水菜栽培における潅水作業のコツと注意点

水菜(ミズナ)は鍋料理やサラダなど私たちの食卓に多く並ぶ人気の農作物です。この記事では、水菜栽培における潅水作業のコツと注意点について解説していきます。

目次

1.日本の水菜栽培

2.水菜栽培のポイント

3.潅水作業のコツと注意点

4.まとめ

1.日本の水菜栽培

1)水菜とは

水菜は、アブラナ科アブラナ属に属する葉茎菜類の野菜です。原産は京都府で、京都の伝統野菜のひとつとしても知られています。

特徴はシャキシャキとした食感とクセの無い味で、私たち人間の体に必要な栄養も多く含んでいます。

※参考1

可食部100グラム当たりに含まれる栄養素の量

・タンパク質(2.2グラム)

・脂質(0.1グラム)

・炭水化物(4.8グラム)

・カルシウム(210ミリグラム)

・リン(64ミリグラム)

・マグネシウム(31ミリグラム)

・カリウム(480ミリグラム)

・ビタミンC(55ミリグラム)

主な生産地は、茨城県、福岡県、京都府、兵庫県、埼玉県の1府4県で、国内で生産される水菜の約半分を茨城県のみで生産しています。

※参考2

都道府県別生産量ランキング(2019年)

1位:茨城県(2万2800トン)

2位:福岡県(3390トン)

3位:京都府(2370トン)

4位:兵庫県(1930トン)

5位:埼玉県(1590トン)

