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メロン栽培における潅水作業のコツと注意点

メロンはお祝い事のギフトなど贈り物にも最適な農作物です。この記事では、メロン栽培における潅水作業のコツと注意点について解説していきます。

目次

1.日本のメロン栽培

2.メロン栽培のポイント

3.潅水作業のコツと注意点

4.まとめ

1.日本のメロン栽培

1)メロン栽培の歴史

メロンはウリ科キュウリ属に属する果菜類の野菜です。

原産はインドで、古代エジプトが栄えた紀元前2000年頃の時代にはすでに食用としての栽培がはじまっていたと言われています。

メロン栽培が日本に伝わったのは、農耕文化が広まった紀元前500年以降で、弥生時代に築造された遺跡からは、東洋系のメロン(マクワウリ)の種が発見されました。

日本でメロン栽培が広まったのは明治時代に入ってからで、西洋系メロンが伝わった当初は、一部の富裕層しか購入できない高級な品種ばかりでしたが、1961年に種苗メーカーであるサカタのタネがマクワウリとマスクメロンの交配種であるプリンスメロンを開発したことをきっかけに、一般の消費者でも購入できる手頃な価格の品種が栽培されるようになりました。

現在の主な生産地は、茨城県、熊本県、北海道、山形県、青森県の1道4県で、日本で生産されるメロンのおよそ半分以上を茨城県、熊本県、北海道の1道2県で生産している状況です。

・参考

2021年都道府県別生産量ランキング

1位:茨城県(3万1600トン)

2位:熊本県(2万3100トン)

3位:北海道(2万100トン)

4位:山形県(9260トン)

5位:青森県(9060トン)

2)日本で栽培されている品種の一例

・プリンスメロン

1961年に種苗メーカーであるサカタのタネが開発した品種。低価格品種の第1号として当時は一世を風靡したが、アンデスメロンなど他の低価格品種の登場により徐々にそのシェアを縮めている。

・アンデスメロン

1977年に種苗メーカーであるサカタのタネが開発した品種。名称であるアンデスはアンデス地方の「アンデス」を意味するものではなく「安心です」を冠したもの。大衆に最も親しまれている人気のメロン。

・マスクメロン

麝香のような強い芳香を持つメロンの総称。果汁が多くとても甘い。昭和から続く伝統的な高級メロンとして今も重宝されている。

・アムスメロン

日本園芸生産研究所が開発したオランダ系の品種。名称であるアムスはオランダの首都アムステルダムにちなんで付けられたもの。千葉県銚子市の銚子メロンや島根県益田市の益田アムスメロン、鳥取県東伯郡の砂丘メロンなど全国の産地でブランド化されている。

・イバラキングメロン

生産量全国1位の茨城県が開発した県独自のオリジナル品種。上品な甘さとジューシーな果肉が特徴で滑らかな口当たりをしている。

・オトメメロン

種苗メーカーであるタキイ種苗が開発した品種。芳醇な甘い香りと滑らかな口当たりが特徴。茨城県でも特に栽培が盛んな鉾田市旭地区で試験栽培が進められた。

・鶴姫(つるひめ)

山形県のJA鶴岡が開発したオリジナル品種。柔らかい歯ざわりとほどよい甘さが特徴。名称は一般公募によって付けられた。

・肥後グリーン

株式会社松井農園と熊本県のメロン農家が共同で開発した品種。当初は熊本県の限定品種として栽培されていたが、現在は熊本県以外の地域でも栽培されている。

・夕張メロン

北海道の夕張市で生産されている品種。赤みを帯びたオレンジ色の果肉が特徴。マスクメロンと並ぶ高級品種としても知られる。

・新芳露(しんほうろ)

1960年代に島根県農業試験場で開発された露地栽培向けの品種。当時は砂丘地帯が広がる日本海沿岸地域を中心に栽培されていたが、栽培上の課題から徐々に栽培されなくなった。

