ロメインレタスはシャキシャキとした食感が特徴の人気の野菜です。この記事では、ロメインレタス栽培における潅水作業のポイントについて解説していきます。
目次
1.日本のロメインレタス栽培
2.ロメインレタス栽培の手順
3.潅水作業のコツ
4.まとめ
1.日本のロメインレタス栽培
1)ロメインレタスとは
ロメインレタスはキク科アキノノゲシ属に属する半結球レタスの一種です。原産はエーゲ海南東部ドデカネス諸島にあるコス島で、別名コスレタスとも呼ばれています。
通常のレタスとの大きな違いは、白菜のように上に立った状態で成長する長い楕円形のかたちで、サラダや炒め物などの料理に使われます。
注目すべきポイントは通常のレタスの約2倍といわれる高い栄養価で、便秘の改善やダイエット、免疫力のアップに効果があるとされています。
可食部100グラム当たりの栄養量
・炭水化物(2.1g)
・脂肪(0.4g)
・タンパク質(1.4g)
・食物繊維(0.6g)
・ビタミンA(60μg)
・ビタミンC(20mg)
・βカロテン(360μg)
・ビタミンB2(0.1mg)
・ビタミンB3(0.2mg)
・マグネシウム(70mg)
・鉄(1.2mg)
・スズ(0.43mg)
・銅(0.48mg)
・マンガン(0.15mg)
・カリウム(100mg)
・リン(31mg)
・セレン(1.55μg)
現在の主な生産地は、長野県、茨城県、群馬県、静岡県、福岡県、熊本県などで、1月~3月は静岡県、福岡県、熊本県で生産したものが、3月中旬~6月は茨城県、群馬県で生産したものが、6月中旬~9月は長野県で生産したものが、10月~11月中旬は茨城県、群馬県で生産したものが、11月中旬~12月は静岡県、福岡県、熊本県で生産したものが市場に多く出回っているそうです。
2)ロメインレタスの種類や仲間
・レッドロメインレタス
ロメインレタスの赤葉種。通常のロメインレタスよりも濃い苦味が特徴。他のリーフレタスと混ぜてドレッシングをかけて食べるとかすかな苦味がアクセントになる。
・玉レタス
日本で一般的に栽培されているレタス。食感がパリッとしていることからクリスプヘッドレタスとも呼ばれる。晩春から初夏にかけて栽培されるが一年中どこでも手に入る。
・サニーレタス
葉先が赤くなる非結球レタスの総称。葉が薄く苦みが少ない。カロテンの含有量が多く栄養価が高い。
・シルクレタス
ギザギザの葉先とフリル状の形状が特徴のレタス。シャキシャキとした食感が特徴だが柔らかい食感のタイプもある。少ない量でもふんわりとしとボリューム感を出せるためサラダに向いている。
・ピンクロウスター
葉先がピンク色に染まるレタス。サニーレタスと比較して多少苦味を感じるが玉レタスの5倍以上のビタミンCを含む。サラダなど生食はもちろん炒めて食べてもおいしい。
・サラダ菜
柔らかい食感が特徴のレタス。美しい緑色をしている。玉レタスと同じ結球品種だが結球するのは芯の部分のみ。バターヘッドレタスとも呼ばれる。
・ブーケレタス
千葉県で農産物の生産・販売を手がける「有限会社葉っぱや」が開発した非結球レタス。葉の形状が結婚式に使用されるブーケに似ていることからこの名が付けられた。水耕栽培専用の品種だが千葉県以外の地域でも生産されている。
・フリルレタス
シャキシャキとした食感が特徴の非結球レタス。ギザギザとした葉先が洋服についているフリルに似ていることからこの名が付いた。サラダはもちろんサンドイッチにも向いている。
・チマサンチュ
韓国の焼肉でおなじみのレタス。日本では掻きチシャと呼ばれる。成長した下の方の葉だけを掻き取って収穫する。
・茎レタス
中国原産のレタス。葉ではなく茎を食べる。アスパラガスのような味がすることからアスパラガスレタスとも呼ばれる。
2.ロメインレタス栽培の手順
種まき・育苗管理
(1)セルトレイ等の連結ポットに土を入れ、表面を平らにする。
(2)指で深さ1センチの穴を掘る。
(3)種を一粒ずつまく。
(4)種が隠れる高さで覆土して上から指で軽く押さえる。
(5)水やりをする。
(6)水やりをしながら日向で管理する。
(7)発芽したら土が乾いたタイミングで水やりを行うようにする。
(8)双葉が生えたら葉が重なり合わないよう生育の悪いものを間引いていく。
(9)本葉が2~3枚生えたらポット1つに対して1本になるよう間引いていく。
(10)本葉が4~5枚生えたら定植適期。
土づくり・栽培管理
(1)定植2週間以上前に苦土石灰を1平方メートル当たり約100グラム施して深く耕す。
(2)定植1週間前に化成肥料を1平方メートル当たり約100グラム、堆肥を1平方メートル当たり約2キログラム施して、再びよく耕す。
(3)幅70~90センチ、高さ10~15センチの平畝をつくる。
(4)黒色のマルチシートで畝を覆う。
(5)アブラムシ等の害虫が心配な場合は、虫除けの効果があるシルバーマルチを使用するのも可。
(6)株間20~25センチ・条間20~25センチを目安に定植用の穴を掘る。
(7)苗を植えた連結ポットに水をたっぷり含ませる。
(8)ポットから苗を抜き、掘った穴に植える。
(9)水やりをする。
(10)アブラムシやナメクジ、カタツムリ等の害虫に注意する。
収穫作業
(1)収穫適期は植え付け50~60日後、草丈が20~30センチ位になった頃。
(2)株のてっぺんを手で軽く押さえ、株元からナイフで切り取る。
3.潅水作業のポイント
ロメインレタスは多湿に弱い農作物です。
そのため、育苗期には多くの水分を必要としますが、その後は葉に元気がなくなってきたタイミングで株元に潅水を行っていけば基本的に問題はありません。
ただし、日照りなど極端に乾燥した状況が長く続くと、葉が傷んでしまう可能性があるため、このような場合には十分な水分を与えるようにしてください。
なお、日本のロメインレタスを栽培する生産者の中には、潅水作業を省力化するための手段として、潅水制御装置という設備を利用している生産者がいます。
潅水制御装置とは、水源の水を汲み上げる「ポンプ」、ポンプで汲み上げた水を運ぶ「パイプ」、潅水作業を実行する「潅水チューブ」等で構成された農業用の設備のことで、露地栽培向けとハウス栽培向けの2つがあります。
潅水制御装置の中には、株元への潅水を実行する潅水チューブなどロメインレタス栽培に適した資材も数多くありますので、ぜひ導入を検討してみてください。
また、当社が開発したSenSprout Pro潅水制御システムを使用すれば、インターネットを利用して、潅水作業を遠隔から制御できるようになります。
家庭菜園から大規模農業まで幅広く使える製品になっていますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
SenSprout Pro潅水制御システム
https://sensprout.com/ja/irrigationcontrolsystem-2/
4.まとめ
ロメインレタスは、シーザーサラダなどレストランのメニューにも多く使われる農作物です。最近では、ホームセンターなど芽出しした苗を販売する小売店も多く、家庭菜園で楽しむ人も増えました。ロメインレタス栽培にチャレンジする際は、ぜひこの記事を参考に潅水作業を行ってみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。