ケール栽培における潅水作業のポイントを解説

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ケールはカロテン、葉酸、ビタミンC、カリウム、カルシウムなど、健康を維持する上で必要な栄養素を多く含む人気の農作物です。この記事では、ケール栽培における潅水作業のポイントについて解説していきます。

目次

1.日本のケール栽培

2.野菜としてのケールについて

3.ケール栽培の手順

4.潅水作業のポイント

5.まとめ

1.日本のケール栽培

1)ケール栽培の歴史

ケールはアブラナ科アブラナ属に属する葉菜類の野菜です。

原産は地中海沿岸から小アジアにかけての地域で、古代ギリシアが栄えた紀元前の時代には、すでに食用としての栽培がはじまっていたと言われています。

日本に伝わったのは江戸時代に入ってからで、伝わってしばらくは、その独特の見た目から、観賞用をメインに栽培されていましたが、第二次世界大戦が終わりを迎えると、戦後の栄養不足を解消する目的に、食用としての栽培が本格的にスタートしました。

現在の主な生産地は、茨城県、島根県、岡山県の3県で、健康食品として有名な青汁の原料にも使用されています。

2)ケールの種類

・カーリーケール

切れ込みのある葉とパセリのような細かい縮れが特徴の品種の総称。栽培環境によって紫葉全体が濃い紫色になる種類もある。青汁専用の品種として知られるスコッチケールもこの仲間。

・コラード系ケール

表面にシワのない楕円形の大きな葉が特徴の品種。炒め物や煮込み料理、スムージーなどに向いている。茎の部分が固いため、調理の際は、茎を取り除くか細かく切り刻む必要がある。

・クックケール

従来品種と比較して葉が柔かくえぐみが少ない品種。葉が濃緑色で大きく、葉枚数が多いため多収が期待できる。12月~2月にかけて収穫すると寒さで甘みが増す。

・レッドロシアンケール

1885年頃にロシアから北米やカナダに渡ったシベリア品種のひとつ。赤紫色をした葉柄と葉脈が特徴で、若い葉は生のまま食べることができる。別名「ラギッドジャック(RAGGED JACK KALE)」とも呼ばれる。

・カーボロネロ

イタリアトスカーナ地方原産の結球しない葉キャベツの一種。太い茎を中心に放射状の細長い葉を伸ばす。葉の表面が細かく縮れ、縁が裏側に丸まるのが特徴。日本では黒キャベツとも呼ばれる。

・ゴズィラーナ

静岡県磐田市の種苗会社である増田採種場が開発した品種。コラード系ケールにカーボロネロを交配して開発した。2006(平成18)年に登録出願され、2009(平成21)年に品種登録された。葉の表面はやや濃い緑色をしているが新芽の部分は黄緑色をしている。

・ベビーケール

ケールの新芽。苦味が少なく柔らかい食感が特徴。サラダなどで食べるのがおすすめ。葉菜類の幼葉をミックスした商品であるベビーリーフにも使われる。

・芥藍菜(かいらんさん)

中国原産の品種。暑さに強く栽培が簡単なのが特徴で、中華料理の食材に使用される。チャイニーズケールとも呼ばれる。

2. 野菜としてのケールについて

1)ケールに含まれる栄養素

※可食部100グラム当たりの含有量

・たんぱく質(2.1g)

・炭水化物(5.6g)

・食物繊維(3.7g)

・βカロテン(2900μg)

・ビタミンE(2.4mg)

・ビタミンK(210μg)

・ビタミンB1(0.06mg)

・ビタミンB2(0.15mg)

・ナイアシン(0.9mg)

・ビタミンB6(0.16mg)

・葉酸(120μg)

・パントテン酸(0.31mg)

・ビタミンC(81mg)

・ナトリウム(9mg)

・カリウム(420mg)

・カルシウム(220mg)

・マグネシウム(44mg)

・リン(45mg)

・鉄(0.8mg)

2)美味しいケールの食べ方

新鮮なケールの見分け方

・葉が鮮やかな緑色をしている。

・葉の表面に斑点がない。

保存の方法

・ケールを洗い水気をしっかりと切り、適当な大きさにちぎり、保存袋に入れ、生のまま冷凍で保存する。

・ケールを1分程度茹で冷水に浸し、水気を絞り、余分な水分を拭き取った後、小分けにして冷凍で保存する。

・ケールに水を加え、ミキサーでペースト状にしたものを冷凍で保存する。

3.ケール栽培の手順

種まき・育苗

(1)農業用ポットや連結トレイに種を2~3粒まく。

(2)5ミリ程度の高さで覆土する。

(3)上から軽く押さえる。

(4)水やりをする。

(5)本葉が2~3枚生えたら1本に間引く。

(6)本葉が5~6枚生えたら植え付ける。

(7)育苗日数の目安は30日程度。

畑の準備・栽培管理

(1)毎年同じ場所で栽培してしまうと、連作障害を起こす恐れがあるため、2~3年以上ケールを栽培していない畑を選ぶ。

(2)定植2週間以上前に苦土石灰を1平方メートル当たり約100グラム施してよく耕す。

(3)定植1週間前に畝をつくる場所の中央に幅15センチ、深さ20センチの溝を掘る。

(4)掘った溝に堆肥を1平方メートル当たり約3キログラム、化成肥料平方メートル当たり約100グラム均一に施して埋め戻す。

(5)埋め戻した場所に幅60センチ高さ10センチの畝をつくる。

(6)株間40~50センチを目安に定植用の穴を掘る。

(7)苗を植えた農業用ポットに水をたっぷり含ませる。

(8)ポットから苗を抜き、掘った穴に植える。

(9)水やりをする。

(10)肥料が切れ株が弱ると葉が痛みやすくなるため、2週間に1回は追肥する。(化成肥料を1平方メートル当たり約30グラム)

(11)アブラムシやシンクイムシ、アオムシ、コナガ、べと病、灰色かび病等の病害虫に注意する。

収穫作業

(1)収穫時期は10~12月ごろ。

(2)30センチ位に成長した葉を下の方から順番にかき取る。

4.潅水作業のポイント

ケールは根腐れしやすい農作物です。

そのため、定植したばかりの頃は、たくさんの水分を必要としますが、その後は自然の雨のみを利用して水分を補給していけば問題はありません。

しかし、家庭菜園などプランターで栽培する場合には、土の表面が乾いたタイミングで水分を与えるようにしてください。

なお、日本のケール生産者の中には、潅水作業を省力化するための手段として、潅水制御装置という設備を利用している生産者がいます。

潅水制御装置とは、水源の水を汲み上げる「ポンプ」、ポンプで汲み上げた水を運ぶ「パイプ」、潅水作業を実行する「潅水チューブ」等で構成された農業用の設備のことで、露地栽培向けとハウス栽培向けの2つがあります。

潅水制御装置の中には、自然の雨に近い散水潅水を実行する潅水チューブなど、ケール栽培に適した資材も数多くありますので、ぜひ導入を検討してみてください。

また、当社が開発したSenSprout Pro潅水制御システムを使用すれば、インターネットを利用して、潅水作業を遠隔から制御できるようになります。

家庭菜園から大規模なハウス栽培まで幅広く使える製品になっていますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

SenSprout Pro潅水制御システム

https://sensprout.com/ja/irrigationcontrolsystem-2/

5.まとめ

ケールは、排水性が良く、有機分の多い土壌を好む農作物です。生育適温は20℃前後と言われていますが、耐寒性と耐暑性に優れているため、初心者でも比較的栽培しやすい農作物と言えるでしょう。ケール栽培にチャレンジする際は、ぜひこの記事を参考に潅水作業を行ってみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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