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農業施設の整備に使える補助金の種類

現在、日本では地域農業の振興と活性化を目的に農業施設の整備が進められています。この記事では、農業施設の整備に使える補助金について紹介していきます。

目次

1.農業施設とは

2.日本の補助金制度

3.農業施設の整備に使える補助金の種類

4.実際の活用事例

5.まとめ

1.農業施設とは

農業施設とは、農作物の生産・調整・出荷・流通等に関連する作業を行う建物付きの場所を表す言葉です。区分は、個別農家施設と共同利用施設の2つで、食品製造を行う工場は含まれません。

該当する主な施設は以下の通りです。

穀物関連施設

・集荷施設

生産した農作物を集める施設。

・育苗施設

農作物の苗を育てる施設。

・種子センター

種子の荷受、計量、乾燥、精選、消毒、計量、出荷を行う施設。

・播種プラント

野菜や稲の種を蒔く施設。

・乾燥施設

米や麦などの穀物を乾燥する施設。

・カントリーエレベーター

米や麦などの穀物を貯蔵する施設。

・ライスセンター

収穫した米の荷受、乾燥、籾摺り、選別、出荷を行う施設。

・精米工場

収穫した米を精米し袋詰めし出荷する施設。

・サイロ

収穫した穀物を収蔵する施設。

・低温倉庫

室内の温度を一定に保ちながら収穫した米などを貯蔵する施設。

・出荷施設

集荷した農作物を出荷する施設。

園芸施設

・ビニールハウス

季節や気温、天候の変化の影響を受けずに農作物を栽培できるビニール製のハウス。

・鉄骨ハウス

季節や気温、天候の変化の影響を受けずに農作物を栽培できる鉄骨製のハウス。

・プラスチックハウス

季節や気温、天候の変化の影響を受けずに農作物を栽培できるプラスチック製のハウス。

・ガラス温室

季節や気温、天候の変化の影響を受けずに農作物を栽培できるガラス製の温室。

・植物工場

環境制御システム、潅水制御装置、LEDライトなどを利用して農作物を栽培する植物専用の工場。

畜産施設

・牛舎

畜産用の牛を飼育する施設。

・鶏舎

畜産用の鶏を飼育する施設。

・豚舎

畜産用の豚を飼育する施設。

・飼料調整施設

畜産用の飼料を加工・調製する施設。

・飼料貯蔵庫

畜産用の飼料を貯蔵する施設。

・ふ化施設

畜産用の鶏の卵をふ化する施設。

・GPセンター

畜産用の鶏の卵を選別し包装する施設。

青果物流通施設

・予冷施設

室内の温度を冷却しながら収穫した農作物を貯蔵する施設。

・集出荷施設

産地から輸送された農作物を集めて出荷する施設。

・冷凍機

農作物の鮮度や品質を維持する装置。

・選果包装施設

収穫した果実を選別して包装する施設。

・非破壊検査施設

農作物の品質を非破壊で検査する施設。

・低温貯蔵施設

室内の温度を冷却しながら収穫した農作物を貯蔵する施設。

・追熟施設

収穫した果実の熟度を高める施設。

・カット野菜加工施設

収穫した農作物をカットする施設。

・プレハブ冷蔵庫

収穫した農作物を貯蔵するプレハブづくりの冷蔵庫。

再生可能エネルギー施設(農業用途)

・営農型太陽光発電施設

農地の上部空間に設置した太陽光パネルで電力を発電しながら農作物を栽培する施設。

・風力発電施設

農地に設置した風車で電力を発電しながら農作物を栽培する施設。

・水力発電施設

農業用の水利施設を流れる水を利用して電力を発電する施設。

・地熱発電施設

地熱発電を利用して農作物の成長に必要なハウス内の温度をコントロールする施設。

・バイオマス施設

バイオマスを活用した農業生産・エネルギー供給を推進する施設。

廃水・廃棄物処理施設(農業用途)

