SenSprout(センスプラウト)

稲作の水管理を省力化!IT活用の潅水装置を4つ紹介

稲作の管理作業の中でも重要とされている水の管理。とくに7月下旬以降の高温期を迎えるにあたり、高温障害などのリスクを避けるためにもしっかりとした水の管理が必要となってきます。

また、水管理の作業割合は全体の3割ほどを占めるとも言われており、ただでさえ担い手不足になりつつある農業では作業の負担をできるだけ軽くしたいという方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は水管理のさまざまな工程をITの力でサポートしてくれる製品を3つ紹介していきたいと思います。

目次

1.自動給水栓「見HAL君」

2.水稲向け水管理システム「Paddy Watch」

3.水田水管理省力化システム「水まわりくん+エアダスバルブ」

4.水稲農家向けスマート水田サービス「スマホでかんたん水管理 パディッチ」

5.ITで稲作の水管理を省力化へ

1.自動給水栓「見HAL君」

「見HAL君」とは営農支援システムなどを開発している上越ICT事業協同組合が開発・販売を行っている自動給水栓です。ICTを活用し水管理の大幅な負担軽減が期待できます。

それでは見HAL君の特徴や機能などを紹介していきましょう。

取り付けが簡単

見HAL君は既存のAV自動給水栓のフロートタイプのセンサーをIoTデバイスに交換するだけで、遠隔地からの給水が行えます。また、水田だけでなくビニールハウスに設置することも可能です。

電源不要!

デバイス装置に付けられたソーラーパネルからの電力のみで給水バルブの開閉を行えます。電源は不要なためどんな場所にも設置することができます。

パソコンやスマートフォンから水管理が行える

パソコンやスマートフォンなど離れた場所にいながら、水田の周りの見回りを行いながらなど、どんな場所からでも給水バルブの開閉管理が行えます。

自動給水も可能

プログラム設定を行えば、給水バルブの開閉を周期や時間に合わせて事前に設定することができます。

また、オプションの水位センサーと組み合わせることで、水田ごとに設定した水位を保つように給水バルブを自動開閉することもできます。

2.水稲向け水管理支援システム「Paddy Watch」

https://www.vegetalia.co.jp/our-solution/iot/paddywatch/

「Paddy Watch」は稲作に必要な水位や水温を自動で計測し、スマートフォンなどのアプリをダウンロードしていつでもどこでも確認することができるシステムです。

給水機能はないですが、稲作の中でも重要な水の見回りにかかる時間を大幅に削減できるメリットがあるようです。

ここでは水管理にかかる労力を軽減できるというPaddy Watchの特徴を紹介していきます!

センサー機能

Paddy Watchは悪天候など、屋外での過酷な環境条件でも安定しているセンサリング技術、水田の泥や薬品などにさらされても変質することのないセンサーコーティング技術が特徴で、雨風はもちろんのこと直射日光などにも耐えうる頑丈な作りになっています。

通信機能

Paddy Watchでは、山間部などでも比較的に電波が安定しているNTTdocomoのSIMを使用しているため、エリア内であればどんな場所でも利用することができます。

また、測定したデータはクラウドサーバーに保存されるため、データの消失などの心配はありません。

省電力

電源や電気工事などは一切不要なため、どこにでも設置することができます。

電力は乾電池の単一アルカリ電池8本で約9ヶ月間稼働と、省電力でコストパフォーマンスにも優れています。

設置や設定方法が簡単

事前にセンサーを取り付けるためのステンレスポールや、必要な工具などを用意しておけば誰でも簡単に設置できるのも嬉しいポイント。

初期設定も設置後に専用アプリをダウンロードし、センサーに記載されているQRコードを読み込んで必要な情報を入力するだけ。

登録完了後にセンサー本体の電源を入れれば設定完了です。

3.水田水管理省力化システム「水まわりくん+エアダスバルブ」

https://www.eslontimes.com/system/items-view/243/

主に建設資材などの製品を提供している積水化学が開発した「水まわりくん+エアダスバルブ」は、生育状況に応じて水田の水位や地下水位を遠隔制御することができるシステムです。

