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ちんげんさい栽培における潅水作業の注意点

ちんげんさいは、炒め物やラーメンなど、私たちが普段食べている料理に多く使われる人気の野菜です。この記事では、ちんげんさい栽培における潅水作業の注意点について解説していきます。

目次

1.日本のちんげんさい栽培

2.ちんげんさい栽培のポイント

3.潅水作業の注意点

4.まとめ

1.日本のちんげんさい栽培

1)ちんげんさい栽培の歴史

ちんげんさいは、アブラナ科アブラナ属に属する青菜系の野菜です。

原産は、中国大陸を流れる揚子江と黄河に挟まれた華中と呼ばれる地域で、地中海沿岸から中央アジアにかけて自生していたものが、紀元前5世紀頃に伝わって生まれたと言われています。

日本に伝わったのは、日本と中国の国交が正常化した1972年以降のことで、伝わった当初は青軸パクチョイや青梗パクチョイなど様々な名前で呼ばれていました。

しかし、葉柄が浅緑色の小白菜を指す「青梗菜」に名称が統一されたことをきっかけに、「青梗菜」を中国語で読んだ「チンゴンツァイ」に由来する「ちんげんさい」という呼び名が使われるようになります。

現在の主な生産地は、茨城県、静岡県、愛知県、埼玉県、群馬県の5県で、国内生産量の約53%を茨城県、静岡県、愛知県の3県で生産しています。

・参考

2019年都道府県別生産量ランキング

1位:茨城県(1万1600トン)

2位:静岡県(7520トン)

3位:愛知県(2780トン)

4位:埼玉県(2330トン)

5位:群馬県(1840トン)

2)日本で栽培されている品種の一例

サカタのタネ

・青帝

生育旺盛な早生品種。周年で栽培できるが秋から春にかけて種をまくのが最も特性を発揮する。葉、軸とも繊維分が少なく柔らかいため、炒め物や煮物、漬物、汁の実など幅広い料理に使える。

・武帝

耐病性、耐暑性、耐寒性に優れた品種。光沢のある濃い緑色の葉が特徴。葉柄が広めでスジが少ない。晩抽性があるため、秋・冬・春の栽培に適している

・頼光

萎黄病や白さび病に強い耐病性を持つ中・大型の品種。中早生で葉の枚数が多い。酷暑期は、節間伸長や石灰欠乏症が発生する可能性があるため栽培を避ける。しかし、高冷地・冷涼地では晩春から秋口まで栽培することが可能。

・シャオパオ

草丈10~15センチの小さい品種。ミニちんげんさいとも呼ばれる。周年栽培が可能。スジが無く丸ごと使えるため、和・洋・中さまざまな料理に合う。

タキイ種苗

・長陽

高温期の栽培に適した早生品種。濃い緑色の葉と倒卵形の形状が特徴。尻張りが良好なためちんげんさい本来のボリューム感が楽しめる。夏まきの場合、30日程度で熟期を迎え、株重が130~150グラムまで成長する。

・華しずく

とう部分を食べるタキイ種苗限定の品種。非常に柔らかく、お浸しや炒め物に向いている。播種後45日程度で収穫すれば、チンゲンサイとしても収穫できる。

トーホク

・好菜

耐暑性に優れた品種。暑さによる生理障害の発生が少ないため、夏の時期でも尻張りが良くボリュームのある葉に育つ。

・緑陽

肉厚の葉が特徴の重量感のある品種。生育旺盛で小さな苗から大きな株まで幅広く収穫できるため1年を通して栽培できる。プランター栽培も可能。

中原採種場

・八仙

中国から導入した青梗菜の系統間の交配品種。耐病性、耐暑性、耐寒性に優れているため不良条件下でも良く育つ。荷姿がキレイなため市場での人気も高い。

・立八仙

卵形の葉をした品種。生育はやや遅めだが、生理障害に強く、耐寒、耐病性に優れる。極立性、首部のしまり、尻張りに優れ、葉の垂れも少ないので高い作業性が期待できる。

・姫八仙

サカタのタネのシャオパオと同じ草丈10~15センチの小さい品種。葉と葉柄のバランスが良いため、コンパクトに成長する。抽苔が比較的遅く、春先の栽培でも抽苔、節間伸長の心配が少ないのでほぼ周年で栽培できる。

