SenSprout(センスプラウト)

農業経営の観点から見た水分センサーの重要性

目次

1. 水分センサーとは

2. 農業経営の観点から見た水分センサーの重要性

3. 水分センサーの機能性

4. おすすめの水分センサー

5. まとめ

1. 水分センサーとは

水分センサーは、土壌に含まれる水分量や水分率を計測するための装置で、土壌水分の吸引力や土壌内の静電容量を利用して水分量を測定する製品です。水分量や水分率だけでなく、土壌温度や電気伝導度(EC値)、土壌pHも計測できる装置など様々な製品が販売されています。

SenSprout Pro センサーシステム

SenSprout Pro センサーシステムの場合、土壌への埋め込み方法は、センサー部を傷つけないよう、10cm~20cm程度の深さを目安にセンサー部と土壌の間に隙間をつくらず埋没します。埋没後は、表面を強い力で押し付けたり、固めたりしないようにすることがポイントです。

スマート農業やアグリテックが流行る中、土壌の水分量を測る方法にも新しい技術・新しい製品が誕生しています。これまで、土壌の塩分濃度が邪魔をして正しく水分量が図れなかったり、ユーザビリティーが低かったりと、扱いやすくて精度の高い土壌水分センサーが存在しませんでした。近年では、土壌物理を研究する大学教授らが協力して、ユーザビリティが高く、高精度の土壌水分センサーがリリースされています。

水分センサーを活用したスマート農業の実証実験についてはこちらの記事を参考にしてください。

2. 農業経営の観点から見た水分センサーの重要性

次にご紹介するのが農業経営の観点から見た水分センサーの重要性です。ここで、お話しする「農業経営」とは、家族経営から法人経営を目指し、家族以外に従業員を雇用したり、栽培規模を拡大したりと、「売上規模の拡大を目的とした経営計画を策定する」ことと定義します。

農業経営を行う場合、最初に必要になってくるのが「時間」です。経営計画を立てるためにはそれなりにまとまった時間の確保が必要になります。これまでのように、農業現場にも出て、経理業務もして、出荷作業もして、等すべての業務に携わっていると農業経営は難しいでしょう。時間の確保として2つ方法があります。その一つが、アグリテックの活用により、農作業の効率化を図ることです。そして、もう一つが現場の担当者と経営の担当者を分ける方法です。

アグリテックを活用した農作業の効率化

アグリテックの活用として、水分センサーを接続できる潅水制御システムの導入をおすすめします。特に、自動潅水装置や遠隔潅水装置を導入することで、導入前と比べて劇的に潅水にかかる作業時間を削減できることが注目されています。

削減できる作業時間は、栽培作物や栽培面積によって異なります。

手動で電磁弁の開閉を行う潅水装置「ユニチカ社のラブマットU」を導入したイチゴ栽培を例にとると、農地面積約2反の場合、潅水装置導入前は1日4時間かけて水やりしていたところ、ラブマットUを取り入れることで、1日2回午前と午後に蛇口を捻るだけの時間に短縮できました。ラブマットUは底面潅水マットで、蛇口を捻るだけで潅水できるだけでなく、給水はもちろん適度な排水も可能です。特に夏場は炎天下での水やりとなるため過酷な作業です。それが1日2回蛇口を捻るだけの作業になると、時間にも体力にも余裕が生まれます。

参考:https://agri.mynavi.jp/2019_01_16_53952/

他には、遠隔操作で電磁弁の開閉ができる、センスプラウト社の潅水制御システムを導入した福岡県のアスパラガス農家の事例があります。センスプラウトの潅水制御システムの特徴は、スマートフォンやPCで潅水の予約や管理が遠隔でできる点です。遠隔操作で潅水を行うことで圃場に移動する時間も削減することができます。

例えば、アスパラガスハウス10棟に手動の潅水装置を設置していた場合、全部の棟を回らないといけないため、移動も含めて1時間はかかってしまいます。しかし、遠隔でいつでもどこでも潅水を操作できるようになると、さらに作業時間を削減することができますよ。

