ブルーベリー栽培における潅水作業のポイントと注意点

ブルーベリーはジャムやアイスクリーム、ヨーグルトなどにも使われる人気の果物です。この記事では、ブルーベリー栽培における潅水作業のポイントと注意点を解説していきます。

目次

1.日本のブルーベリー栽培

2.ブルーベリー栽培のコツ

3.潅水作業のポイントと注意点

4.まとめ

1.日本のブルーベリー栽培

1)ブルーベリーとは

ブルーベリーはツツジ科スノキ属シアノコカス節に分類される果実の総称です。

原産は北アメリカで、南アメリカに自生していた植物がカリブ海の島々を経て北アメリカに伝わり進化して生まれたといわれています。

日本での栽培が広がったのは、「日本のブルーベリーの父」と呼ばれる岩垣駛夫博士が東京農工大学農学部の教授時代に行った基礎研究の成果によるもので、現在も東京農工大学農学部構内には、日本で最も古い大株のブルーベリーが育っているそうです。

日本での主な生産地は、長野県、東京都、群馬県、岩手県、千葉県の1都4県で、私たち人間が健康に生活していくために必要な栄養を多く含むこともわかっています。

※参考1

2018年度都道府県別生産量ランキング

1位:長野県(178.5トン)

2位:東京都(140.0トン)

3位:群馬県(134.9トン)

4位:岩手県(103.0トン)

5位:千葉県(81.9トン)

※参考2

ブルーベリー100グラムに含まれる主な栄養成分の量

・エネルギー(49キロカロリー)

・水分(86.4グラム)

・たんぱく質(0.5グラム)

・脂質(0.1グラム)

・炭水化物(12.9グラム)

・食物繊維(3.3グラム)

・灰分(0.1グラム)

・ナトリウム(1ミリグラム)

・カリウム(70ミリグラム)

・カルシウム(8ミリグラム)

・マグネシウム(5ミリグラム)

・リン(9ミリグラム)

・鉄(0.2ミリグラム)

・亜鉛(0.1ミリグラム)

・銅(0.04ミリグラム)

・マンガン(0.26ミリグラム)

・βカロテン(55マイクログラム)

・αトコフェロール(1.7ミリグラム)

・γトコフェロール(0.6ミリグラム)

・ビタミンB1(0.03ミリグラム)

・ビタミンB2(0.03ミリグラム)

・ナイアシン(0.2ミリグラム)

・ビタミンB6(0.05ミリグラム)

・葉酸(12マイクログラム)

・パントテン酸(0.12ミリグラム)

・ビオチン(0.22マイクログラム)

・ビタミンC(9ミリグラム)

2)世界で栽培されている品種の一例

ノーザンハイブッシュ系

・アーリーブルー

1952年から栽培されている伝統的な品種。

・ボーナス

老舗農場が開発した自然自生の大粒品種。

・レガシー

1993年に発表された品種。

・ヌイ

100円玉サイズの大きな実が育つ品種。

・ブリジッタ

1977年にオーストラリアで発表された品種。

・プル

ニュージーランドのルアクラリサーチセンターで発表された品種。

・ブルークロップ

世界で最も多く栽培されている品種。

・レカ

ニュージーランドのルアクラリサーチセンターで発表された品種。

・エリザベス

大粒の果実が特徴の品種。

・バークレイ

1949年に発表された古い品種。

・ハーバート

1952年に発表されたジャム作りに最適な品種。

・コリンズ

1960年にアメリカ農務省(USDA)が選定した品種。

・コビル

ブルーベリー品種開発の先駆者であるコビル博士に由来する品種。

・デューク

ひらひらと優雅な樹形が特徴の品種。

・ブルーレイ

1960年にアメリカ農務省(USDA)が選定した品種。

・シエラ

4種の遺伝子を含んでいる品種。

・チャンドラー

500円玉サイズの大きな実が育つ品種。

・パトリオット

1976年に発表された品種。

ラビットアイ系

・バルドウィン

収穫期間が長い最晩生の品種。

・プレミア

開帳型の小さな樹形が特徴の品種。

・ブルーマル

ニュージーランドが原産の品種。

・メンデイト

野生種を彷彿とさせる黒い品種。

・ラヒ

1992年に発表された高糖度な品種。

・ブライトウェル

アメリカ農務省(USDA)のブライトウェル博士に由来する品種。

・ティフブルー

1955年にアメリカで発表された品種。

・タイタン

世界最大のラビットアイ系品種。

・ノビリス(T-100)

