アスパラガス栽培における潅水作業のポイントと注意点

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アスパラガスは疲労回復やスタミナ増強に効果のあるアスパラギン酸を多く含む健康に良い農作物です。この記事では、アスパラガス栽培における潅水作業のポイントと注意点について解説していきます。

目次

1.日本のアスパラガス栽培

2.アスパラガス栽培の手順

3.潅水作業のポイントと注意点

4.まとめ

1.日本のアスパラガス栽培

1)アスパラガス栽培の歴史

アスパラガスは、キジカクシ科クサスギカズラ属に属する葉茎菜類の野菜です。

原産は地中海沿岸・ウクライナ・ロシアにかけての地域で、古代ギリシャが栄えた紀元前2000年頃の時代には、すでに食用としての栽培がはじまっていたと言われています。

日本に伝わったのは江戸時代中期頃で、伝わってしばらくは鑑賞用として親しまれていましたが、大正時代を迎えると食用としての栽培が一気に広まっていきました。

現在の主な生産地は、北海道、佐賀県、熊本県、長崎県、長野県の1道4県で、日本で生産されるアスパラガスの半分近くを生産しています。

参考

2020年都道府県別生産量ランキング

1位:北海道(3810トン)

2位:佐賀県(2430トン)

3位:熊本県(2200トン)

4位:長崎県(1930トン)

5位:長野県(1830トン)

2)アスパラガスの種類

・グリーンアスパラガス

日本で最も多く流通している一般的なアスパラガス。カロテンやビタミンを多く含む。

・ホワイトアスパラガス

生育中に土寄せをして太陽の光が当たらないようにして育てたアスパラガス。ヨーロッパなどでは一般的に食べられている。

・紫アスパラガス

紫色をしたアスパラガス。日本ではあまり見かけないが、ヨーロッパなどでは一般的に流通している。

・ミニアスパラガス

茎が細い種類のものを早取りしたアスパラガス。 皮を剥かなくてもよいので調理に手間がかからない。

・アスパラソバージュ

アスパラガスとは別の農作物だが、形や調理方法が似ているため、アスパラガスの一種として数えられることが多い。

3)日本で育成した品種

・さぬきのめざめ

香川県農業試験場が育成した品種。甘みが強く、太く柔らかい。長さ50センチまで成長するものもある。

・ズイユウ

農研機構が育成した品種。萌芽が早く、若茎がやや大きく、アントシアニンの発現が少ない。 多収なグリーンアスパラガスの一代雑種。

・どっとデルチェ

長野県野菜花き試験場が育成した品種。太い茎が特徴で、春と秋に収穫できる。斑点病に抵抗性がある。

・ハルキタル

福島県農業試験場が育成した品種。収穫できる茎数が多い。「春の訪れとともに大地から力強く萌芽した若茎を食し春の到来の喜びを実感してほしい」という思いからこの名前が付いた。