2.ちんげんさい栽培のポイント

土づくり

(1)定植2週間以上前に苦土石灰を1平方メートル当たり約100グラム施して深く耕す。

(2)定植1週間前に化成肥料を1平方メートル当たり約100グラム、堆肥を1平方メートル当たり約2キログラム施し再びよく耕す。

(3)幅80センチ・高さ10センチの平畝を整形する。

(4)整形した畝に黒色のマルチシートを張る。

(5)アブラムシの飛来を防止する場合は、シルバーストライプ入りのマルチシートを使用する。

種まき・育苗管理

(1)マルチシートを張った畝に種まき用の穴を掘る。(直径3~4センチ・深さ1センチ)

(2)普通種の場合は、条間20センチ・株間15センチを目安に。

(3)ミニ種の場合は、条間20センチ・株間5センチを目安に。

(4)種を4~5粒まく。

(5)5ミリ程度の高さで覆土する。

(6)水やりをする。

(7)本葉が2枚生えたら2本立ちにする。

(8)本葉が3~4枚生えたら1本立ちにする。

栽培管理

(1)倒れている株がある場合には、根元に土を補って起こす。

(2)畑が乾燥している場合には、水やりをする。

(3)コナガ、アブラムシ、キスジノミハムシ、ハモグリバエ、白さび病、べと病、軟腐病、根こぶ病などの病害虫に注意する。

(4)コナガ、アブラムシ、キスジノミハムシ、ハモグリバエ等の害虫は、寒冷紗や不織布などの被覆材を使用して防除する。

収穫作業

(1)収穫は、種まき後から夏まき50日・春・秋まき55日・冬まき70~80日を目安に。

(2)大きさの目安は、普通種が草丈約20センチ、ミニ種が草丈10~15センチ。

(3)収穫作業は「株元を持って根ごと引き抜き、根の付け根を刃物で切る」手順で。

(4)収穫が遅れると葉柄部がスジっぽくなるので注意する。

3.潅水作業の注意点

ちんげんさいは多湿に弱い農作物です。

そのため、種をまいて発芽するまでの間は土が乾いてきたタイミングで細かく水分を与える必要がありますが、発芽した後に水分を与え過ぎると病気の発生を助長する可能性が出てきます。

ですので、株が成長し生育期に入った後は、5~7日間の間隔を目安に、春・秋の時期は午前中に、夏の時期は夕方に潅水作業を行うようにしましょう。

なお、日本のちんげんさい生産者の中には、潅水作業を省力化するための手段として、潅水制御装置という設備を利用している生産者がいます。

潅水制御装置とは、水源の水を汲み上げる「ポンプ」、ポンプで汲み上げた水を運ぶ「パイプ」、潅水作業を実行する「潅水チューブ」等で構成された農業用の設備のことで、露地栽培向けとハウス栽培向けの2つがあります。

潅水制御装置の中には、ちんげんさい栽培に適した資材も数多くありますので、ぜひ導入を検討してみてください。

また、当社が開発したSenSprout Pro潅水制御システムを使用すれば、インターネットを利用して、潅水作業を遠隔から制御できるようになります。

家庭菜園から大規模農業まで幅広く使える製品になっていますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

SenSprout Pro潅水制御システム

https://sensprout.com/ja/irrigationcontrolsystem-2/

4.まとめ

ちんげんさいは、β-カロテンや葉酸、ビタミンC、カルシウム、鉄、カリウムなど多くの栄養素を含む健康に良い中国野菜です。ちんげんさい栽培にチャレンジする際は、ぜひこの記事を参考に潅水作業を行ってみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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