参考:https://sensprout.com/news/fukuoka-oki/

現場と経営の担当者を分ける

これは農家さんにもよりますが、農作業現場と経営を考える人を分ける(組織化する)ことで、十分に農業経営を行う時間を確保することができます。また、前述した通り、水分センサー(潅水装置)を導入することで、誰でも失敗する水不足というリスクを下げて潅水作業を行うことができ、現場を離れて経営に集中する時の安心材料になります。

よく、夫婦で農業をしている家族経営から法人経営へ経営体移行期に見られる担当の分け方は、旦那さんが現場、奥さんが営業・経営(・経理)に担当を分け、意思決定のみ2人で行うパターンがあります。

その他、潅水の効率化によって、余った時間の使い方については、こちらの記事をご参考ください。

3. 水分センサーの機能性

農業用水分センサーの主な機能は、土壌中の水分量や水分率を測る機能の他に、塩分濃度や地温、比誘電率の測定等があります。農業用水分センサーの場合、潅水システムと連携して、1時間ごとに圃場の水分量を記録し、水分不足や水分過剰の時はアラートがなるようになっています。特に、最新の自動潅水装置では、水分センサーが水分不足を検知したら、潅水装置が適切な量の水を自動で散水することができます。

拡大する農業水分センサーのマーケット

世界の農業水分センサー市場は2019年に2億1580万ドルと評価され、2027年までに4億1120万ドルに達すると予測されており、2020年から2027年までのCAGRは9.1%です。

土壌水分は、農業において重要なパラメーターであるため、農業部門の発展は農業水分センサーの成長を促進させると言えます。さらに農業水分センサーは土壌環境の変化を記録することにも使用されます。自然環境の状況を理解することにも役立ち、農業従事者以外からも支持される技術です。また、スマート農業やアグリテックの市場が拡大する中、農業水分センサーの採用は市場の成長にも有利とされます。一方で、水耕栽培も同時に発展しているため、農業水分センサー市場の発展を妨げるとも予想されています。

4. おすすめの水分センサー

最後におすすめの水分センサーについて商品の概要と特徴を合せてご紹介します。

◆旭光通商株式会社の「SM150T」

https://www.ipros.jp/product/detail/2000511564/

SM150Tは、土中温度が測定できる機能も備わった土壌水分センサーです。

内蔵の土壌温度センサーは誤差0.5℃の精度で地温を測定でき、優れた機能で安定した測定ができます。

ハンディーロガーによる瞬時の測定やデータロガーを使用した長期にわたる測定・データ蓄積が可能です。

【商品の特長】

・土壌含水率の測定精度:±3.0%

・ハンディーロガーHH2よる瞬時の測定とメモリ保存

・データロガーへの接続が簡単

・最小限の土壌の撹乱

◆株式会社シロ産業の「防水水分センサー」

https://shop.webshiro.com/sp/item/M1260A3-W-5YA/

現場で3種(水分・温度・養分)のセンサー情報を同時に、瞬時に測定できます。

周囲温度による影響を最小限に抑え、個体差のばらつきを少なくした高精度の測定を実現します。

ハウス栽培、露地栽培、植物工場など、あらゆる環境に適応しています。また、ピートモスや、ロックウール、やしがら、汚泥など70%を超える水分量の測定も可能です。

【商品の特徴】

・高い防水性能と耐久性

・周囲温度による影響を最小限(5%以下)に抑えている

・個体差によるばらつきが少ない(2%以下)

・国内生産により安定した品質を保証します。(メーカー開発製品)

5. まとめ

これまでご紹介してきたように、水分センサーの活用は作業の効率化や水不足というリスク低減に繋がり、農業経営の観点から見ても多くの利点があります。すぐに全ビニールハウスに導入が難しい場合は、一部のビニールハウスから導入を開始したり、規模拡大で新設するビニールハウスに一緒に導入してみたりするといいでしょう。また、ビニールハウスの新設や水分センサー含め、アグリテックの導入に活用できる補助金もありますので調べてみることをおすすめします。

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