ルッコラはサラダやパスタなどイタリア料理に多く使われ、ベビーリーフにも良く含まれる人気の野菜です。この記事では、ルッコラ栽培における潅水作業のコツと注意点について解説していきます。
目次
1.ルッコラとは
2.ルッコラ栽培のポイント
3.潅水作業のコツと注意点
4.まとめ
1.ルッコラとは
ルッコラは、アブラナ科キバナスズシロ属(エルーカ)に属するハーブの一種です。原産は地中海沿岸の地域で、ゴマのような香りと苦味が特徴です。
ルッコラ栽培の歴史は古く、ローマ帝国が栄えた時代にはすでに栽培がはじまっていたと言われています。
しかし、当時は一部の権力者が食べる植物としてしか認知されておらず、1990年代に入るまでは大規模な生産が行われていませんでした。
ルッコラが日本に広まったのは、イタリア料理がブームになったバブル期末期の頃で、現在も美容など健康への意識が高い人たちを中心に多くの支持を集める人気の野菜となっています。
可食部100グラム当たりの成分表
・エネルギー(19kcal)
・水分(92.7g)
・タンパク質(1.9g)
・脂質(0.4g)
・飽和脂肪酸(0.05g)
・一価不飽和脂肪酸(0.01g)
・多価不飽和脂肪酸(0.07)
・コレステロール(0mg)
・炭水化物(3.1g)
・食物繊維(2.6g)
・水溶性食物繊維(0.3g)
・不溶性食物繊維(2.3g)
・ナトリウム(14mg)
・カリウム(480mg)
・カルシウム(170mg)
・マグネシウム(46mg)
・リン(40mg)
・鉄(1.6mg)
・亜鉛(0.8mg)
・銅(0.07mg)
・マンガン(0.69mg)
・ヨウ素(0μg)
・セレン(0μg)
・クロム( 0μg)
・モリブデン(0μg)
・ビタミンA(300μg)
・レチノール(0μg)
・β-カロテン(3600μg)
・ビタミンD(0μg)
・ビタミンE(1.4mg)
・ビタミンK(210μg)
・ビタミンB(10.06mg)
・ビタミンB(20.17mg)
・ナイアシン(0.5mg)
・ビタミンB(60.11mg)
・ビタミンB12(0μg)
・葉酸(170μg)
・パントテン酸(0.55mg)
・ビオチン(0μg)
・ビタミンC(66mg)
日本での主な生産地は、静岡県、茨城県、愛知県の3県で、国内総生産量のおよそ4割をこの3県で生産しています。
・参考
2018年都道府県別生産量ランキング
1位:静岡県(33トン)
2位:茨城県(16トン)
3位:愛知県(14トン)
4位:千葉県(11トン)
4位:奈良県(11トン)
4位:福岡県(11トン)
ちなみに、名称である「ルッコラ」は、イタリア語の「rucola (ルーコラ)」を元にしたもので、アメリカなどの英語圏では「ロケット」という名前で呼ばれているそうです。
2.ルッコラ栽培のポイント
露地栽培
土づくり・種まき
(1)定植2週間以上前に苦土石灰を1平方メートル当たり約150グラム施して深く耕す。
(2)定植1週間前に化成肥料を1平方メートル当たり約100グラム、堆肥を1平方メートル当たり約3キログラム施して再びよく耕す。
(3)幅70~80センチ、高さ10~15センチの平畝を整形する。
(4)畝の表面を平らにする。
(5)深さ1センチ程度の溝を15センチ間隔で掘り、種を条まきする。
(6)1センチ程度の高さで覆土して、上から軽く押さえる。
(7)水やりをする。
(8)害虫の被害が心配な場合は、防虫ネットや寒冷紗で畝全体を覆う。
栽培管理・収穫作業
(1)本葉が2〜3枚程度生えたら、株間2〜3センチを目安に生育の悪い株を間引いていく。
(2)土を耕して株元に寄せる。
(3)本葉が4〜5枚程度生えたら、株間4〜5センチを目安に生育の悪い株を再び間引いていく
(4)土を耕して株元に寄せる。
(5)アブラムシ、アオムシ、コナガ、ヨトウムシ、ハダニなどの害虫に注意する。
(6)草丈が15センチ程度に生長をしたことを確認し、収穫作業を行う。
(7)春まきの場合は5月上旬〜8月中旬、秋まきの場合は10月〜12月が収穫適期。
(8)株を一気に引き抜くか、株元をハサミで切って収穫していく。
(9)外葉から順番に葉だけを収穫すると少量ずつ使える。
プランター栽培
土づくり・種まき
(1)プランターに鉢底石を入れる。
(2)野菜用培養土をプランターに入れる。
(3)深さ1センチ程度の溝を指で堀り、種を5ミリ間隔で条まきする。
(4)1センチ程度の高さで覆土して、上から軽く押さえる。
(5)水やりをする。
(6)害虫の被害が心配な場合は、防虫ネットや寒冷紗でプランター全体を覆う。
栽培管理・収穫作業
(1)本葉が2〜3枚程度生えたら、株間1.5センチ程度を目安に、生育の悪い株を間引いていく。
(2)指で土を株元に寄せる。
(3)本葉が4〜5枚程度生えたら、株間3センチ程度を目安に、生育の悪い株を再び間引いていく。
(4)指で土を株元に寄せる。
(5)アブラムシ、アオムシ、コナガ、ヨトウムシ、ハダニなどの害虫に注意する。
(6)草丈が15センチ程度に生長をしたことを確認し、収穫作業を行う。
(7)株元をハサミで切って収穫していく。
(8)外葉から順番に葉だけを収穫すると少量ずつ使える。
3.潅水作業のコツと注意点
ルッコラは高温多湿に弱い農作物です。
そのため、発芽までの間は多くの水分を必要としますが、その後は土の表面が乾いたのを確認して、夏は朝夕の涼しい時間帯、冬は気温が暖かい日中の時間帯に潅水作業を行っていけば基本的に問題はありません。
しかし、あまり乾燥させ過ぎてしまうと苦味が強くなる可能性が出てきますので十分な注意が必要です。
なお、日本のルッコラを栽培する生産者の中には、潅水作業を省力化するための手段として、潅水制御装置という設備を利用している生産者がいます。
潅水制御装置とは、水源の水を汲み上げる「ポンプ」、ポンプで汲み上げた水を運ぶ「パイプ」、潅水作業を実行する「潅水チューブ」等で構成された農業用の設備のことで、露地栽培向けとハウス栽培向けの2つがあります。
潅水制御装置の中には、株元への潅水を実行する潅水チューブなどルッコラ栽培に適した資材も数多くありますので、ぜひ導入を検討してみてください。
また、当社が開発したSenSprout Pro潅水制御システムを使用すれば、インターネットを利用して、潅水作業を遠隔から制御できるようになります。
家庭菜園から大規模農業まで幅広く使える製品になっていますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
SenSprout Pro潅水制御システム
https://sensprout.com/ja/irrigationcontrolsystem-2/
4.まとめ
ルッコラは、私たちの食卓に香りと彩りを与えてくれる人気の農作物です。
最近ではハーブティーなど、その独特の香りを楽しむ人も多く、ホームセンターで販売されている苗を購入して、自分で栽培をはじめる人も増えました。
ルッコラ栽培にチャレンジする際は、ぜひこの記事を参考に潅水作業を行ってみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。