「規模拡大したいから、自動灌水装置の導入が必要だな」なんて考えたことありませんか?
作物を育てるにあたって、水やりは欠かすことのできない非常に大切な作業です。
毎日天候と相談しながら、潅水する量や時間を決める必要があります。しかし、農場の規模を拡大していくと、その分潅水作業も大変になります。
最近では大規模農場でも効率的に作業が行えるよう、自動潅水を可能にする潅水制御装置がたくさん販売されています。
また、潅水用のホースもメーカーによってさまざまで、より効率的な潅水ができるように設計されています。
今回は、大手農業資材メーカーである住化農業株式会社が販売する潅水ホースと灌水制御装置について紹介します。「穿孔(読み方:せんこう)」などの独自技術で農業界の課題解決に挑んでいる住化農業には、どのような製品があるのでしょうか。
「スミホース」は根を伸ばす作物への効果が絶大
灌水制御装置について紹介する前に、まずは住化農業の販売している潅水ホースを紹介します。
住化農業の潅水ホースの中で代表的な製品が「スミホース(S180/B120)」です。
地面に置いて使う地表潅水用の潅水ホースで、片側に散水するもの1種類と、両側に散水するもの2種類の、計3種類の製品があります。
スミホースには、3つの特徴があります。
1)ホースが転がらない底面構造をしている
スミホースなどの地表潅水用のホースは、ふつう畝の上に設置して使用します。しかし、畝の斜面に設置してしまうと、ホースが畝から転がり落ちて、うまく潅水できないということが発生します。
しかし、スミホースの底面には「リブ」という出っ張りが付いているため、転がりにくい構造となっています。そのため、スミホースには、転がりにくく畝に設置しやすいというメリットがあります。
2)敷設収納が簡単
スミホースはゴム製のため、従来の塩ビパイプに比べて軽量です。さらに、好きな長さで切ることができるなど、ハウスの状況に合わせて柔軟に対応できます。
収納も簡単で、使い終わったらくるくると巻いて、ハウスの支柱などに掛けておけます。
3)耐久性が高い
潅水ホースを使っていて、「紫外線や農薬で傷んで破けた」という経験をしたことがある方もいると思います。
スミホースは特殊なゴムホースで作られているため、紫外線や農薬などの化学薬品への耐久性が高く、安心して使える製品です。
以上のようなメリットをもつ「スミホース」は、アスパラガスやトルコギキョウなど、根を深く広く張る作物に対してよく使われています。
理由は、畝だけではなく、通路にまで散水できるからです。
アスパラガスやトルコギキョウは、根をどんどん伸ばしていき、その根は畝だけではなく、畝と畝の間の通路にまで及びます。
スミホースの散布幅は最大で2mにも及ぶため、通路まで散水でき、根をよく張る作物も良好に育てられます。

このように、住化農業の潅水ホースは使いやすさや耐久性に優れた製品です。
そして、住化農業は潅水をサポートする灌水制御装置も販売しています。
「よくばりタイマー」で潅水・液肥施用を自動化
農場の規模拡大を考えるときに、作業の効率化を考えることは必要不可欠です。
その効率化をサポートしてくれるのが潅水制御装置です。
住化農業の代表的な潅水制御装置として「よくばりタイマー」という製品があります。
よくばりタイマーは、「何時間ごとに何分潅水する」という設定ができる、タイマー式潅水装置です。水だけでなく液肥散布との切り替えもでき、栽培ノウハウがあれば自分好みの設定ができます。
よくばりタイマーには、主に以下の3種類の製品があります。
・標準タイプ:毎日潅水が必要な栽培向け
・習慣タイプ:間断潅水が必要な栽培向け
・FPタイプ:潅水量を流量で管理する栽培向け
また、8系統まで設定できるため、大型ハウスにも対応できます。
電源も100vと200vの兼用です。
さらに、FPタイプはチューブ洗浄機能が使えます。
潅水チューブを長く使っていると、中にゴミが溜まって水や液肥の通りが悪くなったという経験をされた方も多いでしょう。
そんな時に洗浄機能を使えば、チューブ内のゴミを除去し、水や液肥の流れやすいチューブに保ってくれます。
タイマー式なので、定期的に洗浄設定をしておくことで、自動で潅水するだけでなく、自動で洗浄もしてくれる優れものになります。

このように、「よくばりタイマー」は名前の通り「よくばった」タイマーです。
しかし、タイマー式であるがゆえのデメリットもあります。
それは、「天候に合わせた潅水量の調整ができない」ことです。
最近は天候の変化が激しく、午前中はよく晴れていたのに午後から土砂降りになった、なんてことも多くあります。
タイマーで定期的に潅水する設定にしておくと、雨が降っても晴れの時と同じ水量で潅水してしまうため、いちいち設定し直す必要があります。
それを解決してくれるのが、日射量に合わせた潅水を可能にする日射コントローラーなのです。
日射量コントローラーを付けると積算日射量での潅水が可能に
日射コントローラーは、よくばりタイマーと合わせて使うことで、積算日射量に応じた潅水を可能にする潅水制御装置です。
「どれくらいの日射量になったら、どれくらい潅水するか」を設定しておけば、天候に合わせて自動で潅水してくれます。
そのため、晴れている時は潅水量が多くなり、逆に曇りや雨の時は、作物の蒸散量に応じた潅水を自動的に行います。
積算日射量と潅水量の設定をしたら、あとは自動で潅水してくれるので、その分ほかの作業に集中できます。
作物にもよりますが、例えば生育状況を見てその週の潅水設定を行い、あとは潅水装置に任せてほかの作業に取り組む。生育状況に変化がない限り設定は変えないといった管理が可能です。
晴れの日に作業していると「今日はよく潅水するな」、逆に雨の日だと「今日は潅水少ないな」と感じるでしょう。
また、農業法人のように従業員がいる農場であれば、設定だけして従業員に管理作業を任せ、自分は営業や出荷などに出向くといったこともできます。
よくばりタイマーの弱点をカバーしてくれる、心強いアイテムです。

まとめ
農場の規模拡大を考えるうえで、潅水の自動化は切っても切り離せません。
設定しておくだけで自動的にハウス全体を潅水してくれるとなると、大幅な作業の効率化が実現します。
もし規模拡大を考えているなら、自分のハウスに合った潅水制御装置を導入して、作業の効率化を図ってみてはいかがでしょうか。