ブロッコリー栽培における潅水作業のポイント

ブロッコリーは食物繊維やビタミン、ミネラルなど、私たち人間の体に不足しがちな栄養を多く摂れる人気の農作物です。この記事では、ブロッコリー栽培における潅水作業のポイントについて解説していきます。

目次

1.日本のブロッコリー栽培

2.ブロッコリー栽培の手順

3.潅水作業のポイント

4.まとめ

1.日本のブロッコリー栽培

1)ブロッコリー栽培の歴史

ブロッコリーはアブラナ科アブラナ属に属する葉菜類の仲間です。

原産は地中海沿岸の地域で、ヨーロッパ南西部にあるイベリア半島に住んでいた古代イベリア人が薬草として使用していた野草をケルト人が持ち帰り、品種改良して生まれたと言われています。

日本に伝わったのは、明治時代に入ってからで、伝わった当初はその独特の見た目から鑑賞用を目的に栽培されていましたが、第二次世界大戦が終わりを迎える頃になると、食用としての栽培が本格的にはじまりました。

現在の主な生産地は、北海道、愛知県、香川県、埼玉県、徳島県の1道4県で、日本で生産されるブロッコリーのおよそ半分をこの1道4県で生産しています。

・参考

2019年都道府県生産量ランキング

1位:北海道(2万6700トン)

2位:愛知県(1万5700トン)

3位:香川県(1万5400トン)

4位:埼玉県(1万5200トン)

5位:徳島県(1万1900トン)

2)日本で栽培されている品種の一例

・一般的なブロッコリー

日本で一般的に栽培されている品種。花蕾(からい)と呼ばれる小さなつぼみのかたまりと糖分の多い太い茎の部分を食べる。常温で保存したまま時間をおいてしまうと色が黄色く変色してしまうので、必ず冷蔵庫で保存し、早めに食べきる。

・スプラウトブロッコリー

ブロッコリーの種を発芽させたスプラウト食材。かいわれブロッコリーとも呼ばれる。かいわれ大根よりも細く、繊細な味が楽しめる。新しい栄養成分を作りながら育つため、成長したブロッコリーよりも栄養価が高い。

・アレッタ

三重県の育苗会社である株式会社ナコスがブロッコリー品種「ゆとり」の後代品種にケールの育成系統を交配し選抜したもの。スティック状の形状が特徴で、茹でると適度な歯ざわりを感じることができる。和・洋・中さまざまな料理に使える。

・茎ブロッコリー

ブロッコリーと菜花の一種をかけ合わせて開発した品種。花芽の部分だけではなく茎の部分も食べられる。花蕾の部分と茎の部分の食感が異なるため、それぞれの食感に合わせた料理ができる。

・スティックセニョール

サカタのタネがブロッコリーと中国野菜の芥藍(かいらん)をかけ合わせて開発した品種。次々と伸びる脇芽の茎の部分とその先の花蕾の部分を食べる。当初はブロッコリーニという名称で発売したが、普及しなかったため、アメリカ向けに付けた現在の名称を正式とした。

・スティックブロッコリー(紫)

別名パープルスプラウティングと呼ばれるイタリア野菜のひとつ。アントシアニンの色素が多く含まれているため蕾が紫色になる。日本で栽培されているほとんどは輸入した種を使用したもの。茹でると蕾が緑色に変わる。

・スピガリエッロ

茎ブロッコリーのイタリア品種。種子は「BROCCOLO Spigariello a getti di Napoli」という名称でいくつかのメーカーのものが輸入されているが、フリアリエッリ(Friarielli)という名称で販売されているものもある。イタリアのナポリ地方では、比較的ポピュラーな食材で、ピッツアやパスタなどに使われている。

・カリフラワー

ブロッコリーの仲間。ブロッコリーと同じアブラナ科アブラナ属に属する。「ブロッコリーが突然変異した後、品種改良されて生まれた」というのが現在の定説。白色の花蕾が特徴。

