SenSprout(センスプラウト)

なす栽培向けの潅水方法を生育ステージ別に解説

なすは、日本人が古来より愛してきた農作物のひとつです。平安時代に書かれた「延喜式(えんぎしき)」という書物には、当時の栽培方法が鮮明に残されているそうです。

現代の日本のなす生産地では、ビニールハウス等の施設園芸を中心に潅水制御装置を用いた水管理が行われています。この記事では、なす栽培向けの潅水方法について解説していきます。

目次

1.なす栽培について

2.少量多潅水を用いた研究事例

3.なす栽培に適した潅水制御装置

4.各生育ステージにおける潅水方法

5.まとめ

1.なす栽培について

なす栽培は、インド東部を起源に5世紀前には古代ペルシャやアラビア半島に伝えられたとされています。その後、東南アジアからチベット、中国へと伝わり、日本には奈良時代(西暦710年~794年)に伝えられたそうです。

「一富士、二鷹、三茄子(なすび)」という言葉や、馬を模ったお盆のお供え物である「精霊馬」でも知られるように、日本では古くから縁起物や魔除けとしても使用されてきました。

品種は、形状や色などを違いに、小なす、丸なす、卵型なす、千両なす、中長なす、長なす、米なす、白なす、緑なすなど様々な種類があります。

特に中長なすは、施設園芸をメインとした通年栽培の品種で、ほどよい柔らかさと大きさが特徴です。天ぷらや漬物など家庭料理はもとより、和洋中さまざまな料理に使用されています。

栄養分については、強い抗酸化作用から、「ガン」や「生活習慣病」のもとになる活性酸素を抑制する働きやコレステロールの吸収を抑える効果が確認されています。

1)なすの栽培方法

なす栽培は、露地栽培とビニールハウス栽培(施設園芸)の2つの方法があります。

露地栽培は、マルチ栽培を中心とした栽培方法です。

小規模農家や兼業農家が自食用として生産するケースも多いそうです。

一方、ビニールハウス栽培では、市場への出荷を目的とした大量生産のための栽培方法です。

全国の生産地では、大規模農家による通年栽培が行われています。

基本的には、春植え・夏収穫の「夏野菜」として親しまれていますが、剪定による株の若返りを施せば秋の収穫も見込めるそうです。

2)なす栽培のポイント

栽培は、2月ごろの種まきをスタートに、5月頃の定植、7月~10月の収穫へと進みます。

最適な土壌の㏗値は6.0~6.5で、連作障害については3年~4年の年限が確認されています。

栽培のポイントは、「なすは水で作る」という言葉から、こまめな潅水が重要とされています。また、収穫期間の長さから肥料を切らさないことも大切なポイントのようです。

定植のタイミングは、「本葉が7~8枚生えた頃」または「一番花が咲きはじめた頃」、「種蒔きから60~80日を迎えた頃」とされています。

3)少量多潅水による潅水作業

なすの施設園芸では、「少量多潅水」による水やり作業が効果的といわれています。

少量多潅水とは、少量の水を時間をかけながら回数を重ねて与える潅水方法で、農作物のストレスを最小限に抑える効果から糖度や収量の向上が期待できるそうです。

2.少量多潅水を用いた研究事例

事例:「少量多頻度潅水施肥が促成ナスの根と養分の畝内分布の推移に及ぼす影響」(日本土壌肥料学雑誌 速水悠氏・前田守弘氏 )

https://www.jstage.jst.go.jp/article/dojo/91/1/91_910104/_article/-char/ja/

この研究は、なす栽培における少量多潅水の効果を検証したものでした。

研究では、1日1回の全量潅水と1日4回の潅水タイマーを使った少量多潅水との比較が行われ、「少量多潅水の方が潅水位置付近の重量含水量が増え細根が多くなる」という結果が導き出されました。

3.なす栽培に適した潅水制御装置

なす栽培の少量多潅水では、「点滴潅水」と呼ばれる方法が用いられます。

点滴潅水とは、点滴のようなゆっくりとした水やり作業を行う方法で、灌水チューブを地表に設置するタイプと地中に埋没するタイプの2つの製品のいずれかを使用します。

また、「肥料を切らさない」という栽培上の特性から、潅水と施肥を同時に行う液肥混入機を利用する農家も多くいます。

液肥混入機で有名なのは、株式会社サンホープが販売するドサトロンで、配管されたパイプに流れる水量を動力源にした液肥混入機です。

・液肥混入機ドサトロン

https://www.sunhope.com/products/dosatron.html

4.各生育ステージにおける潅水方法

1)育苗期

育苗期の潅水は「朝」をメインに進めます。夜に水分が多いと徒長の原因になるそうです。

定植から活着(約10日間)までは、鉢土が乾かないよう株元から半径15㎝程度に手潅水を行い、活着後からは潅水チューブを使用して潅水量を調整していくそうです。

促成ナスの育苗においては、栽培初期から多くの水を潅水するのではなく、1日に必要な量を生長に合わせ少しずつ増やしていく方法が良いとされています。

2)定植時

定植時の潅水方法には、「苗をポットごと水に浸す方法」と「定植後にたっぷり水を与える方法」の2つがあります。

この時期の肥料散布については、定植2週間前を目安に「堆肥と元肥を畑に蒔いて、十分に耕耘する必要がある」といわれています。

3)植え付け後

株が成長して実が付くこの時期は、大量の潅水と十分な栄養が必要になるため、少量多潅水と追肥が重要になります。

「肥料が足りているか?」の判断は、開花した花を確認して「雄しべ」と「雌しべ」の長さを見ると分かります。見分け方としては、「雌しべ」が「雄しべ」よりも長ければ肥料が足りている証拠で、「雄しべ」が「雌しべ」よりも短ければ「肥料が足りていない」というサインだそうです。

尚、当社の遠隔潅水制御システム「SenSprout Pro 潅水制御システム」を使用すれば、インターネットを使って、ビニールハウスへ行かなくても潅水を同時に行うことができます。

もちろん、液肥混入機ドサトロンとの併用も可能ですので、気軽にお問い合わせください。

5.まとめ

なすは、市場流通向けの栽培はもとより、家庭菜園でも大変人気の高い農作物として知られています。国内の総生産量は約32万7400トンで、主要生産地は高知県(1位)、熊本県(2位)、群馬県(3位)となっています。

先述しましたが、なすは「水で作る」農作物です。 なす栽培を検討する際には、ぜひこの記事を参考に潅水制御装置の導入を進めてみてください。最後まで読んでくださりありがとうございました。

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