2)日本で栽培されている品種の一例

サカタのタネ

・スピーディベジタブル

種まき後30日で収穫できる品種。シャキシャキ食感が特徴で、ビタミン・ミネラルが豊富。

・水天

低温期でもよく生長する品種。サラダや鍋物など幅広い料理に利用できる。

・早生水天

水天の早生品種。生育スピードが早く、収量性に優れる。

・極早生水天

水天の極早生品種。立性で収穫作業性にも優れる。

・千筋キョウナ

全国的に栽培されている寒さに強い品種。独特の香りと歯ざわりを持つ。

タキイ種苗

・京かなで

晩抽性に優れた品種。トウ立ちの心配が少なく、収穫期間も長い。

・京しぐれ

低温期でもよく生長する品種。純白で極細の葉軸が特徴。

・京みぞれ

生育が旺盛で株揃いが良い品種。夏場でも良く生長し、病気の発生も少ない。

・白茎千筋京水菜

耐寒性に優れた晩生種。煮物や浅漬にも利用できる。

トーホク

・サラダ京水菜

生育スピードが早い品種。家庭菜園にも向いている。

・細葉千筋京水菜

純白の茎と切れ込みの多い緑の葉が特徴の品種。生育旺盛で作りやすい。

・太茎千筋京水菜

濃い緑色の大きな葉が特徴の品種。株の張りが良く耐寒性にも優れる。

ウタネ

・晩生千筋京水菜

純白色の細い茎が特徴の品種。家庭菜園にも向いている。

・サラダ早生千筋京水菜

サラダ向けに開発された品種。特有の香気があり風味も豊か。

中原採種場

・はかた千緑水菜

白い葉軸が特徴の早生品種。サラダや漬物に重宝する。

・株張千緑みずな

株張・株揃いの良い中早生品種。在圃期間が長いため営利栽培に向いている。

・夏千緑水菜

白い葉軸が特徴の中早生品種。高温期の栽培に向いている。

・グリーンからし水菜

緑色の葉の水菜風からし菜。さっぱりとした辛さが特徴。

・レッドからし水菜

赤紫色の葉の水菜風からし菜。さっぱりとた辛さが特徴。

2.水菜栽培のポイント

露地栽培

土づくり・種まき

(1)種まき2週間以上前に苦土石灰を1平方メートル当たり約100グラム施して深く耕す。

(2)種まき1週間前に化成肥料を1平方メートル当たり約100グラム、堆肥を1平方メートル当たり約2キログラム施し再びよく耕す。

(3)幅80センチ・高さ10センチの平畝を整形する。

(4)種まき予定日に畑が乾燥している場合は、事前に水やりをする。

(5)種まき用の溝を20センチ間隔(4列)で掘る。

(6)溝の底を平らにならす。

(7)種を0.5~1センチ間隔でスジまきする。

(8)約5ミリの高さで覆土して、上から軽く押さえる。

(9)水やりをする。

栽培管理

(1)本葉が1~2枚生えたら株間2~3センチ間隔に間引く。

(2)本葉が3~4枚生えたら株間5センチ間隔に間引く。

(3)草丈が10センチに成長したら1回目の追肥を行う。

(4)草丈が20センチに成長したら2回目の追肥を行う。

(5)寒さにあたるとトウ立ちしてしまうので、冬はトンネル型のビニールを使用して、しっかり保温する。

(6)コナガ、アブラムシ、根こぶ病、立枯病、軟腐病などの病害虫の発生に注意する。

(7)害虫の被害が心配な場合には、防虫ネットなどを使用して畝全体を覆う。

収穫作業

(1)収穫適期は草丈が20~30センチに成長した頃。(小~中株)

(2)収穫適期は草丈が30センチ以上に成長した頃。(大株)

(3)夏は種まき後30~40日、冬は種まき後80日を目安に。

(4)収穫作業は、「株元を持って、根ごと引っぱり、付け根部分を刃物で切る」手順で。

(5)切った根を畑に残さない。

プランター栽培

土づくり・種まき

(1)プランターに鉢底石と野菜用の培養土を入れる

(2)種を5ミリ間隔でスジまきする。

(3)約5ミリの高さで覆土して、上から軽く押さえる。

(4)ジョーロで水やりをする。

栽培管理

(1)本葉が生えたら1回目の間引きを行う。

(2)本葉が1~2枚生えたら2回目の間引きを行う。(株間を約4センチにする)

(3)草丈が伸び、葉が混んできたら、3回目の間引きを行う。(株間を約8センチにする。)

(4)寒さにあたるとトウ立ちしてしまうので、冬はトンネル型のビニールを使用して、しっかり保温する。

収穫作業

(1)収穫適期は草丈が20~30センチに成長した頃。(小~中株)

(2)収穫適期は草丈が30センチ以上に成長した頃。(大株)

(3)夏は種まき後30~40日、冬は種まき後80日を目安に。

(4)収穫作業は、「株元を持って、根ごと引っぱり、付け根部分を刃物で切る」手順で。

3.潅水作業のコツと注意点

水菜は、乾燥を嫌う農作物です。

そのため、種まき後20~30日までは水分を切らさないように管理していくことが重要です。しかし、生育後期の過湿は軟腐病の発生を招く恐れがありますので、草丈が15センチ位まで成長したら、土の表面が乾いてきたタイミングで潅水作業を行うようにしてください。

なお、日本の水菜を栽培する生産者の中には、潅水作業を省力化するための手段として、潅水制御装置という設備を利用している生産者がいます。

潅水制御装置とは、水源の水を汲み上げる「ポンプ」、ポンプで汲み上げた水を運ぶ「パイプ」、潅水作業を実行する「潅水チューブ」等で構成された農業用の設備のことで、露地栽培向けとハウス栽培向けの2つがあります。

潅水制御装置の中には水菜栽培に適した資材も数多くありますので、ぜひ導入を検討してみてください。

また、当社が開発したSenSprout Pro潅水制御システムを使用すれば、インターネットを利用して、潅水作業を遠隔から制御できるようになります。

家庭菜園から大規模農業まで幅広く使える製品になっていますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

SenSprout Pro潅水制御システム

https://sensprout.com/ja/irrigationcontrolsystem-2/

4.まとめ

水菜は、庭先やプランターなど家庭菜園でも作れる人気の農作物です。水菜栽培にチャレンジする際は、ぜひこの記事を参考に潅水作業を行ってみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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