2.ブロッコリー栽培の手順

種まき・育苗管理

(1)農業用ポットを使用する場合は、直径約3センチ・深さ約1センチの穴を掘り、種を3~4粒、間隔をあけてまく。

(2)育苗箱を使用する場合は、深さ約1センチの溝を8センチ間隔で堀り、1センチ間隔で種1粒ずつ条まきする。

(3)5ミリ程度の高さで覆土する。

(4)水やりをする。

(5)夏まきの場合は、日差しを和らげるため、を寒冷紗やよしずを使用して、農業用ポット箱や育苗箱の上を覆う。

(6)冬まきの場合は、霜の被害を避けるため、トンネル型のビニールを使用して、農業用ポット箱や育苗箱の上を覆う。

(7)育苗箱を使用した場合は、葉が込み合わないよう適宜に間引きし、本葉が2枚生えたら農業用ポットに移植する。

(8)農業用ポットを使用した場合は、種まき1週間後に2本立ちに間引きし、本葉が2枚生えたら1本立ちする。

(9)育苗期間は夏まき30日(本葉5~6枚)、冬・春まき35日(本葉4枚)頃を目安に。

(10)定植適期が近づいてきたら、寒冷紗やよしずを外して、苗を露地条件に慣れさせる。

土づくり・栽培管理

(1)定植2週間以上前に苦土石灰を1平方メートル当たり約100グラム施して深く耕す。

(2)定植1週間前に幅・深さの30センチの溝を掘り、化成肥料を1平方メートル当たり約100グラム、堆肥を1平方メートル当たり約2キログラム入れる。

(3)幅50センチ、高さ10センチ程度の平畝をつくる。

(4)定植用の穴を株間40センチ間隔で掘る。

(5)苗を植えた農業用ポットに水をたっぷり含ませる。

(6)ポットから苗を抜き、掘った穴に植える。

(7)水やりをする。

(8)1回目の追肥は根が活着して生育をはじめた頃。

(9)2回目の追肥は花蕾が見えはじめた頃。

(10)追肥と同時に中耕と土寄せも行う。

(11)ヨトウムシ、コナガ、アオムシ、立ち枯れ病などの病害虫に注意する。

(12)防虫ネットをトンネル状にかけ、害虫の被害を抑えるのも有効。

(13)防虫ネットをかける際は、土との間にすき間ができないように。

(14)育苗期に株元に水を与え過ぎると、立ち枯れ病の発生原因になるので、十分に注意する。

収穫作業

(1)頂花蕾は、全体が十分に発育し、硬くしまった塊の状態のうちに、主枝をナイフなどで切り取って収穫する。

(2)側花蕾は、側枝をハサミで切り取って収穫する。

(3)頂・側花蕾型の場合は、立派な側花蕾を収穫するため、若い頂花蕾を短めに切り取った後、追肥を1株当たり1握り施す。

(4)冬は花蕾が紫色になることがあるが、茹でると緑色に変わるので心配しなくてよい。

3.潅水作業のポイント

ブロッコリーは過湿に弱い農作物です。そのため、育苗期は十分な水分を必要としますが、地植えで栽培する場合は、自然の雨のみを基本に水分を補給していけば、基本的に問題はありません。

しかし、10日以上雨が降らない時など畑が乾燥した状態が長く続く場合には、十分な潅水作業を行うようにしてください。

なお、日本のブロッコリー生産者の中には、潅水作業を省力化するための手段として、潅水制御装置という設備を利用している生産者がいます。

潅水制御装置とは、水源の水を汲み上げる「ポンプ」、ポンプで汲み上げた水を運ぶ「パイプ」、潅水作業を実行する「潅水チューブ」等で構成された農業用の設備のことで、露地栽培向けとハウス栽培向けの2つがあります。

潅水制御装置の中には、自然の雨のような潅水を実行する潅水チューブなどブロッコリー栽培に適した資材も数多くありますので、ぜひ導入を検討してみてください。

また、当社が開発したSenSprout Pro潅水制御システムを使用すれば、インターネットを利用して、潅水作業を遠隔から制御できるようになります。

家庭菜園から大規模農業まで幅広く使える製品になっていますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

SenSprout Pro潅水制御システム

https://sensprout.com/ja/irrigationcontrolsystem-2/

4.まとめ

ブロッコリーは、サラダや添え物など私たちの食卓に彩りを与えてくれる人気の野菜です。ブロッコリー栽培にチャレンジする際は、ぜひこの記事を参考に潅水作業を行ってみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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