・糞尿搬出処理施設

家畜の糞尿を搬出・処理する施設。

・糞尿貯留施設

家畜の糞尿を貯留する施設。

・搾乳関連排水処理施設

乳牛の搾乳で発生した排水を処理する施設。

2.日本の補助金制度

補助金は、国や全国の地方自治体が進める政策に沿った取り組みを推進する企業・団体・個人らを対象に、新規事業の創出や雇用の安定、生産性の向上など、それぞれの政策目標の達成に必要な資金の一部を給付して、日本の産業の持続的発展を促していく制度です。

給付金の金額は、各省庁・地方自治体が実施する事業によって様々で、融資などとは違い返済の義務が発生することはありません。

しかし、その分、外部の有識者らで構成された審査委員会による厳しい審査をクリアする必要があるため、不透明な経営計画や見込みの甘い事業計画を立てる企業・団体・個人は給付が受けられない仕組みになっています。

農業分野で記憶に新しいのが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた農業者等を対象に実施された「経営継続補助金」で、最大100万円(補助率3/4)の補助金が支給されました。

3.農業施設の整備に使える補助金

1)強い農業・担い手づくり総合支援交付金

・産地基幹施設等支援タイプ

集出荷貯蔵施設、低コスト耐候性ハウス等の整備・再編に必要な費用を支援する。(補助率1/2以内・上限:20億円)

・先進的農業経営確立支援タイプ

農業施設の導入に必要な費用と金融機関への債務保証(経営体の信用保証)を支援する。(補助率3/10以内・上限:個人1000万円・法人1500万円)

・地域担い手育成支援タイプ(融資主体補助型)

ビニールハウスなどの施設の導入に必要な費用と金融機関への債務保証(経営体の信用保証)を支援する。(補助率3/10以内・上限:300万円)

・地域担い手育成支援タイプ(条件不利地域型)

共同利用のための農業施設の導入に必要な費用を支援する。※沖縄県で実施する場合等を除く。(補助率1/2以内・上限:1経営体当たり4000万円※農業機械は補助率1/3以内)

2)農地耕作条件改善事業

・地域内農地集積型

畦畔除去による区画拡大や暗渠排水の設置、農道・農業用排水路の更新などの基盤整備に必要な費用を支援する。(補助率1/2以内)※1地区当たりの総事業費200万円・農業者数2者以上が要件。

3)産地生産基盤パワーアップ事業

・収益性向上対策型

集出荷貯蔵施設・低コスト耐候性ハウス等の導入、整備、取得、リースに必要な費用を支援する。(補助率1/2以内)

4)畜産クラスター事業

・施設整備事業

家畜の管理施設や排せつ物処理施設の整備に必要な費用を支援する。(補助率1/2以内・上限:妊娠牛27万5000円/1頭・繁殖雌牛17万5000円/1頭)

・機械導入事業

自動給餌機や搾乳装置などの機械の導入(購入方式・リース方式)に必要な費用を支援する。(補助率1/2以内)

4.実際の活用事例

1)椎茸・舞茸を生産する菌床テントを導入

山形県のきのこ生産事業者が「強い農業・担い手づくり総合支援交付金」を活用して椎茸・舞茸を生産する菌床テントを導入。紫外線の影響が少なくなったほか、照明などの電気代も削減できるようになったそうです。

2)乾燥機用の作業テントを設置

福島の米農家が「産地生産基盤パワーアップ事業」を活用して乾燥機用の作業用テントを設置。近隣の複数の農家と共有して使用しているそうです。

3)家畜の糞尿を堆肥化する急速土着菌発酵乾燥システムを導入

北海道の畜産農家が「畜産クラスター事業」を活用して家畜糞尿を堆肥化する急速土着菌発酵乾燥システムを導入。衛生的な環境を保ちながら高品質な堆肥を僅か1日で製造しているそうです。

5.まとめ

補助金は、農業生産の効率化と収益化に役立つ制度です。

今回紹介した補助金以外にも、農林水産省以外の省庁や全国の都道府県・市町村が実施する事業など、農業施設を対象にした様々な種類の補助金がありますので、興味のある方はぜひリサーチしてみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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