このシステムは多機能型自動給水機である水まわりくんと、多機能型給水栓のエアダスバルブ2つの製品を組み合わせたものとなっています。

どこにいても水の管理を行えて作業時間を短縮できる水まわりくん+エアダスバルブそれぞれの特徴を紹介していきます。

水まわりくんの特徴

水まわりくんには圃場内で設定する「機側設定型」とインターネットを通して設定する「遠隔設定型」の2種類のラインナップになっています。

まず機側設定型の特徴から説明すると、通信設置網などが不要なためランニングコストが抑えられ手軽に水田の水管理を行うことができます。

操作パネルで手動操作するかBluetoothを介せばスマートフォンからも操作可能です。

遠隔設定型の特徴は、ICTを活用するためより広範囲の水田の水管理が行えることです。

Web上でバルブ開閉の操作や給水計画の入力ができ、異常時には警告メールが届くサービスも。

通信費やサーバー維持費などが別途必要になりますが、大規模営農を行っている方に適していると言えるでしょう。

エアダスバルブの特徴

多機能型給水栓と呼ばれるエアダスバルブには、給水や水の調整などに加えて通水能力の低下や破損緩和できる排気機能や、負圧を解消できる吸気機能が備わっています。

オプションで散水栓を取り付けることで小規模ホースかんがい・農機具洗浄も可能に。また、バルブ中の止水栓ボールが上下する構造になっているため、開閉トルクが少なく簡単に操作できます。

異物が詰まってしまった場合には一般的な工具で簡単に取り外すことができ、メンテナンスがしやすいのも特徴です。

4.水稲農家向けスマート水田サービス「スマホでかんたん水管理 パディッチ」

https://paditch.com/

パディッチは富山県で農業コンサルティングを手掛ける株式会社笑農和が開発・販売を行っている、田んぼの水管理をスマホでかんたんに行える製品です。
現在パディッチには、開水路向け自動水門paditch gate02+(パディッチゲートゼロツープラス)、パイプライン向け自動給水弁paditch valve01(パディッチバルブゼロワン)、スマート田んぼダムを実現できる、自動排水装置paditch drain01(パディッチドレインゼロワン)があります。

パディッチの特徴

事務所や家にいながら、タブレットやスマートフォン(パソコン)などを使用し、離れた場所から遠隔で田んぼの水門や給水栓の開閉を一括で操作できる製品です。
水位や水温に連動しての自動開閉機能、タイマー設定、カレンダー設定、異常検知アラート、その他、過去のデータを蓄積し分析をすることも出来ます。

パディッチ導入のメリット

株式会社笑農和、大手ICT企業、静岡農地局、静岡農業経営体、農研機構で共同研究を行った、「水田水管理ICT活用コンソーシアム」による実証実験調査で、paditch の導入で水管理に伴う負担が 80%軽減したとの結果が得られています。(2017年~2019年調査)
また、第三者機関である農研機構に依頼した2020年度の調査ではpaditch導入圃場と未導入圃場を比較し、最大で16・4%収量が増加するという結果が出ました。(10aあたりの平均収量)
水管理をパディッチで行うことにより、収量アップと品質向上が期待できます。

5.ITで稲作の水管理を省力化へ

今回の記事ではITを活用した稲作専用の水管理装置を3つ紹介しました!

SenSproutの潅水制御装置は、葉物類や果菜類などのビニールハウス栽培、かつ土耕栽培での利用がメインとなっているため、水田での水やりの機器としては利用に向きません。


SenSproutの潅水制御装置を稲作で利用する場合、主に3月〜5月までの期間にビニールハウス内で行う稲の育苗期のみ利用することが可能です。

稲作はとくに育苗期から生育期まで常に水分条件を把握しておく必要があるため水分管理の労力を減らせれば格段に負担を軽減させることができるでしょう。

日本の農業は人手不足が深刻化しています。労働力不足の解消のためにもITを活用して畑周りの省力化を行ってみませんか?

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