農業用潅水ポンプを長く使うための手入れ方法を解説

農作物を育てるうえで水は欠かせません。

井戸水や地下水を吸い上げるために必要なアイテムともいえる農業用潅水ポンプ。

突然の不調や故障で上手く作動してくれないとなると、水が必要不可欠な農業にとっては一大事です。今回はプロの農家にとって重要である農業用潅水ポンプの手入れの方法など詳しく解説していきたいと思います!

目次

1.農業用潅水ポンプの種類と手入れの必要性

2.エンジンポンプの手入れ方法

3.モーターポンプの手入れ方法

4.農業用潅水ポンプのトラブル時に自分で出来る対処法

5.農業用潅水ポンプはこまめに手入れして長く使おう

1.農業用潅水ポンプの種類と手入れの必要性

農業用潅水ポンプは大きく分けてエンジンタイプとモータータイプの2種類です。

とくにエンジンタイプにはさまざまな種類があり、用途などによって使い分けることができます。

まず、エンジンタイプの農業用潅水ポンプには4サイクルエンジンのものと、2サイクルエンジンのものがあり構造が異なります。

2サイクルエンジンの特徴は構造が比較的単純で部品数が少ないため軽くコンパクトな作りであることがメリットです。

デメリットとしてはオイル管理を怠ると故障しやすく、燃費も悪いです。4サイクルエンジンは2サイクルと比べてパワーが強いうえに環境にも優しいというメリットがありますが、構造が複雑なため重くなり値段も高くなってしまうというデメリットがあります。

また吐出口径にもいくつか種類があり、吐出口径25mmのものはビニールハウスなどでの潅水に、40mm以上であれば水田などの潅水に適しています。

モーターポンプはエンジンタイプのものと比べてパワーでは劣りますが、燃料が不要なため経済的で比較的手入れも簡単です。

農業用潅水ポンプを長く使用するためにも手入れは必要です。

また、エンジンタイプとモータータイプでは手入れの方法は異なるので注意が必要。ここではそれぞれの手入れ方法や消耗品についてなど詳しく解説していきたいと思います。

エンジンタイプ、モータータイプ共に工進の農業用潅水ポンプの取扱説明書を参考にしています。

2.エンジンポンプの手入れ方法

エンジンタイプの農業用潅水ポンプでは燃料フィルターと点火プラグの手入れが必要で、これらは50時間ごとに行うことが推奨されています。その他にもエアクリーナーを清潔に保つことが大切です。

また、4サイクルエンジンの場合エンジンオイルを別に入れる必要があるので、オイル交換も定期的に行いましょう。

燃料フィルター清掃方法

針金などで燃料注入口から燃料フィルターを取り出し、きれいな白灯油で汚れをふき取ります。汚れがひどい場合にはフィルターの交換をしましょう。

点火プラグ清掃・点検

・プラグが濡れていたり汚れている場合には、布などでふき取りましょう。

・プラグの隙間は0.6~0.7mmで調節。

・プラグ交換後はプラグカバーを閉じてロックをかけてください。

・プラグカバーの固定部は取り外さないように注意してください。

エアクリーナー清掃・点検

エアクリーナーが汚れているとエンジンの出力が低下するので、頻繁に清掃し清潔に保つようにしましょう。エレメントが埃で固まってしまっているときは、白灯油で洗浄してください。

長期保管をする場合

エンジンタイプの農業用潅水ポンプを一週間以上使用しないときは、燃料が変質し始動不良や運転不調にならないよう以下の要領で整備してから保管するようにしましょう。

・燃料タンク内の燃料を全て抜き取ったあとエンジンを始動し、燃料切れでエンストするまで運転させましょう。

・燃料タンク内および燃料フィルターを新しい白灯油できれいにしておきましょう。

・点火プラグを外し、プラグ穴より新しいエンジンオイルを少量注入しリコイルスターターグリップでゆっくり数回転させたあと、点火プラグを取り付け再びリコイルスターターグリプを引っ張り重く感じる位置で止めます。

・外側を布などで清掃し、湿気の少ない場所で保管しましょう。

冬期の保管

0℃以下になるとケーシング内の水が凍りポンプを破損させてしまうこともあるので、使用後は必ずポンプケース下部にあるドレン口から排水しておきましょう。

3.モーターポンプの手入れ方法

モータータイプの農業用潅水ポンプの手入れ方法は使用後の水抜き、外部などをきれいに保つための清掃、オイルなどでさび止めをしておくことをおすすめします。

とくに寒冷地などでは凍結による破損の恐れがあるので、水抜きと各バルブをあけて置くことを忘れずに。

エンジンタイプに比べてメンテナンスは簡単に行えますが、カーボンブラシの交換が必要です。

カーボンブラシの交換目安

カーボンブラシの交換は始めての場合累計運転時間が約500時間、2回目以降は約200時間を目安にするか、カーボンブラシの摩耗状態(5~6mmになったら)を見て交換しましょう。

4.農業用潅水ポンプのトラブル時に自分で出来る対処法

農業用潅水ポンプのトラブル時、エンジンポンプ・モーターポンプともに基本的に対処法は同じです。

ここでは代表的なトラブルと自分で行える対処法をいくつかご紹介していきたいと思います。

水量が少ないとき

水量が少ないというトラブルの場合いくつか原因があり、吸入揚程が高くなっている、吸入パイプが細いまたは長い、水路の漏水などをチェックしてみて問題がなければインペラに異物が詰まっていることがあるので取り除きましょう。

インペラの異物の取り除き方は、ポンプケースの4本のネジをゆるめ挟まっている異物を取り除いてください。

また、そのときはインペラをシャフトから取り外さないようにしましょう。インペラが破損している場合には交換が必要です。

水を吸い上げないとき

水を吸い上げないときはまず、ポンプケース内の呼び水不足を疑ってみましょう。

呼び水が入っている場合には、ドレン口のプラグがゆるんでいることがあるので、締め付けを行いましょう。

それでもまだ水が上がらないときには吸入側の配管をチェックしてみましょう。

吸入側の配管のチェック方法は、吸入ホースを外し呼び水を入れた状態でエンジンをかけます。

吸入側に手を近づけて30秒程待ち、手が吸い付く感じがあればポンプではなくホースの接続不良です。最後にパッキンがきちんと入っていて問題はないか、ホースに穴が空いてるなどの問題がないかチェックしてください。

リコイルスタータが引けない、または重いとき(エンジンタイプのみ)

リコイルスターターが引けないなどののトラブルはエンジンに異常があるかインペラという部分の固着や異物の詰まりが原因として挙げられます。

エンジンの場合はプロに修理をお願いすることをおすすめしますが、インペラ部分が原因の場合には水量が少ないときと同様に異物がないかチェックしてみましょう。

5.農業用潅水ポンプはこまめに手入れして長く使おう

農業用潅水ポンプを最大限に活用するためにも、定期的に破損や劣化がないかチェックし、きちんと対処しておくことが大事です。

今回は主に工進の農業用潅水ポンプの手入れ方法を参考にしていますが、他社の農業用潅水ポンプを使用している方は念のため、お使いの製品の取扱説明書で手入れ方法を確認することをおすすめします。

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