気の供給を行っていましたが、現在では、電気弁にソーラー発電装置が内蔵されていることもあります。

4)異物混入時に力を発揮する「ろ過装置」

ろ過装置は、その名の通りに水をろ過する装置です。畑の近くを通っている農業用水路から汲み上げた水には、時として様々な異物が混入しており、その異物を取り除かなければ、装置の深い部分で詰まってしまったり、潅水時に土壌に異物が混入してしまったりしてしまうのです。

ろ過装置は、他の設備と独立している場合もありますが、電気弁と一緒に設置されている場合もあります。ろ過装置内部に異物が混入してしまった場合、専門の業者を呼ばなくても、装置自ら除去できるような仕組みになっていることがほとんどであり、また、ろ過装置内のろ過フィルターも定期的に交換や点検を行うことが重要です。

5)バリエーション豊富な「配水管」

配水管は、プラスチック製のものやホース上のものなど、さまざまな種類があります。主にポンプで水を汲み上げた後に、ろ過装置まで水を運び、そこから潅水ホースまで水を運びます。配水管は、潅水ホースとともに破損や劣化がしやすい箇所です。

場所によっては、農業用道路をまたいで配水管を伸ばす必要があるので、ほかの農作業者の車などに踏まれます。

そのため、非常にデリケートな箇所であるといっても過言ではありません。大きな破損でなければ、破損個所のみに貼るシールなども販売していますが、シールで対応できない場合には、配水管全体を新しいものに交換することも必要となります。

6)農作法で異なる形状となる「潅水ホース」

潅水ホースは、農作の方法によって、こちらもさまざまな形状があります。例えば、ビニールハウスで潅水ホースを使用する場合に、多くの場合は霧状に潅水するホースが使用されます。

その場合には、地面ではなく作物の上を通るように設置します。

野外で使用する場合は霧状よりも液状のまま潅水する潅水ホースが主です。作物の成長を妨げないような箇所に設置します。

例外として、芝の養生をする際に使用されるような広範囲に潅水するタイプがあります。

潅水ホースは、配水管と違って敷地内に設置しますが、こちらもビニールタイプは、劣化部のチェックを行いましょう。

野外に設置している場合に意外と多いのが、ネズミや鳥獣による被害です。

作物を食べようとする野生動物が、潅水ホースまでかじってしまうといったケースは多く存在し、それに気付かず放置してしまうと、全く想像もしていない箇所に潅水をしてしまったり、十分に水が行き渡らなくなってしまう可能性が高いので、注意が必要です。

こちらも、配水管やろ過フィルター同様に、潅水ホース自体が販売されていますので、劣化や破損に気付いた際には、交換を行うようにしましょう。

まとめ

潅水装置を最初に設置するとき、農家の方が自ら設置される場合もありますが、基本的には電気・水道関連の工事が必要となります。

装置を設置した後も、配水管やろ過フィルター、潅水ホースなど、日頃より、気にかける必要のある箇所が出てきます。

潅水装置を設置した後にも、さまざまなケアが必要であるようにも感じるかもしれませんが、それほど多くのケアが必要ということではありません。

しかし、例えばあまり水が行き渡っていないようなときには、操作盤で意図的に潅水を実行して、水の出方を観察する必要があります。

潅水農業は、地道な作業のため、「潅水忘れ」といったことが、初めは小さな問題のようにも感じられるかもしれませんが、これが積み重なっていくことで、取り返しのつかない致命的なミスを生む可能性も高いのです。

こういったことを事前に防ぐために、潅水忘れを防止することのできる、「潅水制御装置」の導入は、必須であると言えます。

弊社では、「潅水制御装置」の開発販売や、「土壌水分センサ」の販売、また農業に関わるインターネットサービスの運用を行っております。

潅水制御装置や土壌水分センサの導入をご検討されている農家の方や、潅水農業に関するご相談は、是非お気軽に弊社まで、お問い合わせください。

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