開発コード名(T-100)のまま日本に導入された品種。

・フロリダローズ

鮮やかなピンク色の品種。

・マル

完熟後に甘みが増す品種。

・クライマックス

果実が一斉に熟す品種

・パウダーブルー

パウダーがかかったような美しい見た目が特徴の品種。

・ベッキーブルー

甘いキイチゴのような風味が特徴の品種。

・アリスブルー

ベッキーブルーの兄弟品種。

サザンハイブッシュ系

・ミスティ

独特の香りと風味を持つ品種。

・ユーリカ

オーストラリア原産の品種。

・スノーチェイサー

フロリダ大学(アメリカ)で育成された品種。

・トワイライト

フルーティな甘さが特徴の品種。

・サファイア

甘味と酸味が程良いバランスの品種。

・シャープブルー

サザンハイブリッシュ系の中で一番初めに誕生した品種。

・オニール

舌触りが滑らかな品種。

・スター

萼が星の形をした品種。

・OPI

パリッとした食感が特徴の品種。

・サミット

酸味を強く感じる品種。

ハイブリッド系

・ピンクレモネード

レモネードのような味をしたピンク色の品種。

・オーゼキブルー

桃・イチゴ・ラズベリーの風味を感じる品種。

2.ブルーベリー栽培のコツ

苗木の植え付け

(1)ホームセンターや種苗店で販売されている苗木を購入する。

(2)畑に深さ40~50センチ位の穴を掘る。

(3)掘り上げた土にピートモスを30リットル、籾殻などの有機物を50リットル混ぜ込み、埋め戻す。

(4) 苗木の根を広げて、深くなり過ぎない位置に固定し、添え木を差し込む。

(5)残った土を被せ、高く盛り上がる形に整形し、大量の水を散布して根と土を密着させる。

施肥作業

(1)3月中~下旬頃の花前の時期に入ったら、有機肥料を1本当たり約100グラム施す。

(2)果実が結実したら有機肥料を1本当たり約30グラム施して花芽分化を促進させていく。

(3)8月になったら有機肥料を1本当たり約20グラム施して、次の年の開花や新梢のための養分蓄える。

剪定作業

(1)休眠期に入ったら枯れた枝や地際から発生した枝、幹から発生した枝、下垂した弱々しい枝、日陰を多く生み出している枝などを切除して取り除く。

(2)ふっくらとした花芽の付いた枝のみを残す。

収穫作業

(1)収穫適期は全体の果色が青に変わり5~7日経った頃。

(2)ピンク色が残っている段階で収穫すると糖分が足りず、酸味が強くなってしまうので注意する。

(3)1粒ずつ手で優しく包むように丁寧に収穫する。

3.潅水作業のポイントと注意点

ブルーベリーは乾燥しやすい農作物です。

そのため、水切れを起こさないよう、1日1回必ず潅水作業を行う必要があり、できるだけ午前中の早い時間帯に※夏場は1日2回が好ましいです。

しかし、秋から冬にかけての時期は水分の量を少しずつ減らし、土が乾いてきたタイミングで潅水作業を行うようにしましょう。

なお、日本のブルーベリーを栽培する生産者の中には、潅水作業を省力化するための手段として、潅水制御装置という設備を利用している生産者がいます。

潅水制御装置とは、水源の水を汲み上げる「ポンプ」、ポンプで汲み上げた水を運ぶ「パイプ」、潅水作業を実行する「潅水チューブ」等で構成された農業用の設備のことで、露地栽培向けとハウス栽培向けの2つがあります。

潅水制御装置の中にはブルーベリー栽培に適した資材も数多くありますので、ぜひ導入を検討してみてください。

また、当社が開発したSenSprout Pro潅水制御システムを使用すれば、インターネットを利用して、潅水作業を遠隔から制御できるようになります。

家庭菜園から大規模農業まで幅広く使える製品になっていますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

SenSprout Pro潅水制御システム

https://sensprout.com/ja/irrigationcontrolsystem-2/

4.まとめ

ブルーベリーは、庭先での栽培など家庭菜園でも作れる人気の果物です。ブルーベリー栽培にチャレンジする際は、ぜひこの記事を参考に潅水作業を行ってみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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