2.メロン栽培のポイント

種まき・育苗管理

(1)農業用ポット(9~12センチ)に土を入れ、直径4~5センチ・深さ1センチ位の穴を掘り、種を3~4粒撒いて覆土する。

(2)水やりを行う。

(3)種をまいた農業用ポットをトンネル型のビニールハウスに入れ保温する。(25~30℃)

(4)本葉が1~2枚生えたら2本に間引きする。

(5)本葉が2~3枚生えたら1本立ちにする。

(6)本葉が4~5枚生えたら定植適期。(種まき後35日程度)

土づくり・定植作業

(1)連作すると土壌病害の一種であるつる割病の発生を招くため、4~5年の輪作を心がけるか、つる割病抵抗性品種の導入を検討する。

(2)定植2週間以上前に苦土石灰を1平方メートル当たり約100グラム施してよく耕す。

(3)定植1週間前に40センチ四方の穴(深さ約30センチ・株間約80センチ)を掘り、堆肥を約2キログラム入れる。

(4)掘り上げた土に化成肥料を約50グラム混ぜ、掘った穴に戻す。

(5)周りの土を集めて、幅60センチ・高さ10センチの畝をつくる。

(6)畝全体を黒色のマルチシートで覆う。

(7)苗が植えられたポットに水をたっぷり含ませる。

(8)ポットから苗を抜き、掘り上げた土を戻した場所に定植する。

(9)アブラムシやハダニなど害虫の発生が心配な場合は定植穴に殺虫剤(粒剤)をまく。

(10)定植した株ひとつひとつにホットキャップを被せる。(晩霜の防止)

(11)暖かい時期になってきたら、ホットキャップの上部に穴を開ける。

栽培管理

(1)本葉が5~6枚生えたら、揃いの良い子づるを3本残して整枝する。

(2)1~7節に出た孫づるを摘芯する。

(3)8~11節に出た孫づるを結果枝として残す。

(4)結果枝の上の節に出た孫づるは、葉が1枚だけ残るよう摘芯する。

(5)人工受粉をして開花を待つ。

(5)開花したら雌花の上の葉2枚が残るよう摘芯する。

(6)果実が肥大するのを待つ。

(7)果汁が肥大したら、長卵形の果実が付いている結果枝を2本残して、その他は摘芯する。

(8)追肥を行う。

(9)追肥量は1株当たり約50グラムが目安。

(10)つる割病、つる枯病、べと(ベト)病、アブラムシ、ハダニ等の病害虫の発生に注意する。

収穫作業

(1)収穫適期は、果実の付いている節にある葉の周辺が枯れはじめ、葉全体が黄色くなってきた頃。

(2)専用の収穫ハサミを使用して、ヘタを丁寧にカットする。

3.潅水作業のコツと注意点

メロンは、水はけの良い土壌を好む農作物です。

そのため、定植から活着までは十分な潅水が必要ですが、活着後は着果を優先するため、潅水を抑える必要があります。

着果後の潅水の目安は以下の通りです。

・肥大初期(潅水量を増やす)

・果実硬化期(灌水量を減らす)

・肥大後期(潅水量を増やす)

・糖度上昇期(潅水量を減らす)

なお、日本のメロン生産者の中には、少量多潅水と呼ばれる潅水方法を用いて水やり作業を行っている生産者がいます。

少量多潅水とは、少量の水を時間をかけながら回数を重ねて与える潅水方法のことで、農作物のストレスを軽減する効果や病害虫の発生を抑える効果、収量を増やす効果などがあると言われています。

当社が開発した「SenSprout Pro潅水制御システム」を使用すれば、インターネットを利用して潅水量を遠隔から制御できるようになりますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせ下さい。

SenSprout Pro潅水制御システム

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4.まとめ

メロンは、カリウムやカロテンなど健康を保つ上で必要な栄養素を多く含む人気の農作物です。メロン栽培にチャレンジする際には、ぜひこの記事を参考に潅水作業を行ってみてください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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