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かぼちゃ栽培における潅水作業のポイント

高収量・高品質な農業生産を実現するためには、農作物の成長に必要な水分を補給する潅水作業を効率的に行っていくことが重要です。この記事では、かぼちゃ栽培における潅水作業のポイントについて解説していきます。

目次

1.日本のかぼちゃ栽培

2.かぼちゃ栽培のコツ

3.潅水作業のポイント

4.潅水作業を省力化する方法

5.まとめ

1.日本のかぼちゃ栽培

1)かぼちゃ栽培の歴史

かぼちゃは、南北アメリカ大陸を原産とするウリ科の農作物です。

現在の主要生産国は、中国、インド、ウクライナ、アフリカなどで、不飽和脂肪酸、ミネラル、たんぱく質、βカロテン、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEなど多くの栄養素を含む「果実的野菜」です。

世界におけるかぼちゃ栽培の歴史は古く、南アメリカのペルーでは紀元前4000年~3000年頃の遺跡からかぼちゃ栽培の痕跡を示した出土品が発掘されました。

かぼちゃ栽培が日本に伝わったのは、ポルトガル船が九州・大分に漂着した西暦1541年頃で、漂着したポルトガル人が当時の領主であった大友宗麟に中央アメリカ産のかぼちゃの種を献上したことをきっかけに栽培がはじまったと伝えられています。

日本でかぼちゃ栽培が広まったのは、アメリカから南アメリカ産のかぼちゃが伝わった江戸時代末期頃で、当初は北海道など冷涼地を中心に栽培されていましたが、大正時代に入ると関東以南の地域でも栽培されるようになりました。

現在の主な生産地は、北海道、鹿児島県、茨城県の1道2県で、日本で生産されるかぼちゃの約半分(49.9%)が北海道で生産されています。

2)かぼちゃの種類

日本では、日本かぼちゃ、西洋かぼちゃ、ペポかぼちゃの3つの種類のかぼちゃが栽培されています。

日本かぼちゃは、ねっとりとした食感が特徴のかぼちゃで、煮物などの日本料理に多く使われています。

西洋かぼちゃは、ホクホクとした食感が特徴のかぼちゃで、フランス料理などの西洋料理に多く使われています。

ペポかぼちゃは、ハロウィンでおなじみのユニークな色・形をしたかぼちゃです。イタリア料理に使われているズッキーニなど食用の品種もありますが、観賞用として利用されることが多いです。

日本で栽培されている主な品種は以下の通りです。

日本かぼちゃ

・黒皮かぼちゃ

・菊座かぼちゃ(菊南瓜)

・小菊かぼちゃ

・鹿ヶ谷かぼちゃ

・鶴首(つるくび)かぼちゃ

・バターナッツ

・ロゴサ・ビオリーナ

・島かぼちゃ

・春日ぼうぶら

・万次郎かぼちゃ

・韓国かぼちゃ

西洋かぼちゃ

・九重栗南瓜(黒皮栗かぼちゃ)

・ほっこりえびす(黒皮栗かぼちゃ)

・みやこ南瓜(黒皮栗かぼちゃ)

・えびす南瓜(黒皮栗かぼちゃ)

・坊ちゃんかぼちゃ

・鈴かぼちゃ

・ロロンかぼちゃ

・宿儺(すくな)南瓜

・長南瓜(甘龍)

・白いごっちゃん南瓜

・雪化粧南瓜

・伯爵南瓜

・赤皮栗かぼちゃ

・コリンキー

・プッチィーニ

・テーブルクイーン

ペポかぼちゃ

・金糸瓜(そうめんかぼちゃ)

