現在、日本には農業を対象にした様々な補助金があります。しかし、「一体いくらまで給付してもらえるのか?」わからない人も多いと思います。この記事では、農業で使える補助金の種類と給付の上限額を紹介していきたいと思います。
目次
1.補助金とは
2.農業で使える補助金と給付の金額
3.その他(融資・保険)
4.まとめ
1.補助金とは
補助金は国や全国の地方自治体が進める政策に沿った取り組みを推進する企業・団体・個人らを対象に、新規事業の創出や雇用の安定、生産性の向上など、それぞれの政策目標の達成に必要な資金の一部を給付して、日本における産業の持続的発展を促していく制度です。
給付金の金額は、各省庁・地方自治体が実施する事業によって様々で、融資などとは違い返済の義務が発生することもありません。
しかしその分、外部の有識者らで構成された審査委員会による厳しい審査をクリアする必要があり、不透明な経営計画や見込みの甘い事業計画を立てる企業・団体・個人は給付が受けられない仕組みになっています。
農業分野で記憶に新しいのが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた農業者等を対象に実施された「経営継続補助金」で、「接触機会を減らす生産・販売への転換」など特定の要件を満たしていることを条件に、最大100万円(補助率3/4)の補助金が給付されました。
2.農業で使える補助金と給付の金額
1)強い農業・担い手づくり総合支援交付金
・産地基幹施設等支援タイプ
農産物の高付加価値化や生産コストの低減など産地の収益力強化や合理化を図る取り組みに必要な施設(集出荷貯蔵施設、低コスト耐候性ハウス等)の整備・再編に必要な費用を支援する。
上限額:20億円(補助率1/2以内)
・先進的農業経営確立支援タイプ
農業機械や農業施設の導入に必要な費用と金融機関への債務保証(経営体の信用保証)を支援する。
上限額:個人1000万円・法人1500万円(補助率3/10以内)
・地域担い手育成支援タイプ(融資主体補助型)
農業機械やビニールハウスなどの施設の導入に必要な費用と金融機関への債務保証(経営体の信用保証)を支援する。
上限額:300万円(補助率3/10以内)
・地域担い手育成支援タイプ(条件不利地域型)
共同利用のための農業施設・農業機械の導入に必要な費用を支援する。
上限額:1経営体当たり4000万円(補助率1/2以内)
※農業機械は補助率1/3以内
※沖縄県で実施する場合は除く。
2)農地耕作条件改善事業
・地域内農地集積型
農業者数2者以上を要件に、畦畔除去による区画拡大や暗渠排水の設置、農道・農業用排水路の更新など基盤整備に必要な費用を支援する。
上限額:1地区当たり200万円(補助率1/2以内)
・高収益作物転換型
農業者数2名以上を要件に、高収益作物への転換に(作付面積の内1/4以上)に必要な費用を支援する。
上限額:1地区当たり200万円(補助率1/2以内)
・スマート農業導入推進型(補助金)
農業者数2名以上を要件に、GNSS基地局や農業用トラクター向け自動操舵システム等の導入に必要な費用を支援する。
上限額:1地区当たり200万円(補助率1/2以内)
3)産地生産基盤パワーアップ事業
・収益性向上対策型
産地パワーアップ計画の実現に必要な集出荷貯蔵施設・低コスト耐候性ハウス等の整備、農業機械のリース導入・取得、パイプハウス資材等の生産資材の導入に必要な費用を支援する。
上限額:明記なし(補助率1/2以内)
4)肥料価格高騰対策事業
・化学肥料低減経営強化緊急対策事業
化学肥料の使用量を低減する機械の購入に必要な費用を支援する。
上限額:肥料コスト上昇分の7割(補助率1/2以内)
5)サービス等生産性向上IT導入支援事業
・IT導入補助金
ECサイトの制作やIoT、ICTなど先端技術を活用した農業機器の導入に必要な費用を支援する。
上限額:450万円(補助率1/2以内)
※当社が開発した「SenSprout Pro潅水制御システム」の導入も対象になりました。
SenSprout Pro潅水制御システム
https://sensprout.com/ja/irrigationcontrolsystem-2/
6)畜産クラスター事業
・施設整備事業
家畜の飼養管理施設や排せつ物処理施設の整備に必要な費用を支援する。
上限額:27万5000円/妊娠牛1頭・17万5000円/繁殖雌牛1頭(補助率1/2以内)
・機械導入事業
自動給餌機や搾乳装置などの機械の導入(購入方式・リース方式)に必要な費用を支援する。
上限額:本体価格の1/2以内
・畜産経営基盤継承支援事業
畜産クラスター協議会が作成する「畜産クラスター計画」に位置付けられた経営体を対象に、新規就農希望者とのマッチングに掛かる費用を支援する。
上限額:100万円(補助率1/2以内)
7)農の雇用事業
・雇用就農者育成・独立支援タイプ
新規就農者(独立希望者を含む)の雇用および農業生産技術や出荷・販売ノウハウ習得に必要な費用を支援する。
上限額:年間最大60万円(最長4年間)
・新法人設立支援タイプ
新規就農者の雇用および独立または経営継承を伴う農業法人設立に向けて実施する研修に必要な費用を支援する。
上限額:年間最大120万円(最長4年間※3年目以降は年間最大60万円)
・次世代経営者育成タイプ
海外での留学など先進的な農業経営を学ぶ研修に必要な費用を支援する。
上限額:1カ月最大10万円(最長2年間)
3.その他(融資・保険)
1)農業経営基盤強化資金(融資)
・スーパーL資金
市町村等が認めた「認定農業者」を対象に、農業経営の改善に必要な資金を長期かつ低金利な条件で貸付する。
上限額:個人3億円・法人10億円(返済期限25年以内)
※個人で複数部門を経営する場合は6億円まで可能。
※法人で民間金融機関との協調融資を行う場合は30億円まで可能。
2)農業近代化資金(融資)
・建構築物等造成資金
農業施設や農業機械などの取得・改良・造成・復旧に必要な資金を長期かつ低金利な条件で貸付する。
上限額:個人1800万円(知事特認2億円)・法人2億円(返済期限15~17年以内)
3)農業共済(保険)
・園芸施設共済
台風や大雨、干害、冷害、雪害などの自然災害の被害を受けた園芸施設を対象に復旧に必要な費用を支援。
上限額:新築時の資産価値の8~4割
※特約を付加すれば10割まで可能。
・農作物/果樹/畑作物/家畜共済
台風や大雨、干害、冷害、雪害などの自然災害の被害を受けた農作物等を対象にした保険。
上限額:掛金の50%
4.まとめ
現在、日本の農業は農業人口の減少や高齢化、担い手不足など多くの課題を抱えています。また、最近では肥料価格の高騰など生産コストの上昇を理由に、「農業を続けていくのが難しい」と考える農家が多く、農業自体を諦めるケースも少なくないようです。しかし、補助金を上手に活用していけば「儲かる農業」への転換も決して夢ではありません。
なお、今回紹介した補助金以外にも、農業分野を対象にした様々な種類の補助金がありますので、興味のある方はぜひリサーチしてみてください。 最後まで読んでいただきありがとうございました。