ゴーヤはビタミンCを多く含む健康に良い農作物です。この記事では、ゴーヤ栽培における潅水作業のポイントと注意点について解析していきます。
目次
1.日本のゴーヤ栽培
2.ゴーヤ栽培の手順
3.潅水作業のポイントと注意点
4.まとめ
1.日本のゴーヤ栽培
1)日本のゴーヤ栽培
ゴーヤは、ウリ科ツルレイシ属に属する果菜類の野菜です。原産は熱帯アジアで、長果型と短果型の2種類があります。
日本に伝わった正確な年代は不明ですが、1603年に刊行された「日葡辞書」、1649年に刊行された「多識篇」、1713年に完成した「琉球国由来記」等の文献に、当時の呼び名である「苦瓜」、「豆留礼伊志」、「錦茘枝」が登場することから、遅くとも江戸時代中期頃には、食用としての栽培がはじまっていたと考えられています。
日本国内でゴーヤが本土へ出荷されるようになったのは、沖縄料理がブームになった1993年以降で、当初は日本の中でも特に暖かい地域で生産される夏野菜として認知されていましたが、群馬県や和歌山県など沖縄・九州地方以外の地域で生産されるようになったことをきっかけに、一年中どこでも入手できるようになっていきます。
現在の主な生産地は、沖縄県、宮崎県、鹿児島県、群馬県、熊本県の5県で、日本で生産されるゴーヤの4割以上が沖縄県で生産されています。
・参考
2018年生産ランキング
1位:沖縄県(7346トン)
2位:宮崎県(2276トン)
3位:鹿児島県(2254トン)
4位:群馬県(1566トン)
5位:熊本県(1277トン)
2)日本で栽培されている品種の一例
・あばしゴーヤ
沖縄地方でよく見られる太くてずんぐりとした品種。苦味が少なく肉厚でジューシーな食感が特徴。魚類の一種であるハリセンボン(沖縄名:アバサー)に似た形をしていることからこの名が付いた。
・長れいし
きゅうりの様な細長い形をした品種。九州地方で多く栽培されている。長さ80センチ以上に成長するものもある。
・太れいし
白に近い薄緑色をした品種。長さ8~10センチの小ぶりな形が特徴。味は他の品種と変わらない。
・白れいし
長さ10~20センチ程度に成長する白色の品種。丸みのあるイボが特徴。苦味が少ないためサラダにも向いている。
・白大長れいし
西南地域の高級野菜。長さ35〜40センチまで成長するのが特徴で、一般の白れいしよりも長い。沖縄や九州など気温が高い地域での需要が多い。
・沖縄長れいし
長れいしを改良した品種。果皮が濃い緑色をしている。胴張りが良く果揃いで外観が美しい。
・節成ゴーヤ
節成性の高い多収型の品種。果実・葉ともに濃い緑色をしており、初心者でも栽培しやすい。耐暑性に優れているため適切な管理をすれば長期で収穫できる。
・さつま大長苦瓜
沖縄、九州、四国などの西南暖地で多く栽培されている品種。両端が紡錘状に細く尖っている形状が特徴。油炒めや酢の物などに向いている。
・沖縄白ゴーヤ
果長20~25センチ・果径8センチの短形の品種。純白で光沢がある色が特徴で、苦味が少ない。在来種と比較してビタミンCの含有量が多い。
・汐風
冬期に栽培できるように品種改良されたハウス栽培向けの品種。栽培農家専用の品種のため一般では入手できない。
・群星
沖縄の八百屋で販売されている品種。太くずんぐりとした形が特徴で、長さ20~30センチを越すものもある。栽培農家専用の品種のため一般では入手できない。
・タイゴーヤ
沖縄のゴーヤーパークで栽培されているタイ産の品種。イボがなくツルっとした見た目が特徴。苦味が少ないためサラダにも向いている。
・ベトナムゴーヤ
沖縄のゴーヤーパークで栽培されているベトナム産の品種。白色で大きく尖ったイボが特徴。
2.ゴーヤ栽培の手順
種まき・育苗管理
(1)直径4~5センチ・深さ1センチの穴を掘り、種を2~3粒まく。
(2)1センチ程度の高さで覆土する
(3)手で軽く押さえて水やりをする。
(4)ポットまきの場合は、トンネル型のビニールを被せて保温する。(25~30℃)
(5)直まきの場合は、ホットキャップを被せて保温する。(25~30℃)
(6)本葉が1~2枚生えたら間引いて1本立ちにする。
(7)定植適期は本葉が2~3枚生えた頃。
土づくり・定植作業
(1)連作すると土壌病害の一種であるつる割病の発生を招くため、連作していない畑を使用するか、かぼちゃ台木接ぎ木を使用した栽培を検討する。
(2)定植2週間以上前に苦土石灰を1平方メートル当たり約100グラム施してよく耕す。
(3)定植1週間前に直径30~40センチの穴(深さ約30センチ)を掘り、堆肥を約2キログラム入れる。
(4)掘り上げた土に化成肥料を約50グラム混ぜ、掘った穴に戻す。
(5)周りの土を集めて、幅60センチ・高さ10センチの畝をつくる。
(6)畝全体を黒色のマルチシートで覆う。
(7)掘って埋め戻した場所に定植用の穴をあける。
(8)苗が植えられたポットに水をたっぷり含ませる。
(9)ポットから苗を抜き、定植用の穴に植える。
(10)気温が低い場合は、ホットキャップを被せる。
栽培管理
(1)専用の支柱やネットを設置して誘引する。
(2)支柱を立てる際は、葉や果実の重量を十分に加味した頑丈なつくりを心がける。
(3)本葉が5~6枚生えたら摘芯して、子づる3~4本を伸ばす。
(4)1回の追肥量は約30グラムを目安に。
(5)うどんこ病、アブラムシ、ダニ、スリップス類等の病害虫に注意する。
収穫作業
(1)収穫作業は、開花後30日前後(気温が低い時)、開花後12~20日(気温が高い時)を目安に。
(2)採り遅れると過熟果になり着色が早まるため、できるだけ早く収穫する。
(3)ヘタ(果梗)が細く硬いので、専用のハサミを使用した丁寧な作業を心がける。
3.潅水作業のポイントと注意点
ゴーヤは他の植物と比較して、水切れが早く、乾燥しやすい農作物です。
そのため、雨の日以外は必ず潅水作業を行う必要があります。
潅水作業は、朝夕の2回の作業を目安に、できるだけ気温の低い時間帯を心がけ、開花した花に水がかからないよう十分に注意しながら行うようにしてください。
なお、日本のゴーヤ生産者の中には、潅水制御装置という設備を使用する生産者がいます。
潅水制御装置とは、水源の水を汲み上げる「ポンプ」、ポンプで吸い上げた水を運ぶ「パイプ」、水源に含まれたゴミや汚れを除去する「ろ過フィルター」、潅水の時間を調節する「タイマー」、通水や水圧をコントロールする「コック類」、潅水作業を実行する「潅水チューブ」等の機器で構成された農業用の設備で、潅水作業の省力化に役立つと言われています。
当社が開発したSenSprout Pro潅水制御システムを使用すれば、インターネットを利用して潅水量を遠隔から制御できるようになりますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
SenSprout Pro潅水制御システム
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4.まとめ
ゴーヤは家庭菜園でも栽培しやすい農作物です。最近ではゴーヤなどのつる性の植物を栽培し、夏場の強い日差しを遮るグリーンカーテンを使用した建物も増えました。ゴーヤ栽培にチャレンジする際には、ぜひこの記事を参考に潅水作業を行ってみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。