ビートは私たちの食卓に彩りを与えてくれる人気の農作物です。この記事では、ビート栽培における潅水作業のコツと注意点について解説していきます。
目次
1.ビートとは
2.ビート栽培のポイント
3.潅水作業のコツと注意点
4.まとめ
1.ビートとは
ビートはヒユ科フダンソウ属に属する二年生の植物です。
原産地は地中海沿岸の地域で、葉菜類のひとつである「フダンソウ」、砂糖の原料に使われる「テンサイ」、飼料用作物の「マンゲルワーゼル」など、様々な系統に分かれています。
私たちが普段よく目にしているのは、ベビーリーフの1種で有名な「テーブルビート」と呼ばれる亜種で、可食部(根)100グラム当たりに含まれる栄養素の量も多いことがわかっています。
なお、ベビーリーフに使用されているのは発芽後10~30日前後に収穫された幼葉です。
※参考
可食部(根)100グラム当たりに含まれる栄養素の量
・エネルギー(41キロカロリー)
・水分(87.6グラム)
・たんぱく質(1.6グラム)
・脂質(0.1グラム)
・炭水化物(9.3グラム)
・灰分(1.1グラム)
・飽和脂肪酸(0.02グラム)
・不飽和脂肪酸(0.06グラム)
・食物繊維(2.7グラム)
・ビタミンE(0.1ミリグラム)
・ビタミンB1(0.05ミリグラム)
・ビタミンB2(0.05ミリグラム)
・ナイアシン(0.3ミリグラム)
・ビタミンB6(0.07グラム)
・葉酸(110マイクログラム)
・パントテン酸(0.31ミリグラム)
・ビタミンC(5ミリグラム)
・ナトリウム(30ミリグラム)
・カリウム(460ミリグラム)
・カルシウム(12ミリグラム)
・マグネシウム(18ミリグラム)
・リン(23ミリグラム)
・鉄(0.4ミリグラム)
日本での主な生産地は、熊本県、長野県、茨城県、北海道の1道4県で、「デトロイトダークレッド」、「ゴルゴ」、「ソーレ」、「ルナ」など様々な品種が栽培されています。
・デトロイトダークレッド
テーブルビートの中で最も作りやすい良質品種。草丈が30センチ程度まで成長する。中まで深紅に着色される根が特徴。
・ゴルゴ
独特の香りと甘さが特徴の品種。柔らかい食感と鮮烈な色が楽しめる。イタリアのキオッジャ地方が発祥。
・ソーレ
濃い赤紫色の品種。ビビッドな色合いが特徴。酢漬やサラダに向いている。
・ルナ
黄色い渦巻き模様の断面が特徴の品種。薄くスライスしてサラダの彩りにするのがお勧め。ピクルスにも使われる。
2.ビート栽培のポイント
露地栽培
土づくり・種まき
(1)連作障害を防ぐため、テーブルビートを4年以上栽培していない畑を選ぶ。
(2)定植2週間以上前に苦土石灰を1平方メートル当たり100~200グラム施して深く耕す。
(3)定植1週間前に化成肥料を1平方メートル当たり約100グラム、堆肥を1平方メートル当たり約2キログラム施して、再びよく耕す。
(4)幅90センチ位・高さ10センチ位の平畝を整形する。
(5)整形した畝に黒色のマルチシートを張る。
(6)畝に張ったマルチシートをすじ状にカット(約20センチ間隔)し、種まき用の溝を掘る。
(7)掘った溝に種(1~2粒)を1~2センチ間隔でまいていく。
(8)5ミリ程度の高さで覆土して上から軽く押さえる。
(9)水やりをする。
(10)発芽温度は15~30℃。
(11)種を一晩水に浸けておくと発芽しやすくなる。(テーブルビートは種の皮が硬いため)
栽培管理
(1)双葉が生えたら1回目の間引きを行う。(隣の株の葉と触れ合わない程度に)
(2)本葉が4~5枚生えたら2回目の間引きを行い、最終的に株間が10センチ程度になるようにしていく。
(3)最後の間引きが終わったら、株の周りに化成肥料を施す。
(4)アオムシ、ヨトウムシ、褐斑病、べと病、ウイルス病、立枯れ病などの病害虫に注意する。
(5)アオムシやヨトウムシなどの害虫は、防虫ネットを使用して防ぎ、見つけた場合はすぐに取り除く。
(6)防虫ネットの裾をしっかりと土に埋め、害虫が侵入しないようにするのがポイント。
(7)生育適温は15~20℃。
収穫作業
(1)土から出た根の直径が5センチ以上になったものから順番に収穫していく。
(2)1株ずつ間引くように収穫していくと、12センチ程度の大きさに成長する場合がある。
プランター栽培
土の準備・種まき
(1)ホームセンターなどで販売されている種や野菜用の培養土、プランター(48リットル入り)などを購入する。
(2)種を一晩水に浸けておく。
(3)プランターに鉢底石(約2センチ)を敷き、培養土を8分目の深さまで入れ、平らにならす。
(4)条間15センチ・株間10センチ程度を目安に種を4~5粒まく。
(5)5ミリ程度の高さで覆土して上から軽く押さえる。
(6)水やりをする。
(7)防虫ネットと専用の支柱を使用してプランターを覆う。
(8)防虫ネットの裾をしっかりと土に埋め、害虫が侵入しないようにするのがポイント。
栽培管理
(1)本葉が開いたら、1カ所3~4本になるように間引いていく。
(2)本葉が1~2枚生えたら、1カ所2本になるように間引いていく。
(3)本葉が4~5枚生えたら、1カ所1本になるよう間引いていく。
(4)株間とプランターの縁に化成肥料を施す。
(5)アオムシ、ヨトウムシ、褐斑病べと病、ウイルス病、立枯れ病などの病害虫に注意する。
(6)アオムシやヨトウムシなどの害虫を見つけ場合はすぐに取り除く。
収穫作業
(1)土から出た根の直径が5センチ以上になったものから順番に収穫していく。
3.潅水作業のコツと注意点
テーブルビートは乾燥に弱い農作物です。
そのため、発芽するまでの間は、毎日、潅水作業を行う必要がありますが、発芽した後は、土の表面が乾いてきたタイミングで潅水作業を行っていけば基本的に問題はありません。
しかし、 根が大きく成長してきた頃に、水分が不足してしまうと、根割れを起こす可能性が出てきますので、十分に注意してください。
なお、日本のテーブルビートを栽培する生産者の中には、潅水作業を省力化するための手段として、潅水制御装置という設備を利用している生産者がいます。
潅水制御装置とは、水源の水を汲み上げる「ポンプ」、ポンプで汲み上げた水を運ぶ「パイプ」、潅水作業を実行する「潅水チューブ」等で構成された農業用の設備のことで、露地栽培向けとハウス栽培向けの2つがあります。
潅水制御装置の中にはテーブルビート栽培に適した資材も数多くありますので、ぜひ導入を検討してみてください。
また、当社が開発したSenSprout Pro潅水制御システムを使用すれば、インターネットを利用して、潅水作業を遠隔から制御できるようになります。
家庭菜園から大規模農業まで幅広く使える製品になっていますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
SenSprout Pro潅水制御システム
https://sensprout.com/ja/irrigationcontrolsystem-2/
4.まとめ
ビートは収穫までの期間が短いため初心者でも比較的簡単に作ることができます。最近では、ホームセンターなどで販売されている種を購入して家庭菜園で栽培する人も増えました。ビート栽培にチャレンジする際は、ぜひこの記事を参考に潅水作業を行ってみてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。