・ヒロシマグリーン

広島県立農業試験場が育成した品種。柔らかい葉とみずみずしい芯が特徴。生で食べてもおいしい。

・ヨウテイ

北海製罐株式会社が育成した品種。北海道後志地方南部にある羊蹄山麓付近で多く栽培されている。

・春まちグリーン

福島県農業総合センターが育成した品種。若茎が太いの特徴。福島県の会津地方で多く栽培されている。

・北海100

北海道大学や北海製缶株式会社などが協力して育成した品種。アメリカから輸入されたメリーワシントン系などの優良株を選抜して作られた。

・雄次郎

北海製罐株式会社が育成した品種。在来品種とアメリカから輸入されたメリーワシントン系を掛け合わせて作られた。

・はるむらさきエフ

福島県農業試験場が育成した品種。紫アスパラガスの一種。甘味が強く柔らかい。

2.アスパラガス栽培の手順

ハウス・露地栽培

種まき・育苗

(1)農業ポット(9センチ)に土を入れ、中心を少し掘り、種を2~3粒まく。

(2)5ミリ程度の高さで覆土する。

(3)水やりをする。

(4)新聞紙等を上から被せ、乾燥を防ぐ。

(5)発芽したら被せていた新聞紙等を取り除く。

(6)草丈が4~5センチに成長したら、草勢が強い芽を1本残して他は間引く。

(7)本葉が3~4枚生え、草丈が15センチ位に成長したら定植する。

土づくり・栽培管理

(1)定植2週間以上前に苦土石灰を1平方メートル当たり約150グラム施して深く耕す。

(2)定植1週間前に化成肥料を1平方メートル当たり約150グラム、堆肥を1平方メートル当たり約3キログラム施し再びよく耕す。

(3)幅80センチ・高さ20センチの高畝を整形する。

(4)株間50センチ位を目安に定植用の穴を掘る。

(5)農業ポットに水をたっぷり含ませる。

(6)農業ポットから苗を抜き、掘った穴に植える。

(7)水やりをする。

(8)植えた苗の周囲に倒伏防止の支柱を立て、紐で囲む。

(9)冬:茎と葉が黄化したら、刈り取って処分する。

(10)早春:茎が出たら畝全面に追肥をする。

(11)茎枯病や斑点病、ハダニ、ヨトウムシなどの病害虫に注意する。

収穫作業

(1)春のみ収穫する場合の収穫時期は、栽培2年目で15~20日程度、3~4年目で30~40日程度、5~6年目で50~60日程度を目安に、その後は次の年のために茎葉を伸ばし、根に養分を蓄積するようにする。

(2)夏にも収穫する場合は、春の収穫を早めに終わらせ、立茎をしっかり行う。  

(3)秋にも収穫する場合は、春の収穫を早めに終わらせ、立茎をしっかり行い、若茎が発生しなくなるまで採る。

プランター栽培

土づくり・定植

(1)ホームセンターや小売店で販売されている苗を購入する。

(2)深さ20センチ以上のプランターを用意する。

(3)用意したプランターに軽石を敷いて市販の野菜用培養土を3~4センチ程度の高さで入れる。

(4)プランターの底から水がはみ出るくらいたっぷりと水やりをする。

(5)水が抜けたら固形の化成肥料を施し、5センチ程度の高さで覆土する。

(6)定植用の穴を掘り、苗を植える。

(7)4~5センチ程度の高さに覆土し、たっぷりと水やりをする。

栽培管理・収穫作業

(1)できるだけ日当たりの良い場所で育てる。

(2)毎日水やりをする。

(3)化成肥料か液体肥料を2週間に1回のペースで施す。

(4)倒伏防止の支柱を立てる。

(5)雑草の処理をこまめに行う。

(6)草丈が20~25センチ程度の高さに成長したら収穫する。

3.潅水作業のポイントと注意点

アスパラガスは乾燥に強く過湿に弱い農作物です。

しかし、芽と葉の成長には多くの水分が必要です。そのため、定植して根が活着するまでは1日1回の頻度で、4月~10月までの時期は2日~3日に1回の頻度で、11月~3月までの時期は1週間に1回の頻度で、潅水作業を行うようにしてください。

なお、日本のアスパラガスを栽培する生産者の中には、少量多潅水と呼ばれる潅水方法を用いて水やり作業を行っている生産者がいます。

少量多潅水とは、少量の水を時間をかけて少しずつ与える潅水方法のことで、農作物のストレスを軽減する効果や病害虫の発生を抑える効果、収量を増やす効果などがあると言われています。

当社が開発したSenSprout Pro潅水制御システムを使用すれば、インターネットを利用して潅水の量を遠隔から制御できるようになりますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせ下さい。

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4.まとめ

アスパラガスは、炒め物やサラダなど私たちの食卓に多く並ぶ人気の野菜です。アスパラガス栽培にチャレンジする際には、ぜひこの記事を参考に潅水作業を行ってみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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