・ズッキーニ

2.かぼちゃ栽培のコツ

1)播種~定植

(1)土に直径4~5cm、深さ1cmくらいの穴を掘る。

(2)4~5粒の種を播いた後、土を軽く上から押さえて水やりする。

(3)本葉が1~2枚生えたら2本立ちにし本葉が2~3枚生えたら1本立ちにする。

(4)ポット播きの場合は、トンネルハウスを使用して25℃~30℃前後の温度で保温する。

(5)直播の場合は、ホットキャップ等を使用して保温と換気を順番に行う。

(6)定植適期は、本葉が4~5枚生えてきた頃。

2)苗床づくり

(1)直播・定植の2週間前までに苦土石灰を散布して土を深く耕す。

(2)直播・定植の1週間前になったら直径30~40cm、深さ30cm程度の穴を掘り、穴の中に堆肥を入れ、掘り上げた土に化成肥料、過リン酸石灰を混ぜ埋め戻す。

(3)埋め戻した土の上に周りの土を集めて平畝型の苗床を成形する。(畝高さ10cm、株間1m程度を目安)

3)定植後~収穫期

(1)定植後は、遅霜や強風、豪雨、害虫の被害を避けるためホットキャップを被せる。

(2)つるが伸びてきたらホットキャップ外し、西洋かぼちゃで親づる1本・子づる1本、日本かぼちゃとペポかぼちゃで親づる2~4本・子づる2~4本の仕立てを基本に整枝していく。

(3)追肥は、株元から40cmあたりを目安に、着果した実がこぶし大の大きさになったタイミングで施す。

3.潅水作業のポイント

かぼちゃは乾燥に強い農作物のため、水のやりすぎがうどんこ病などの病気の発生を招く場合があります。潅水作業は、降雨のみを基本に土の表面が乾燥したタイミングで行うようにしてください。

4.潅水作業を省力化する方法

農作物の水やり作業を省力化するためには、潅水制御装置という設備が必要になってきます。

潅水制御装置は、水源の水を汲み上げるポンプ、農作物への水やり作業を実行する潅水チューブ等を使用した農業用の設備です。

潅水チューブは、数ミリ単位の小さい孔が等間隔に配列されている農業用のホースで、露地栽培向けの製品とハウス栽培向けの製品が発売されています。

かぼちゃは、開花後20日までの肥大期に多くの水分が必要になってきますので、干ばつなど降雨が極端に少ないシーズンは、灌水チューブを使用した潅水作業を行うのが得策といえるでしょう。

潅水チューブの種類

・孔のサイズ

(1)一般的なサイズは0.1㎜~0.8㎜位。

(2)水稲の育苗や軟弱野菜では0.2㎜~0.3㎜前後のサイズが使われることが多い。

(3)かぼちゃなどの果菜類は0.2㎜から0.6㎜前後のサイズが使われることが多い。

・片面孔/両面孔

(1)片面のみに孔が開いた片面孔タイプと両面に孔が開いた両面孔タイプの2種類がある。

(2)農作物の畝間から片側のみ潅水したい場合は片面タイプを、両側に潅水したい場合は両面タイプを使用する。

・孔の形状

(1)〇孔タイプと✕孔タイプの2種類がある。

(2)✕孔タイプは水が霧状に拡散する上に目詰まりが起きにくいというメリットがある。

・孔のピッチ(間隔)

(1)孔が平行に配列された並列型、孔が互い違いに配列された千鳥型ある。

(2)ピッチ(間隔)には様々な規格がある

(3)野菜の栽培で一般的に使用されているピッチのサイズは7.5㎝~30㎝前後。

・チューブの厚さ

(1)0.12㎜~0.4㎜前後の規格がある。

(2)厚さによって強度が異なる。

・チューブの長さ

(1)一般的に使用されているチューブの長さは100mと200m。

(2)大規模な施設園芸では長さ1000mの潅水チューブを使用するケースもある。

なお、当社が開発した「SenSprout Pro潅水制御システム」を使用すれば、インターネットを利用して、潅水作業を遠隔から制御できるようになりますので、関心のある方はお気軽にお問い合わせください。

SenSprout Pro潅水制御システム

https://sensprout.com/ja/irrigationcontrolsystem-2/

5.まとめ

かぼちゃは、太陽の動きを元に1年を24等分した二十四節気のひとつである冬至に食べる冬至かぼちゃなど、私たち日本人の生活に根付いた重要な農作物です。高収量・高品質なかぼちゃ生産を目指す際は、ぜひこの記事を参考に潅水作業を行ってみてください。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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